PHEVなのに398.2万円から。BYDシーライオン6は、まさに「価格破壊」。静かで快適な移動を求める人も、必見のクルマだった件│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

PHEVなのに398.2万円から。BYDシーライオン6は、まさに「価格破壊」。静かで快適な移動を求める人も、必見のクルマだった件

PHEVなのに398.2万円から。BYDシーライオン6は、まさに「価格破壊」。静かで快適な移動を求める人も、必見のクルマだった件

BYDから初のプラグインハイブリッド(PHEV)新型モデルとなる「SEALION(シーライオン)6」が発売された。このモデルがどのような特徴を持ち、どのような走行性能を備えているのか、試乗を交えてその内容を紹介しよう。

●文/写真:鈴木ケンイチ

日本導入第5弾モデルは、初のPHEVモデル

BYDの日本導入モデルとして5番目となる「シーライオン6」は、12月1日より販売が開始された。BYDとしては日本市場で初めてとなるプラグインハイブリッドのミッドサイズSUVだ。

日本に導入されるのはFFと4WDの2グレード。最も驚かされるのは、FFモデルが398万2000円、4WDモデルが448万8000円という価格設定だ。

参考までに、同じPHEVのミッドサイズSUVである三菱・アウトランダーPHEVは4WDで529万4300円から、トヨタ・RAV4プラグインハイブリッドは4WDで566万1700円からになる。4WD同士で比較しても、シーライオン6は日本車より80万円以上も安価ということになる。

ここまでシーライオンの価格がこなれているのは、コスト増の原因でもある駆動バッテリーが、自社製のブレードバッテリーであることも大きいのだろう。

他のBYDの海洋シリーズと同様に、シャープでキレの良いデザインを採用。ミッドサイズSUVとしては大柄モデルとなる。

貫禄のあるサイズ感と、価格を超える高級な室内

今回試乗したのはFFモデルだ。もうひとつのグレードである4WDモデルの納車は2026年3月からを予定している。

シーライオン6のボディ寸法は、全長4775mm、全幅1890mm、全高1670mm。ミッドサイズSUVとしては大柄な部類に入り、RAV4より大きく、アウトランダーPHEVと近いサイズだ。

デザインは、他のBYDの海洋シリーズと同様のテイストで、オーシャンXをモチーフとしたシャープで独特なルックスを持つ。すでに導入済みのシーライオン7がSUVクーペ風であるのに対し、シーライオン6は、よりオーソドックスなSUVスタイルを採用している。荷室容量は通常モードで425リットル、シートを倒せば1440リットルとなり、実用性も申し分ない。

大型15.6インチディスプレイとブラウン&ブラックのツートン合皮シートで高級感を演出。

ステアリング奥のメーターも12.3インチのカラー液晶が用いられている。

インテリアで最も目を引くのは、15.6インチのタッチディスプレイと12.3インチのメータークラスターという大型ディスプレイの存在だ。機能面では、Apple CarPlayやAndroid Autoだけでなく、Spotifyなどのアプリにも数多く対応している。

大型タッチディスプレイは、Apple CarPlayやSpotify等のアプリに対応。

フロントシートはヘッドレスト一体型のスポーツシート。シートヒーター&ベンチレーション機能も標準装着される。リヤシートは5段階のリクライニング機構を備えるコンフォートタイプ。足もとはフラットなので、余裕も十分に確保されている。

シートは合皮ながら、ブラウンとブラックのツートンカラーでシックな雰囲気があり、前席にはヒーターとベンチレーション機能が備わる。

また、前部開閉可能なサンルーフは開口部が広く、室内の明るさも十分。試乗したFFモデルは398万2000円という価格だが、室内の印象は、その価格設定を超える高級感がある。

バー形状のシフトレバーの周囲には、ドライブ機能をサポートする物理スイッチが配置される。直感的な操作感を重視したレイアウト。

BYD独自のプラグインハイブリッド「スーパーハイブリッドDM-i」

シーライオン6が搭載するプラグインハイブリッドシステムは、BYDが「スーパーハイブリッドDM-i」と呼ぶ独自の技術だ。

このシステムは、1.5リッターエンジン、モーター、そしてBYD製のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーであるブレードバッテリー(18.3kWh)を組み合わせている。走行シーンのほとんどをモーター駆動でまかない、高速道路などの高速走行領域ではクラッチを用いてエンジンの力を直接タイヤに伝える、いわゆるシリーズ・パラレル方式を採用している。

エンジンは、FFモデルが自然吸気仕様であるのに対し、4WDモデルにはターボ仕様が組み込まれる。FFモデルの駆動用モーターの最高出力は145kW(197PS)/300Nmだ。一方、4WDは前後合わせて270kW(367PS)/550Nmを誇り、0-100㎞/h加速5.9秒という俊足ぶりを見せる。この強力なパワーに必要な電力を供給するため、4WDモデルにはターボエンジンが採用されているのだろう。そして、満充電でのEV走行換算距離はFFで100kmに達する(4WDは現在申請中)。

街中でのスムーズさと静かさに驚き

実際にシーライオン6で街中を走り始めると、まずステアリングの手応えが重いことに気づく。クルマ全体の動きからも、車両重量1940㎏という重量感をしっかりと感じさせてくれる。

アクセルを深く踏み込めば、それなりに力強い加速を見せるが、全体としては「落ち着いた」という印象が強め。また、ロードノイズが小さく、静粛性に優れているのも大きな美点だ。街中を走行する速度域では、ほぼすべてモーター駆動で走行するため、この「静かさ」の印象がさらに強まってくる。

速度が上がってくると、80㎞/hを超えたあたりからエンジンが始動するのだが、その音と振動は非常に小さかった。稼働中のエンジンの音と振動が一定していることから、効率を最優先した制御が行われていることがわかる。ゆったりとした動きと合わせて、このクルマがファン・トゥ・ドライブよりも、コンフォート(快適性)を優先した走り味を狙っていることが伝わってくる。

1.5Lエンジンと駆動モーター、ブレードバッテリーを組み合わせた、シリーズパラレル式のプラグインハイブリッドシステムを搭載。ブレードバッテリーの容量は18.3kWhと同社のEVと比べると小型だが、EV走行換算距離でも100㎞を達成する。

落ち着いた振る舞いを見せるコスパの良いSUV

シーライオン6は、プラグインハイブリッドとして非常に優れた資質を持つ。走行はスムーズで静かであり、EV走行換算距離100㎞というスペックも優秀だ。

大きなサンルーフに加え、ヒーター&ベンチレーション機能付きのシートなど、機能面も充実しているし、荷室も広く実用性が高い。先進運転支援システムも、ACCをはじめとする基本的な機能を一通り揃えている。

これほど充実した内容でありながら、価格が非常にリーズナブルである点は特筆すべきで、まさにコストパフォーマンスに優れるクルマと言えるだろう。

ゆったりと電動車ライフを送りたいと考えるユーザーにとって、シーライオン6は非常に魅力的な一台になるはずだ。

主要諸元
BYD シーライオン6(FF)
寸法:全長4775×全幅1890×全高1670㎜
車両重量:1940㎏
バッテリー容量:18.3kWh
フロントモーター最高出力:145kW 
フロントモーター最大トルク:300Nm
エンジン:直列4気筒ガソリン
総排気量:1498㏄
最高出力:72kW/6000rpm
0-100km/h加速:8.5秒
EV走行換算距離(等価EVレンジ):100km
ハイブリッド燃費消費率:22.4km/l(WLTCモード)
タイヤサイズ:235/80R19
価格:398万2000円

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