
7代目クラウン(S120系)は、1983年に発売されたモデルで、「いつかはクラウン」というキャッチコピーとともに、日本の高級車の代名詞となった。国産高級車の地位を確固たるものにしたこのクルマの詳細を見ていこう。
●文:月刊自家用車編集部
伝説のコピー「いつかはクラウン」を生んだ、7代目S120系の足跡
1983年に満を持して登場した7代目クラウン(S120系)は、日本の自動車史に燦然と輝く名キャッチコピー「いつかはクラウン」とともに、国産高級車の代名詞としての地位を不動のものにした一台である。
技術面における進化も目覚ましく、上級グレードには先進の独立懸架サスペンションを採用して極上の乗り心地を実現。さらに日本初となるスーパーチャージャー搭載エンジンの投入など、当時の最先端テクノロジーが惜しみなく注ぎ込まれた。まさに、日本のハイエンドカーの基準をひとつ引き上げた、歴史的名車と呼ぶにふさわしいモデルだ。
トヨタ・クラウンハードトップ3.0ロイヤルサルーン(1984年式)
4ドアハードトップがシリーズの中心となり、Cピラーには「クリスタルピラー」と呼ばれる光沢のあるクリアボードが採用され、高級感を演出した。
クラウンハードトップ3.0ロイヤルサルーン主要データ(1984年式)
●全長×全幅×全高:4690㎜×1745㎜×1410㎜●ホイールベース:2720㎜●車両重量:1470㎏●エンジン(6M-GEU型):水冷直列6気筒SOHC 2954㏄●最高出力:190PS/ 5600rpm ●最大トルク:26.5㎏-m/ 4000rpm●トランスミッション:4速AT●乗車定員:5名●サスペンション:前ダブルウイッシュボーン/セミトレーリングアーム独立懸架
大ヒットした先代の面影を残す、気品高き「キープコンセプト」の意図
一見しただけでは先代である6代目との区別が難しいとされる7代目クラウン(MS125系)。しかし細部に目を向けると、きらめくパネルを透明な樹脂で覆った「クリスタルピラー」(セダン/ハードトップ)の採用など、独自の意匠が凝らされていることが分かる。これほど明確なキープコンセプト路線を選択した背景には、偉大なる先代が勝ち得た絶大な人気と、それゆえの「変えない美学」があったことを物語っている。
今世代からは2ドア・ハードトップが廃止され、セダン、4ドア・ピラードハードトップ、ワゴン、バンという4タイプに集約された。興味深いのは、セダンに伝統的なフェンダーミラーを残す一方、4ドア・ハードトップにはドアミラーを採用した点だ。ここには、フォーマルな法人需要と、パーソナルな個人ユーザーのニーズを巧みに満たそうとした、トヨタの緻密なマーケット戦略が見て取れる。
法人向けやハイヤー、教習車など、プロユースのニーズにも応えるモデルとして、ハードトップとともにクラウンのブランドイメージを支えた。
外観こそ先代のシルエットを踏襲しているが、ホイールベースは実質的に延長。さらに最上級グレードとなる「ロイヤルサルーンG」がセダンと4ドア・ハードトップの双方に設定され、プレミアム性をいっそう高めた。
伝統のフレーム構造に宿る、先進のサスペンションとパワーユニット
クラウン伝統のペリメーターフレーム構造は踏襲しつつも、メカニズムにはドラスティックなメスが入れられた。「ロイヤルサルーンG」および2Lの「ロイヤルサルーン」には、従来の5リンク+コイルのリジッド式に代わり、セミトレーリングアーム式の独立懸架リヤサスペンションを新採用。さらに、軽量で軽快なロイヤルサルーンにはスポーティな味付けの「Sパッケージ・サスペンション」も用意され、ドライバーズカーとしての走りの歓びも追求された。
パワーユニットの進化も目覚ましく、1984年にはロイヤルサルーンGの心臓部が2.8Lから3Lへとスープアップ。翌1985年のマイナーチェンジでは、従来のM型ターボに代わり、ツインカムの1G-G型に日本初のスーパーチャージャーを組み合わせた画期的なエンジンが登場する。
外観の印象こそ手堅いものであったが、その中身には目を見張るほどの高密度なメカニズムが秘められていたのだ。折しも日本中を席巻した「ハイソカー・ブーム」の主役として、7代目は熱狂的に迎えられた。日本のクルマ社会における成功の階段(ヒエラルキー)を象徴した「いつかはクラウン」というフレーズは、元々はこの7代目のために用意されたものであったが、やがて時代を超えてクラウンというブランドそのものを象徴する、偉大な金字塔となったのである。
上級グレードに採用された「エレクトロニックディスプレイメーター」。多くの国産車がアナログメーターを主流とする中、このデジタルメーター採用はクラウンの先進性を強く印象付けた。
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