
ヤマハ発動機が2024年から新事業として研究開発に乗り出した、汎用性の高い4輪EVプラットフォーム「DIAPASON(ディアパソン)」。そのバリエーションである2人乗りの電動バギー2種が、『東京オートサロン2025』で展示されていた。ブルドーザー×トレーラーに本格オフロード仕様と、いずれも童心をくすぐってくる、ワクワクするパッケージだったぞ!
●文/写真:月刊自家用車編集部(石川) ●写真:ヤマハ発動機 ●外部リンク:ヤマハ発動機
免許返納後もアクティブに楽しむための小型低速EV
パワーユニットに自社の電動モーターを、バッテリーにホンダのモバイルパワーパックe:を採用した汎用EVプラットフォームをヤマハが初公開したのは、『東京オートサロン2024』でのこと。当時は「YAMAHA MOTOR PLATFORM CONCEPT(ヤマハモータープラットフォームコンセプト)」という名称だった。
【YAMAHA MOTOR PLATFORM CONCEPT】
そんなEVプラットフォームが、名称を「DIAPASON」と新たにしつつ進化。『東京オートサロン2025』では、「C580」という、畑地や不整地など荒れた路面での走破性を重視したモデルバリエーション2台の展示という形で、開発の進捗を見せてくれた。そのターゲットユーザーは”農業などに従事している免許返納済みの高齢者”で、車両区分は、トラクターと同じ”小型特殊自動車”だという。
この区分設定は、免許の自主返納時に選べる、運転免許の一部返納もしくは、下位免許申請という手続きを鑑みてのもの。これを利用すれば、“小型特殊免許のみ申請して残す”ことができてしまうのだ。つまり、軽トラックを降りても、DIAPASONなら乗れるというワケ。
もっとも、そんな一部返納済みの高齢者でも運転できるだけあって、小型特殊自動車には明確な規制がある。長さ4.7m以下/幅1.7m以下/高さ2.8m以下と、サイズこそ軽自動車より大きく作れるものの、 最高速度は15km/h以下に抑えなければならないのだ。それでも、シニアカーの制限速度6km/hと比べれば倍以上のスピード。意外とアクティブな行動範囲を維持できそうだ。
シニア向けを感じさせないパッケージ
ここからは、『東京オートサロン2025』での展示された2台のC580を見てみよう。車体の寸法は明かされていないが、見た目のサイズは軽自動車よりもひと回り小さく、ゴルフ用のカートに近いぐらいだった。低速で走行することや、細い田舎道で行き来することも想定したサイズ感なのだろう。いずれもシニア向けという雰囲気を感じさせない、遊び心をくすぐりまくる外観となっている。
DIAPASON C580 Fork1:農作業が捗るギミック満載
Fork1の装備でなにより楽しげなのが、ブルドーザー感あふれる、フロントに設置された排土板(ブレード)。コンパクトなぶん、機敏に走り回りながら田んぼや畑をどんどん整地していく姿が目に浮かぶ浮かぶ。加えて、車両後方にはトレーラーが連結。展示車両では、噴霧器や散水機といった農器具に、予備のバッテリーなどを積載しており、トラックの代替にも十分なりえそうな利便性を窺わせていた。
カバー付きのスイッチ、たまらん!
DIAPASON C580 Fork2:スポーティーなオフロードラリー仕様
どちらかといえば実用性をウリにしていたFork1とは打って変わって、Fork2はシンプルに「乗りたい!」と感じさせる、シンプルながらスポーティーさを打ち出したモデルだ。
オフロードラリー車をモチーフにしたエクステリアや、カスタムシーンでも人気の高いWORKS MEISTER S1のゴールドタイプを採用するなど、とてもスタイリッシュ。ホワイトレター入りで、サイドウォールの見栄えがいいYOKOHAMAのタイヤ・OPEN COUNTORY R/Tを履いていることもカスタム感をアップさせている。
老後でなくても乗ってみたいと思わせてくれる、DIAPASON C580シリーズ。2026年には市販化を予定しているというので、次なる展開が楽しみだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(EV)
最高出力はスーパースポーツに匹敵する850kW(1,156PS)。 新型カイエン・ターボ・エレクトリックは、スーパースポーツカー級の性能を発揮するポルシェ史上最もパワフルな市販モデル。 ポルシェのDN[…]
日本市場への導入は、2026年夏を予定 「ジャパンモビリティショー2025」のプレスデイの初日となる10月29日、BYDは、EV「RACCO(ラッコ)」のプロトタイプを発表した。これは、日本の軽自動車[…]
2026年度内の量産化を公言 スズキブースの目玉は「Vision e-Sky」と名付けられた、軽EVのコンセプトモデル。 スズキは「日々の通勤や買い物、休日のちょっとした遠出など、軽自動車を生活の足と[…]
BEV本格普及に向けて、本気モデルが発売開始 今回の改良では、BEVをより身近な選択肢とするため、「使いやすさの改善」「BEVならではの楽しさの追求」「内外装デザインの変更」を柱とした変更が実施される[…]
EX40初の天然木採用で、極上の室内を演出 特別仕様車EX40 Classic Editionは、EX40 Ultra Single Motorをベースに、ユーザーから人気の高いテイラード・ウール・ブ[…]
最新の関連記事(東京オートサロン)
無限のお家芸のカーボンボディキットがスタイルアップのキモ。その価格は総額で1000万円オーバー 『東京オートサロン2025』で実施されたカーコンテストの中で、ドレスアップスポーツカー部門で優秀賞に輝い[…]
普通免許で運転できる小型トラック「エルフミオ」の可能性をアピール 免許制度が変わったこともあって、ドライバー不足が叫ばれているトラック界隈ですが、そんな業界の危機を救う存在として注目されているのが、普[…]
海外ブランドタイヤ直輸入で名を馳せたオートウェイ。ブースでは最新銘柄をアピール 海外ブランドタイヤでお馴染みのAUTOWAY。中国や東南アジアで生産される海外ブランドタイヤは、こなれた価格もあって注目[…]
タイヤ&ホイールの絶妙なマッチングで、タフネスな足もとを演出 東京オートサロンのEXIZZLE-LINEのブースで抜群の存在感を放っていた「LC250 春・秋 CAMP Ver.」と名付けられたランク[…]
シリカの力で輝きを守るGYEONのカーケアケミカル 二酸化ケイ素(いわゆるシリカ)をいち早く取り入れ、カーケアケミカル業界のグローバル市場を席巻しつつGYEON(ジーオン)。洗車初期のデブリ除去/ブレ[…]
人気記事ランキング(全体)
冬のエアコンは“いきなり全開”が一番ムダになる理由 冬の朝は車内が冷え切り、シートもハンドルも硬く感じる。そんな状況で暖房を思い切り上げてしまうドライバーは少なくない。しかし、暖房はエンジンの排熱を利[…]
固着したネジが動かない…作業を止める小さな“壁” どれほど簡単な整備手順でも、一本のネジが固着しているだけで作業は急に難しくなる。サビが食い込み、雨ざらしのボルトが内部で膨張し、樹脂パーツとの隙間に汚[…]
わさびを主成分とした抗菌剤で、エアコン内部のニオイを抑制 エアコンフィルターに装着して除菌消臭効果を格段に向上させるという製品が、自動車部品のグローバルメーカーValeoのわさびデェールだ。この製品は[…]
予想外のトラブルに備える、小さな“安心材料” クルマに乗っていると、どれだけ用心していても避けられない出来事がある。釘を踏み抜くパンクや、走行中の異物接触、さらには路肩での急な停車など、経験した人なら[…]
一見、何に使うかわからないが、活用の幅は広いアイテム 今回紹介するのは、様々なカー用品を多数リリースするカーメイトのグッズだ。商品の写真や装着した写真だけを見ても、どうやって使用するのかわかりにくいか[…]
最新の投稿記事(全体)
目玉の「ミゼットX 大阪Ver.」には、ダイハツの地元を象徴する大阪城マークを採用 出展テーマは“わたしにダイハツメイ。小さいからこそできること。小さいことからひとつずつ。”とし、「わたしにぴったり」[…]
BEVでも「走りの楽しさ」は深化できる このモデルはマスタードライバーを務めるモリゾウ(豊田章男会長)の「クルマ屋が残していくべき技術・技能を次の世代に受け継がなければならない」という強い想いのもと、[…]
モータースポーツを起点とした「もっといいクルマづくり」を結集 今回、TGRが発表した2台のハイパースポーツは、TGRが目指している「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を深化させ、GR[…]
トヨタのレジェンドモデルが高速走行を繰り広げる! 今回発表された「GR GT」は単なる新しいスポーツカーではない。TOYOTA 2000GT、Lexus LFAと続いてきた系譜を継ぐ、トヨタの思いが込[…]
固着したネジが動かない…作業を止める小さな“壁” どれほど簡単な整備手順でも、一本のネジが固着しているだけで作業は急に難しくなる。サビが食い込み、雨ざらしのボルトが内部で膨張し、樹脂パーツとの隙間に汚[…]
- 1
- 2



























