進化を続けるのは何も乗用車だけではない。たとえば高速道路で見かける、「黄色いパトロールカー」。最新のセンシング技術などを採用すれば、より正確かつ高度に道路上の異常を検知可能だ。実際に実証実験を重ね、作業員の負担も減らせるかもしれない将来の姿を目指しているという。幕張メッセにて10月に開催された、シーテック2024で展示されたデモカーの姿を、レポートしよう。
●文/写真:月刊自家用車編集部(ヤマ) ●外部リンク:シーテック
道路管理も先進技術で高度・確実に
みなさんも見かけたことがあるだろう、黄色く塗られた高速道路の巡回管理車両。交通管理隊が使用する、「高速道路パトロールカー」だ。
その名の通り高速道路上に異物、事故などの異常がないかをパトロール。障害物の排除や事故時の交通整理でも活躍する、いわば高速道路の”安全の番人”。
このパトロールカーについてネクスコ中日本では、最新センシング技術を搭載することにより、より高度な安全管理を目指しているという。
人の感覚だけに頼らないセンシング
担当者によれば、普段の巡回業務では基本的に、隊員の目視や感覚で異常を察知。落下してしまった積荷などの障害物だけでなく、道路の陥没や壁面の亀裂などの異常も目視でチェック。
視覚だけではなく、橋などの繋ぎ目・ジョイントや路面の荒れ具合のチェックも体感によるものだという。
そこで現在実証実験を行なっている車両については、前方の高画質カメラ/左右の高画質カメラ/後方の高画質カメラのほか、振動検知用センサー/音声収集センサー/路面状況検知センサーや位置情報システムを搭載。
これらにより、各種異常を車両側で検知し報告。人間の感覚だけに頼ったパトロールではなく、センシング技術により高度化・確実化。より高度な管理の実現を目指しているのだ。
実験車はランクル、デモカーはエクストレイル
今回のデモカーの車内を覗かせてもらうと、パトランプの操作スイッチのほかスマートフォン状の機器も。各種車両側センサー類だけでなく「隊員が見つけた異常についても個別に報告できる」よう、このような機器が設置されているとのこと。
今回シーテック2024に展示された車両は、カメラ搭載場所を車外の定位置に固定するなどした、将来の姿をイメージしたデモカー。実際の実験車両については、カメラは室内窓際などに設置されているという。デモカーのベースはエクストレイルだ。
担当者によると、2〜3年前からスタートしているという実証実験。「ネクスコ中日本では保全・サービスセンターという事務所が24拠点あるが、その内、実験車両が導入されている拠点はわずか1拠点。残る23拠点では引き続き、隊員がチェックしている。順次(実験や高度センシングを)広げていきたい」と語った。
日常にレジャーにビジネスに。見えない範囲でも、日々”利用している”高速道路。その安全管理が、隊員の目視などにより支えられている現状。
これら先進技術の導入が進むことで、より高度で隊員の負担の少ない高速道路の管理運営ができるよう、期待したい。
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