マツダ、ロータリーエンジン搭載車が、累計200万台を突破 「コスモスポーツ」から「MX-30 Rotary-EV」まで、偉大なる名車たちを紹介

三角形のローターが回転することによって動力を生む独自の構造をもつロータリーエンジン。2012年にRX-8が生産中止となってからは、しばらくロータリーの灯が消えた状態だったが、この秋に「MX-30 Rotary-EV」が登場したことで復活。この10月にはロータリーエンジン車の累計台数が200万台を突破したという。ここではそんな金字塔を打ち立てたロータリーエンジン車の成り立ち、歴史を振り返ってみたい。

●まとめ:月刊自家用車編集部

e-SKYACTIV R-EVのローター

●マツダ ロータリーエンジンの沿革
1961年7月NSU社/バンケル社と技術提携
1967年5月ロータリーエンジン完成発表、「コスモスポーツ」発売
1968年7月「ファミリア ロータリークーペ」発売
1969年10月「ルーチェ ロータリークーペ」発売
1970年5月初代「カペラ」ロータリーシリーズ発売
1971年9月「サバンナ」発売
1972年11月2代目「ルーチェ」ロータリーシリーズ発売
1973年6月ロータリーエンジン車生産累計50万台達成
1974年2月2代目「カペラ」発売
1974年4月「ロータリーピックアップ」を北米で発売(日本名:プロシード)
1974年7月「パークウェイ ロータリー26」発売
1975年4月「ロードペーサー」発売
1975年10月2代目「コスモ(コスモAP)」発売
1977年10月3代目「ルーチェ(ルーチェレガート)」発売
1978年3月初代「サバンナRX-7」発売
1978年11月ロータリーエンジン車生産累計100万台達成
1981年11月3代目「コスモ」および4代目「ルーチェ」のロータリーシリーズ発売
1985年10月2代目「サバンナRX-7」発売
1986年4月ロータリーエンジン車生産累計150万台達成
1986年9月5代目「ルーチェ」発売
1990年4月4代目「コスモ(ユーノスコスモ)」発売、3ローターRE搭載
1991年6月「マツダ787B」が第59回ルマン24時間レースで総合優勝
1991年12月3代目「RX-7(アンフィニRX-7)」発売
2002年4月「RX-7」最後の限定車「スピリットR」シリーズを発売
2003年4月「RX-8」発売
2011年11月「RX-8」最後の特別仕様車「スピリットR」を発売
2012年6月「RX-8」生産終了
2023年6月「MAZDA MX-30 Rotary-EV」生産開始
2023年10月ロータリーエンジン搭載車累計生産200万台達成

1967年「コスモスポーツ」が登場 

1967年に発売開始。未来からやってきた宇宙船のようなスタイリングでも話題を集めた、記念すべきロータリーエンジン搭載第一号車。搭載する10A型ロータリーエンジンは491cc☓2の2ローター仕様で最高出力は110PSを発揮。0-400m加速は16.3秒を記録するなど、当時としては驚異的な性能が与えられていた。その後、1972年まで製造販売されている。

1968年「ファミリア ロータリークーペ」

コスモスポーツがデビューした翌年、1968年に発売されたファミリア ロータリークーペ。2ローターの10A型ロータリーは、ややデチューンされた100PS仕様となったが、軽量小型のボディもあって軽快な走りは健在。最高速度は180km/h、0~400m加速は16.4秒を記録するなど、モータースポーツの世界でも活躍していた。コスモスポーツのほぼ半額のこなれた価格設定もあって、ロータリー車の現実味が大きく広がったモデルとしても知られている。

1969年「ルーチェ ロータリークーペ」

美しい2ドアクーペのスタイリングは、イタリアの名匠ベルトーネの手によるもの。市販モデルのロータリーは655cc☓2の13A型を搭載。最高出力126PSを発揮する。ロータリー車、初のFF駆動モデルになる。

1970「カペラ ロータリークーペ」

ファミリアのひとつ上のクラスとして世に送り出された初代「カペラ」。このモデルにも12A型を搭載したロータリーモデルが投入されている。

1971年「サバンナ」

1971年にデビューした初代「サバンナ」。導入当初は最高出力105PSを発揮する10A型ロータリーを搭載していたが、1972年に登場したサバンナGTは12A型に変更。573cc☓2に排気量が拡大されたことで、最高出力が120PSまでパワーアップしており、最高速度は190km/h、0-400加速は15.6秒と、より速さに磨きがかかっていた。軽さとパワー、こなれた価格設定で、当時の若者から絶大な支持を受けた1台と知られている。

1972年式サバンナGT

1974年「パークウェイロータリー26」

ロータリーの可能性を模索して市販化されたロータリーエンジンを搭載したマイクロバス。重い車両重量と高回転高出力のロータリーエンジンは相性が悪く、商業的には失敗に終わった。製造車両は44台とされている。

1975年「コスモAP」

コスモスポーツの系譜を受け継ぐフラッグシップとして誕生。欧米市場を強く意識して開発された高級スペシャリティカーで、ロングノーズの個性的なシルエットで当時のユーザーに大きなインパクトを与えたことで知られている。搭載エンジンは12A型のほか、654cc☓2の13B型も投入されている。車名の「AP」は、”Anti Pollution”を意味しており、当時、高まり続けた環境性能に苦しめられたモデルだった。

1978年「サバンナ RX-7(初代)」

RX-7と名付けられた初代モデル(SA22C)は、1978年にデビュー。12A型の2ローターエンジンは130PSにを発揮。FRながらフロントミッドレイアウトを採用したことで、前後の重量配分は50.7:49.3と、理想的なバランスを実現。スポーツカーにふさわしい、軽快で、的確な操縦性を持つことも大きな魅力になっている。

1985年「サバンナ RX-7(2代目)」

1985年に発売された2代目RX-7は、先代の12A型から新開発の13B型ターボに変更。導入時の初期モデルは、654cc×2の2ローターロータリーターボで185PSを発揮。その後、マイナーチェンジ時にターボチャージャーの改良により205PSまで出力向上を果たしている。クーペモデルのほか、トップルーフを脱着できるカブリオレも選ぶことができた。

1990年「コスモ(ユーノスコスモ)」

3ローター式のロータリーエンジン(20B型)を搭載するなど、史上最高のロータリー車を目指し開発されたユーノスコスモ。654cc×3の3ローターエンジンは、ツインターボが組み合わされることで自主規制値いっぱいの280PSを発揮。圧倒的な動力性能を誇っていた。燃費の悪さもあって、商業的には失敗してしまったがロータリーファンに大きなインパクトを与えてくれた1台だ。

1991年「RX-7(アンフィニRX-7)」

究極のピュアスポーツを目指した3代目RX-7。徹底的な軽量化により、4.9kg/psを実現したパワーウェイト・レシオや、50:50の前後重量配分の実現など、歴代屈指の走行性能を得たモデルとして高い人気を集めていた。13B型の2ローターエンジンは、導入当初は255PS、その後265PS、最終的には規制値いっぱいの280PSまでパワーアップしている。2003年の販売終了まで高い人気を集めていた。

2003年「RX-8」

ボディシルエットはクーペを意識したデザインだが、左右の両ドアは観音開き式のフリースタイルドアを採用。RX-7で指摘されていた後席居住性を考慮したモデルとして開発されている。エンジンは形式こそ2ローターの13B型だが、吸排気ポートをローターハウジングのサイド面に集約する大改良により環境性能が向上。ほぼ別物といっていいロータリーエンジンを搭載している。2012年に販売終了。

2023年「MX-30 Rotary-EV」

新開発の8C型シングルロータリーエンジンで発電した電気でモーターを駆動させる、新時代のロータリー搭載モデル。830ccの1ローターエンジンは軽量コンパクトな設計。マツダ独自のシリーズ式PHEVにより純電動走行が可能だ。ハイブリッド燃料消費率は15.4km/ℓとなる。

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