
●文:川島茂夫●写真:横浜ゴム
磨き抜かれた静粛性とウェット性能。より長く使えるプレミアムラジアルへ
一昔前の「アドバン」は、スポーツ志向のマニア向け高性能ラジアルというイメージが強かったが、近年は乗り心地や静粛性など、プレミアムラジアルを求めるニーズに対しても積極的な商品展開を行っている。
今回試乗したアドバンdBは、アドバンファミリーの中ではコンフォート性能を重視した製品。音圧レベルの単位「dB(デシベル)」が示すとおり、優れた静粛性を軸に乗り心地やドライ&ウェットの操安性などを総合的に高めているのが特徴だ。
そのシリーズ最新型となる「V553」ではタイヤの摩耗が進んできたコンディションでの静粛性まで配慮された設計を採用しており、快適安心の走行を長く楽しめるという。快適走行距離が伸びれば、結果的にユーザーが感じるコスパ具合も高まる訳だ。
そしてもうひとつ注目したいのが、「V553」のウェットグリップ性能だ。静粛性とウェット性能はトレッドパターン設計においては背反要素。従来モデルの「V552」も優等生だったが、「V553」はトレッドパターンを一新するとともに、構造をサイズ毎に最適化するなどの細かな手を加えることで、静粛性とウェット性能をさらに高レベルに導いている。
ちなみにタイヤラベリング制度におけるウェットグリップ性能は最高ランクの「a」。省燃費性の目安となる転がり抵抗も「AA」~「A」だ。
発売サイズは14インチから21インチまで、全46パターンが設定される。デリバリーは2024年2月から始まる予定。
損耗した状態でも良い状態が保たれる、確かな進化を体感
正に「死角なし」といった感じなのだが、試乗した印象も同様。「dB」の名が示すとおりロードノイズの音量は低い。静粛性に優れたアルファードHEVやプリウスのエンジン音と比較しても明らかに少ない。
PHEVのエクリプスクロスをEVモードで走らせている時でも、ロードノイズを意識しない。騒音量が低いだけではなく、耳につきやすく高音域のノイズが少ない。路面による音質の変化が抑えられていることがよく分かる。
2万3000kmを走行した状態に相当する50%摩耗時を再現した試乗では、「V552」はゴーあるいはザーというトレッドノイズを多少意識したが、「V553」はそういう雑味を感じない。むしろ「V553」の静粛性は新品時とあまり変わらない。先に試乗で体感した見事な静粛性は維持されていた。
路面からの感触も、突き上げ感を抑えた乗り心地の良さに加え、操舵の応答遅れも少ない。静粛性だけでなく、安心感のある乗り味も好印象。静かさ長持ちが一番のセールスポイントだが、ウェット性能や燃費性能が示すように、このクラスのタイヤに求められる要素が高い次元でバランスが採れている。頼もしさと良質な乗り味が、とても魅力的なプレミアムラジアルだ。
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