●文:川島茂夫 ●まとめ:月刊自家用車編集部 ●写真:澤田和久
日常から全開まで素直
性能とファントゥドライブを求めたライトウェイトスポーツの頂点と言っても誇大ではないだろう。そんなアルピーヌA110がMC。といっても252ps/300psのエンジン、標準サス/シャシースポールの足周りのグレード展開変更が主。試乗したのは300ps+標準サスのGTと同シャシースポールのSの2モデル。どちらもどっぷりA110だった。
300psは意外と使いやすい。大トルクを発生する回転域が広いことや低負荷低回転域でのコントロール性がいいため、スポーツドライビング中の微妙なコントロールや一般走行での扱いが容易。日常から全開まで素直というタイプ。
この素直さはA110のフットワークをさらに際立たせる。減速からターンインでは前外輪を踏み込むように、定常円旋回から立ち上がりでは後外輪で蹴り出すように、接地荷重のバランスを操舵とコンビでアクセルワークでコントロール。そういった運転が実に心地よく、楽しいのだ。
GTもSも基本特性は同じだが、Sは急激な荷重変化に対応したセッティングのため、サーキット走行レベルでないとサスを押し切れない。乗り心地も硬く、操縦性もGTに比べると若干神経質な印象を受けた。GTは山岳ワインディングで程よくストロークを使い、それがリズミカルなドライビングを生み出す。ソフトという訳ではないが乗り心地も穏やかで粗雑な振動も少ない。マニアックなスポーモデルながらGTの名に相応しいツーリング適性。スポーツカーファン必見のモデルである。
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