
近年、自由な旅を楽しむためのキャンピングカーや車中泊モデルがかつてないほどのブームとなっている。その中でもベース車両として圧倒的な支持を集めているのがトヨタのハイエースだ。広大な室内空間と高い耐久性からアウトドア愛好家の定番となっているが、いかにもな無骨なスタイルや、画一的なキャンパー内装に食傷気味のユーザーも少なくない。そんな中、これまでのカスタムの常識を覆す、洗練されたポップなインテリアを纏った驚きのハイエースが存在する。今回は、老舗ブランドが手掛けた独自の世界観を持つカスタムモデルの全貌に迫ろう。
●文:月刊自家用車編集部
カスタムの王道ハイエースに新風を吹き込む一台
キャンピングカーや車中泊を楽しむユーザーにとって、トヨタのハイエースは不動の定番モデルとして君臨している。広大でフラットな室内空間、長距離移動でもへこたれないタフな耐久性、そして圧倒的な積載力は、あらゆるシーンで強い味方となってくれるからだ。
しかし、定番モデルであるがゆえに街中やキャンプ場では他の車と被ってしまうことも多く、オリジナリティを求めるユーザーにとっては悩ましい問題でもあった。また、従来のカスタムといえばSUV風のハードで無骨なイメージや、豪華絢爛なキャンピングカー然としたものが大半を占めていたのも事実だ。
そんなありきたりなハイエースのイメージを完全に打ち破ったのが、国産バンなどのインテリアカスタムを長年得意としてきたCRAFTPLUSが手掛けたコンプリートモデルだ。
ベース車両には、ハイエースの特別仕様車であるスーパーGLの標準ボディが採用されている。2800ccのクリーンディーゼルエンジンを搭載したこのモデルは、力強い走りと経済性を両立しており、長距離のドライブや荷物を満載した状態でもストレスなく走り抜けるポテンシャルを秘めている。
無骨さを排除した洗練されたポップなインテリア
このモデルの最大の特徴は、ドアを開けた瞬間に目に飛び込んでくる、洗練されたポップな雰囲気のインテリアデザインにある。無骨な商用バンの面影は一切なく、まるでオシャレなカフェや、こだわりのアパレルショップに足を踏み入れたかのような錯覚を覚えるほどの仕上がりとなっている。
外装にはマットな質感のボディカラーが施されており、街中に停めていても違和感なく馴染む落ち着いたトーンとなっている。しかし、そのクールな外観とは対照的に、車内には遊び心をくすぐるカラフルで明るい空間が広がっているのだ。
特に目を引くのが、前列のシートバックに施されたデザインだ。まるでヴィンテージのジーンズのような風合いの生地が贅沢に使用されており、ファッションアイテムのような高いデザイン性を誇っている。
カラーリングにも徹底的なこだわりが感じられ、グリーンやイエローといった明るい色彩が絶妙なバランスで配置されている。派手すぎず、かといって地味にもならないこの絶妙なカラーコーディネートは、車内で過ごす時間をより楽しく心地よいものにしてくれるはずだ。
職人の技が光る無垢材とこだわりのファニチャー
カスタムの真骨頂は、見た目の美しさだけにとどまらない。車内を構成する家具やパーツの一つひとつに、木材を熟知した職人たちの高度な技術と情熱が注ぎ込まれているのだ。
コストを惜しまず高品質な製品を作り上げるために原木から材料を仕入れるという徹底ぶりで、無垢材ならではの温かみや薫り、そして柔らかな手触りが車内全体を包み込んでいる。
運転席と助手席の間に鎮座する無垢材のセンターコンソールは、まさにその象徴と言えるアイテムだ。美しい木目が活かされたこのコンソールは、使い込むほどに深い味わいが増し、日々の思い出のキズすらも魅力に変わっていく不思議な力を持っている。
さらに、後部座席用のセカンドキャビネットや、足元を彩るフローリング調のカーゴパネル、そして質感の高いダッシュマットやドアパネルに至るまで、妥協のない製品群が適材適所に配置されている。これら最高の日用品とも呼べるファニチャーが、車内という空間の可能性を無限に広げてくれるのだ。
見た目だけじゃない! 実用性を極めた二段ラゲッジ
キャンピングカーや車中泊モデルにおいて、居住性と同じくらい重要になるのが荷物の収納力だ。どれだけ内装がオシャレでも、荷物が散乱していては快適に過ごすことはできない。このハイエースは、その実用性の面でも完璧な回答を用意している。
後部のラゲッジスペースは、機能的なベッドキットによって広大な就寝スペースを確保しつつ、荷室を上下の二段に分ける工夫が凝らされている。これにより、着替えや寝袋といった軽い荷物と、クーラーボックスなどの重いギアを効率よく分けて収納することが可能になっているのだ。
さらに特筆すべきは、下段のスペースにスライド式のパネルが採用されている点だ。奥行きのあるハイエースの荷室では、奥にしまった荷物を取り出すのに苦労することが多い。しかし、このスライド機能を使えば重い荷物でも手前にスッと引き出すことができ、荷物の出し入れが劇的に楽になる。
見た目のポップさからは想像もつかないほど、実際の車中泊やアウトドアシーンでの動線を計算し尽くした、極めて合理的な収納システムと言えるだろう。ルーフ部分にはアッシュ材を使用したアシストグリップや、真鍮製のシフトノブなどの細かなパーツも用意されており、使い勝手と所有欲を同時に満たしてくれる。
ベース車両のポテンシャルと切替ゼロの旅スタイル
これほどまでに充実したカスタムが施されていながら、ベース車両が取り回しやすい標準ボディのハイエースであるという点も見逃せない。ワイドボディやスーパーロングに比べてコンパクトなため、平日の通勤やスーパーでの買い物、狭い市街地の運転でもストレスを感じることは少ないはずだ。
そして週末になれば、快適なベッドと計算された収納スペースを活用して、そのまま大自然へと旅に出ることができる。日常使いの延長線上に非日常のアウトドアが存在する、まさに切替ゼロの旅スタイルを実現してくれる一台なのだ。
車両の販売を含めたコンプリートカーとしてのオーダーも可能となっており、新車ベースでも中古車ベースでも対応してくれる。木工職人が常駐する工房から直接車両を購入するという、一般的なカーディーラーでは味わえない特別な体験が用意されているのも面白い。
シートの生地サンプルに直接触れ、無垢材の薫りを感じながら自分だけの一台を作り上げていく過程もまた、極上のエンターテインメントと言える。いかにもなキャンピングカーを敬遠していた人や、洗練されたデザインと機能性を両立させたい人に、ぜひ注目してほしいカスタムモデルだ。
写真ギャラリー
ハイエースの特別仕様車 スーパーGL“DARK PRIME S”(2WD/2800ディーゼル/標準ボディ)(オプション装着車)。
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