
太陽光で電気をつくり、その電力で走る・・・そんなユニークな小型モビリティが「スリールオータ」だ。EVジェネシスが開発・製造する3輪EVで、車検や車庫証明が不要。家庭用100Vコンセントから充電できるほか、ソーラーパネルを搭載すれば太陽光から走行用の電力をつくることもできる。
さらに、バッテリーに蓄えた電力を外部へ供給する「電配」機能にも対応。災害や停電時には、移動手段であると同時に非常用電源としても活用できる。いったいどんな乗り物なのか。価格や装備、購入方法まで詳しく見ていこう。
●文:月刊自家用車編集部 ●写真:EVジェネシス株式会社
開発・製造するのは日本のEVメーカー「EVジェネシス」
スリールオータを手掛けるのは、東京都渋谷区に本社を置くEVジェネシス株式会社だ。
同社はモビリティとパワーユニットの開発・製造を手掛ける日本のスタートアップで、スリールオータを「環境にも人にも優しい、新しいモビリティ」と位置づけている。
一般的な乗用車メーカーとは異なり、ユーザーの用途や地域に合わせて車両の仕様を提案するセミオーダー方式を採用しているのも特徴だ。坂道の多い地域なら強トルクのモーター、寒冷地ならセルフヒーターフィルムを内蔵したバッテリーなど、使用環境に応じたカスタマイズに対応する。
また、購入は代理店や販売店を介さず、EVジェネシスから直接行う方式。代官山にはショールームがあり、予約すれば実車の確認や試乗もできる。
価格は98万円から。限定30台の特別仕様車は115万円
スリールオータのスタンダードモデルは、税抜98万円。
2026年には、装備を充実させた限定30台のアニバーサリーモデルも設定されている。モニター価格で税抜115万円となり、スタンダードモデルとの価格差は17万円だ。
| スタンダードモデル | 限定30台モデル | |
|---|---|---|
| 価格(税抜) | 98万円 | 115万円 |
| ドア | ビニールタイプ | ハードドア |
| ソーラーパネル | なし | 高効率パネル2枚 |
| MPPT | なし | 搭載 |
| インバーター | 搭載 | 搭載 |
| ボディカラー | ホワイト | 4色 |
| 販売台数 | ― | 30台限定 |
限定モデルにはハードドア、高効率ソーラーパネル2枚、MPPTなどを標準装備。ボディカラーもホワイト、ペパーミントグリーン、ピンク、バイオレットの4色から選択できる。
なお、限定モデルの通常価格は税抜140万円で、115万円はモニター価格として設定されている点に注意。
内装はバイクのような「バーハンドル」を採用
「クルマ」というより「大きなスクーター」に近い部分も、スリールオータの面白いところだ。
ステアリングは一般的な自動車のステアリングホイールではなく、バイクのようなバーハンドル方式を採用。メーターにはスピードや走行モード、バッテリー残量などを表示するデジタルメーターを備える。
ドアの仕様によって登録区分も変わり、左右のドアがない仕様は側車付き軽二輪、ドア付き仕様はミニカーとして登録される。
ドアなしの側車付き軽二輪仕様では、後席を含めて3名乗車が可能。一方、ドア付きのミニカー仕様では1名乗車となる。同じ「スリールオータ」でも、選ぶ仕様によって使い勝手が大きく変わる。
太陽光で最大40km分の走行電力を発電
スリールオータ最大の特徴が、ルーフに搭載できるソーラーパネルだ。高効率23%のソーラーパネル2枚を搭載した仕様では、太陽光だけで最大40kmの走行電力を発電できるとしている。
ただし、発電量は季節や日照時間、駐車環境などによって変わる。「晴れていれば必ず40km走れる」という意味ではない。日常の移動を補助する電源として考えるのが現実的だろう。
家庭用100Vコンセントからの充電にも対応しており、バッテリーのタイプSは約6時間、タイプLは約8時間でフル充電できる。
スマホ約600台を充電できる「電配」機能
もうひとつ注目したいのが、車両に蓄えた電力を外部へ供給できる「電配」機能だ。
インバーター搭載車では、スマートフォンやタブレットの充電だけでなく、ポータブルクーラーやヒーターなどの電気製品も使用できる。Lサイズバッテリーを搭載した場合は、スマートフォン約600台をフル充電できるほどの電力を供給できるという。
停電や災害時には、移動するための車両から「電気を持ち運べる車両」へと役割を変えられるわけだ。
整備や購入はどうする? 代理店ではなくメーカーから直接購入
スリールオータを購入する場合、一般的な自動車ディーラーへ行くという形ではない。EVジェネシスによれば、代理店や販売店は設けておらず、同社から直接購入する方式となっている。
現在は台数を限定して販売しているため、購入を検討する場合は同社への問い合わせが必要だ。
また、代官山のショールームでは実車の確認や試乗も可能。小型EVとはいえ、バーハンドルや独特の乗車感覚を持つ車両なので、購入前に実車を確認しておきたいところだ。
なお、整備・アフターサービスについては、一般的な乗用車ディーラーと同じ感覚で考えず、購入時に対応窓口やメンテナンス体制を確認しておくと安心だ。
代官山のショールームで試乗可能。事前アポイント制。
車検・車庫証明不要の小型EVという選択肢
スリールオータは、最高速度は50km/hで、バッテリー容量によって航続距離は50kmまたは180km。車体は全長2270mm、全幅1190mmとコンパクトで、車検や車庫証明も不要となっている。
一方で、エアコンなど一般的な乗用車にある装備がすべて備わっているわけではない。その代わり、太陽光から電力をつくり、蓄えた電力を走行や家電、スマートフォンの充電に利用できる。
「近所の買い物や通勤に使える小さな乗り物が欲しい」「災害時にも使える電源が欲しい」「できるだけ維持費を抑えたい」といったニーズには、かなり面白い選択肢になりそうだ。
購入を検討するなら、価格だけでなく、乗車人数、ドアの有無、バッテリー容量、ソーラーパネル、インバーターなどを自分の使い方に合わせて選ぶことが重要になる。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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