二輪の分野でよく知られるヤマハ発動機が、2024年から新事業として研究開発に乗り出した、汎用性の高い4輪EVプラットフォーム『DIAPASON(ディアパソン)』。そのバリエーションである2人乗りの電動バギー2種類が、2025年1月の東京オートサロンで展示されていた。ブルドーザー×トレーラーに、本格オフロード仕様といずれも童心をくすぐってくる、ワクワクするパッケージだったぞ。
●文:月刊自家用車編集部(石川) ●写真:月刊自家用車編集部(石川)、ヤマハ発動機 ●外部リンク:ヤマハ発動機
免許返納後もアクティブに楽しむための小型低速EV
パワーユニットに自社の電動モーターを、バッテリーにホンダの「モバイルパワーパックe:」を採用した汎用EVプラットフォームをヤマハが初公開したのは、2024年の東京オートサロンでのこと。当時は『YAMAHA MOTOR PLATFORM CONCEPT(ヤマハモータープラットフォームコンセプト)』という名称だった。
そんなEVプラットフォームが名称を『DIAPASON』と新たにしつつ、進化。2025年の東京オートサロンでは、『C580』という、畑地や不整地など、荒れた路面での走破性を重視したモデルバリエーション2台の展示という形で、開発の進捗を見せてくれた。そのターゲットユーザーは”農業などに従事している免許返納済みの高齢者”で、車両区分は、トラクターと同じ”小型特殊自動車”だという。
この区分設定は、免許の自主返納時に選べる、運転免許の一部返納もしくは、下位免許申請という手続きを鑑みてのもの。これを利用すれば、「小型特殊免許のみ申請して残す」ことができてしまうのだ。つまり、軽トラックを降りても、DIAPASONなら乗れるというわけ。
もっともそんな一部返納済みの高齢者でも運転できるだけあって、小型特殊自動車には明確な規制がある。長さ4.7m以下、幅1.7m以下、高さ2.8m以下と、サイズこそ軽自動車より大きく作れるものの、 最高速度は15km/h以下に抑えなければならないのだ。それでも、シニアカーの制限速度6km/hと比べれば、倍以上のスピード。意外とアクティブな行動範囲を維持できそうだ。
シニア向けを感じさせないパッケージ
ここからは、2025年の東京オートサロンでの展示された2台のC580を見てみよう。車体の寸法は明かされていないが、見た目のサイズは軽自動車よりも一回り小さく、ゴルフ用のカートに近いぐらいだった。低速で走行することや、細い田舎道で行き来することも、想定したサイズ感なのだろう。いずれもシニア向けという雰囲気を感じさせない、遊び心をくすぐりまくる外観となっている。
DIAPASON C580 Fork1:農作業が捗るギミック満載
Fork1の装備でなにより楽しげなのが、ブルドーザー感あふれる、フロントに設置された排土板(ブレード)。コンパクトな分、機敏に走り回りながら田んぼや畑をどんどん整地していく姿が目に浮かぶ浮かぶ。加えて、車両後方にはトレーラーが連結。展示車両では、噴霧器や散水機といった農器具に、予備のバッテリーなどを積載しており、トラックの代替にも十分なり得そうな利便性を伺わせていた。
DIAPASON C580 Fork2:スポーティーなオフロードラリー仕様
どちらかといえば実用性をウリにしていたFork1とは打って変わって、Fork2はシンプルに「乗りたい!」と感じさせる、シンプルながらスポーティーさを打ち出したモデルだ。
オフロードラリー車をモチーフにしたエクステリアや、カスタムシーンでも人気の高いWORKSのMEISTER S1の、ゴールドタイプを採用するなど、とてもスタイリッシュ。ホワイトレター入りで、サイドウォールの見栄えがいいYOKOHAMAのタイヤ、OPEN COUNTORY R/Tを履いていることもカスタム感をアップさせている。
老後でなくても乗ってみたいと思わせてくれる、DIAPASON C580シリーズ。2026年には市販化を予定しているというので、次なる展開が楽しみだ。
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