
固着したネジが外せず悪戦苦闘するという経験は、誰しも1度や2度はあるだろう。無理して外そうとすると、ネジがナメてしまい余計に泥沼に…。そんな状況になる前に、固着したネジを簡単に外す方法があるので、紹介しよう。誰でも簡単にできるテクニックなので、憶えておいて損はないだろう。
●写真/文:オートメカニック編集部
ナメやすいプラスのネジ。より確実に外すために知っておきたいこと
世の中には、それこそ星の数ほど工具が存在するが、その中でもスクリュードライバーは極めて高い使用頻度を誇る。しかし、その基本を正確に実践できているケースは驚くほど少ない。締結・緩め作業における鉄則は、グリップ後端を掌で垂直に「押し付けながら回す」ことにある。推力が不足すれば、先端のカムアウト(ネジ溝からの浮き上がり)を招き、損傷の直接的な原因となるからだ。このリスクを排除するため、把持方法の最適化は不可欠なプロセスといえる。
また、工具の選定において「大は小を兼ねる」という論理は通用しない。サイズ適合に不備があれば、ガタつきによる伝達効率の低下を招くだけでなく、ネジ溝の破壊(いわゆる「なめる」状態)を誘発する。自動車整備で多用されるネジ径は概ね3〜6mmの範囲に集約されるが、これらに完全適合させるためには、最低でも3規格のドライバーを揃えることが推奨される。ネジの脱着に際しては、公差のない「ジャストフィット」な個体を選別すべきである。
ネジのサイズとドライバーのサイズが合っていることが重要。
もっとも、基本を遵守していても、経年劣化や熱害による「固着」に直面する場面は少なくない。ここで無理な入力を継続するのは禁物だ。高トルクで固着したネジへのアプローチは、通常の操作理論とは一線を画す。整備用ドライバーの打撃機能を活用する手法や、ショックドライバー等の専用品を投入する判断が求められる。仮にネジ溝が崩壊した場合であっても、救出のためのリカバリーメソッドは厳然として存在するのだ。
ドライバーの正しい使い方「ネジを外す」
スクリュードライバーは、自動車整備のみならず一般家庭においても常備される普遍的な道具である。什器の組み立てから電装品の補修に至るまで、作業の起点となる最小単位のツールと言っても過言ではない。しかし、家庭用として流通する安価な製品群には、硬度不足や精度の甘さが散見され、規格の適合性にも懸念が残る。確実な整備を完遂するためには、産業規格に準拠した整備用ドライバーの採用が原則である。
ドライバーの正しい持ち方。「グリップ後端を手のひらに当てる」
確実にネジを外すには、ドライバーの持ち方の基本を修得することも重要である。正しいホールド方法は、グリップ後端を掌の中央に据え、四指で包み込むようにホールドする。さらに親指をグリップ上面に、人差し指を側面に添えることで、軸線方向への安定した加圧が可能となる。この保持が不適切であれば、先端がネジ溝を乗り越える「カムアウト現象」を誘発し、致命的な損傷を招く。
ネジを外す際のドライバーの操作の基本
ドライバー使用時の基本原則は、ネジ溝への完全なフィッティングと、中心軸に対する垂直性の維持である。常に「押し」の力を主眼に置いたトルク管理が求められる。万一、手応えが「グニュ」とした不穏な感触に変わったならば、即座に作業を中断しなければならない。それはネジ頭が塑性変形を起こし、破綻する前兆に他ならないからだ。
固着したネジを外す「ハンマーで叩いてショックを与える」
自動車整備においては、軸部がグリップを貫通して後端に露出している「貫通ドライバー」の使用を推奨する。この構造により、ハンマーによる打撃衝撃(ショック)を先端へダイレクトに伝達可能となり、固着したネジの剥離に絶大な効果を発揮する。同時に、打撃に耐えうる高い剛性が担保されている点も、一般用ドライバーとの決定的な差異である。
使用方法は、軸部はネジに対して垂直に立てるようにあてがい、その態勢を維持する。そして、ショックを与えるときは回そうとする方向にグリップを押さえ込むように持つのがコツだ。この作業で、固着して外せなくなったネジがあっさりと回ってくれる可能性が高い。
ネジを緩める方向に力を入れてハンマーで叩くと効果的だ。
リーズナブルなので、1本は用意しておくと便利な「貫通ドライバー」
軸部がグリップ内を“貫通”してグリップ後端に露出しているドライバーで、このタイプのドライバーなら固く締まって緩まないネジに対し、グリップ後端をハンマーで叩いてショックを与えるという使い方ができるのだ。
万が一、ネジがナメしまったら…。専用ドライバーの使用がオススメ
注意深く作業していても、ネジがナメてしまうことはある。溝がほとんどつぶれてしまうと、通常のドライバーでは緩めることも締めることも難しい。そこで使用したいのが、ナメたネジにも対応する「専用のドライバー」だ。
ナメたネジの溝を再生できる専用ドライバー。アネックスのビスブレーカー。
この専用ドライバーは、潰れたネジ溝のリカバリー機能を有しているので、通常のドライバーでが通用しない場合に威力を発揮する。先端が特殊な形状をしていて、つぶれた溝にまっすぐ当ててグリップ後端をハンマーで強く叩くことで溝を再生でき、ガッチリ食い付くというもの。この専用ドライバーも1本用意しておくと重宝するだろう。
ブスブレーカーの使い方。ネジに対して軸が垂直に立つようあてがい、グラつかないようガッチリ保持しながらグリップ後端をハンマーで強く叩く。
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