
空港を訪れた時、窓の外の旅客機を眺めることがあるだろう。その時は、ぜひとも旅客機だけではなく、そのまわりで動き回る“はたらくくるま”にも目を向けてほしい。空港には、街中で見かけないような独特な“はたらくクルマ”が数多く存在しているからだ。本企画では、羽田空港にて日本航空(以下:JAL)の“はたらくクルマ”を取材した。
●まとめ:オートメカニック編集部 ●撮影/文:鈴木ケンイチ
主役である旅客機を支える独特なスタイルのクルマたち
飛行機に乗って旅をする。その時、多くの乗客がもっとも強く印象づけられるのは、巨大で力強く、そして人間を空へといざなう旅客機という存在だ。
しかし、実際のところ、そうした空の旅は旅客機だけで成り立っているのではない。それをサポートする数多くの“はたらくクルマ”があってこそのもの。乗客の荷物を旅客機に搭載する。後退できない旅客機を誘導路まで移動させる。エンジンが停止した旅客機に給油/給電する。パッセンジャーボーディングブリッジ(以下:PBB)を接続できない駐機場に停まった旅客機までランプバスで乗客を連れてゆくこともある。
そうした旅客機と乗客の世話をやく“はたらくクルマ”が空港には数多く存在するのだ。
また、その“はたらくクルマ”の多くは、旅客機の下部に潜り込む車高が低いものや、作業台の昇降機能を伴ったものなど、作業特性に応じた独特のスタイルをしている。
今回取材した、JALのグランドハンドリング業務を担うJALグランドサービス(以下:JGS)の場合、羽田空港だけでも数百台規模の“はたらくくるま”を運用しているという。
巨大な旅客機の世話をするトーイングトラクター
そんな空港の“はたらくクルマ”のうち、「トーイングトラクター」と呼ばれる車両がある。旅客機本体や、旅客機に積み込む手荷物/貨物を運搬することが仕事だ。「トーイング」とは“牽引”を意味する言葉だが、旅客機の移動は引っ張るだけでなく押すこともある。押す時は、旅客機をトーイングトラクターで後退させるため「プッシュバック」と呼ぶそうだ。
このトーイングトラクターが旅客機を押し引きする時のアプローチは2種類。ひとつがトーバーという鉄製の牽引棒の器材を使う方法。もうひとつが旅客機の前輪を抱え込むというもの。抱え込む手法は比較的新しいため、従来のトーバー(牽引棒)を使わないという意味で「トーバーレストーイングトラクター」と呼ばれる。
ちなみに、トーイングトラクターを役割に応じた呼称にするため、作業の現場では、旅客機を牽引するトラクターのことを「トーイングカー」、そして手荷物/貨物を運搬するトラクターを「トーイングトラクター」と呼んでいるという。
旅客機の前輪を抱えて移動させるトーバーレストーイングトラクター
トーバーを使って旅客機を動かすトーイングトラクター
積載するコンテナをを6個、軽々と牽引するトーイングトラクター
上のトーイングトラクターそれぞれの役回り/特徴については、追ってレポートを重ねたい。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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