
ダイハツは、8月25日より歩行領域モビリティ「e-SNEAKER(イースニーカー)」を発売した。どのような乗り物であり、ダイハツの狙いは何かなどを解説しよう。
●文/写真:鈴木ケンイチ
「歩行領域モビリティ」という新しいカテゴリーを提案
ダイハツから、まったく新しい歩行領域のモビリティ「e-SNEAKER(イースニーカー)」が登場した。8月25日より、全国のダイハツの販売店から発売となる。価格は41万8000円(消費税非課税)だ。
「e-SNEAKER(イースニーカー)」は、従来ある商品カテゴリーでいえば「ハンドル型電動クルマいす」となる。
電動クルマいすであるため、走行するのは歩道であるし、車いすと同等に、建屋内でも運用できることになる。最高速度は時速6㎞だ。
また、クルマいすと同じように補助金の受給に関しても、現在、ダイハツが申請中とのこと。ちなみに競合となるのはスズキの「セニアカー」であり、41万8000円という価格は、スズキもダイハツも、まったく同じだ。
「e-SNEAKER(イースニーカー)」は、「胸張れる 軽快 安心モビリティ」をコンセプトとしており、ダイハツも「歩行領域モビリティ」と呼んでいる。
つまり、従来の電動クルマいすの領域にとどまらず、もう少し走行領域やターゲット・ユーザーが広くなっていることが特徴だ。
実際、その見た目は洗練されたもので、腰を下ろすシートも上下3段階に調整が可能。乗車したときの目線の位置は、自転車の感覚に近く、従来の電動クルマいすとは一線を画すものに思える。
洗練されたデザインと高いシートポジションが特徴。シートは上下3段階に調整ができる。
“苦しそう”“不自由そう”といったネガティブなイメージの払拭を目指す
ダイハツは、2025年春から開催されている大阪万博に約150台の「e-SNEAKER(イースニーカー)」を提供していて、これまで約3万5000人以上に体験してもらったという。体験者は年輩層だけでなく、女性や若年層など含まれており、「未来の乗り物だ」「格好良い」「楽しかった」といった、ポジティブな評価を非常に多く得たという。
「従来のシニアカーには、どこか“苦しそう”“不自由そう”といったネガティブなイメージがつきまとっていました。そうではなく、もっとみなさんが歩行領域で、楽しんで乗りたいと思えるようなモビリティを目指しました」と開発を担当したダイハツの鐘堂信吾氏は説明する。
「社会ではこのような移動手段を必要とする方が増えており、ニーズは確実にあるはず。重要なのは、“乗りたい”と思ってもらえるかどうかです。実際に大阪万博で体験してもらうことで、“これは皆に受け入れられる”という手応えを感じております」と、鐘堂氏は自信を見せたのだ。
新しい市場を開拓する可能性を秘めた乗り物
今回、「e-SNEAKER(イースニーカー)」の取材会では、屋内ではあったけれど、実際に試乗することができた。
試乗で最初に感じたのは「意外に前傾姿勢である」ということだ。
電動クルマいすではなく、電動自転車に乗っているような感覚になる。聞けば、シートの高さは、上中下の3段階に変えることができ、最も低くすれば、競合のセニアカー同等のような姿勢も可能。シートの高さは、安心重視なら低め、軽快に走るなら高めのポジションというように、ユーザーの好みで変えることができるという。
操作も非常にシンプルだ。右手のアクセルと後退スイッチ、左手のブレーキ、コンソールの速度切り替えスイッチ/警報音スイッチ/ヘッドライトスイッチのみ。実際に走るときの加速減速は、アクセルのみで済んでしまう。アクセルを戻したときの回生ブレーキは強めで、アクセルの操作だけでも、停止状態まで持っていける。
「e-SNEAKER」は、操作が非常にシンプル。ハンドルの右手側にはアクセルと後退スイッチが備えられている。
それでいて加速は非常に力強い。路面の段差は高さ7.5㎝、幅10㎝まで乗り越えることができるとのこと。8インチのフロント大径タイヤは空気入りで、乗り心地も良好。車両重量は64㎏もあるため、安定感は抜群。姿勢を崩しても、倒れるような気配は一切なかった。
シートの高さは調節可能。高さを上中下の3段階に変えることができ、最も低くすると一般的なセニアカーと同等の姿勢になる。安心感を重視するなら低め、軽快な走りを求めるなら高めのポジションがオススメ。
8インチのフロント大径タイヤは空気入り段差の乗り越えにも対応。
持ち運びがしやすい脱着式軽量バッテリーを採用。バッテリーの重量は2.5kg。約2.5時間で満充電となり、一充電での連続走行距離は12kmとなる。
試乗を終えて振り返ってみれば、見事にコンセプト通りの乗り物だったのだ。
ルックスは「胸張れる」デザインであるし、「軽快」な加速力と、「安心」の安定感もしっかりと感じられる。電動クルマいすを超える、歩行領域モビリティは、これまでにない新しい市場となる可能性はかなり高そうだ。
新たな分野を切り開く先駆者として、「e-SNEAKER(イースニーカー)」には大きな期待が集まるのは間違いなさそうだ。
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