
欧州で発表されたマツダCX-80は、マツダ車を愛してやまない愛好家はもちろんのこと、多人数乗車が可能な使えるSUVを求めるユーザーからも熱い視線を集めているクルマ。まだ国内で発売されるのは先の話だが、公開された欧州仕様車を紐解くことで、注目のポイントを明らかにしてみたい。
●文:横田晃/編集部
3列シートのSUVも最新世代へ、2024年内の国内導入が有力
マツダは2024年4月19日に、同社の欧州向けモデルとしては初の3列シートSUVとなる、CX-80を公開しました。欧州では5月に予約受注を開始して、秋の発売を予定しているというこの新型車は、日本市場にも2024年内には導入されると予想されています。
では、CX-80とはどのようなクルマなのでしょうか。その答えは、2022年に導入が始まったマツダの新世代ラージ商品群と呼ばれるモデルについて知れば、おのずと見えてきます。
欧州で公開されたCX-80は、フロントエンジン、リヤドライブの縦置き型プラットフォームを採用するミッドサイズSUV。設計的には国内でも発売済みのCX-60のロングストレッチ仕様というよりも、北米で発売しているフラッグシップモデル「CX-90」のボディ幅を縮めたナローモデルという考え方が近い。国内では昨年末に生産が終了した3列シートSUV、CX-8の後継としても期待されている。全長☓全幅☓全高は4995☓1890☓1710mm。ホイールベースは3120mm。
CX-80の欧州仕様車には、内装加飾等が異なるグレードが5タイプ設定される。この内装は「Takumi」グレードで、ホワイトナッパレザーやメープルウッドトリムなどの加飾が組み合わされている。
2列目シートは、キャプテンシートが2タイプ、ベンチシートが1タイプの合計3つの仕様が用意される。キャプテンシートは座席間にコンソールが設置されるタイプと、コンソール無しのタイプがある。
欧州仕様「Homura」グレードは、ナッパレザー張りのブラック・インテリアに、ヘアライン仕上げのガンメタル・トリムを採用。最上級SUVにふさわしい贅沢な内装だ。
新世代エンジン&FRの最新シャシーの採用で、走りの魅力もアップ
新世代ラージ商品群の第一弾は、2022年9月に日本と欧州で発売されたCX-60でした。従来のCX-5の後継に当たる、2列シートのSUVです。2012年デビューの初代CX-5から始まったマツダのモデル群は、いずれも魂動デザインと呼ばれる美しいエクステリアと、クラフトマンシップを感じさせる上質なインテリア、そしてマツダのこだわりである走りの良さを武器に、世界で好評を得ました。
その最新世代となるCX-60は、CX-5の美点を正しく受け継ぎながら、さらなる磨きがかけられていました。CX-5がエンジン横置きのFF(前輪駆動)ベースだったのに対して、CX-60からの新世代ラージ商品群は、滑らかな直列6気筒もふくむエンジンを縦置きに積むFR(後輪駆動)ベースのシャシーを採用。優れた重量バランスや安定した姿勢によって、より上質かつスポーティな走りを追及していたのです。
CX-60は、ラージ商品群の第一弾モデルとして投入された2列シートSUVで、国内のほか欧州市場などに投入されている。全長×全幅×全高は4740☓1890☓1685mm、ホイールベースは2870mm。2024年春には、2列・ワイドボディ仕様のCX-70が北米にも投入される。
一方、北米市場向けの新世代ラージ商品は、2023年4月に発売された3列シートSUVのCX-90が第一弾となりました。北米では、ミニバンに代わってファミリーカーの主役となった、3列シートSUVの人気が高いのです。続いて2列シートのCX-70が2024年1月に北米市場に導入されており、今回のCX-80の投入で、日米欧の全市場に、2列&3列シートの新世代SUVがラインアップされることになります。
3列シート・ワイドボディ仕様のCX-90は、北米市場をターゲットに開発されたSUV。マツダのフラッグシップモデルも兼ねている存在だ。当然、CX-80も日欧市場でフラッグシップとしての役割が期待される。
贅沢なキャビンスペースが魅力、2列目&3列目の快適性向上にも期待
いずれも美しいデザインや上質なインテリア、快適でスポーティな操縦性などの美点は共通していますが、日欧向けと北米向けでは、ボディサイズが違います。
ご存じの通り、北米市場はかつてはフルサイズと呼ばれた大きなクルマが好まれた広大な大陸。道路や駐車場などのインフラも広く、あまり細かな取り回し性能は求められません。そのため、3列シートのCX-90は全長が5mを越え、全幅も2m近いビッグサイズです。これでは狭い路地や駐車場が多い日本はもちろん、石畳の古くて狭い路地が入り組む欧州でも使いにくくなってしまいます。
そこで、日欧向けのCX-60とCX-80は、北米向けよりもサイズダウンされています。具体的には、3列目まで身長170cmの大人がゆったりと座れる広さを確保しながら、CX-80の全長は5mを切る4995㎜です。全幅も、CX-60、CX-80ともに1890㎜と、日本で使う目安である1・9mを切るサイズに設定されています。
ちなみにこのサイズ感は、日本では大人気のLクラスミニバン、トヨタ・アルファードとほぼ同じ。CX-80は日本市場でしか売れないミニバンをラインアップから落とし、国際商品で勝負するマツダの、事実上のLクラスミニバンに相当する商品なのです。
マツダの3列シートSUVは、ファミリー層から人気が高いミドルミニバンの役割を補完する使命も背負っている。CX-80も3列目シートを格納すれば広大な荷室が確保できるなど、実用性を求めるユーザーからも大きな注目を集めるのは間違いなさそう。
欧州向けはハイブリッド車中心だが、国内向けは純内燃機車の設定もありえそう
なお、欧州向けは4気筒2・5Lのガソリンと6気筒3・3Lのディーゼルターボの双方にハイブリッド(ガソリン車はPHEV)が設定されていますが、日本国内向けは通常のガソリン&ディーゼルターボと予想されています。
価格も、欧州向けは一部報道では日本円にすると900万円相当と言われていますが、これは上級パワートレーン&豪華内装仕様が中心という理由が大きく、ガソリン&ディーゼルターボの採用の可能性が高い日本国内向けでは、ファミリー層が狙いやすい価格帯からスタートするはず。目安としてはアルファードより少し安めの、400万円代からの設定が現実的でしょう。ミニバンではなく、3列シートのスタイリッシュな上級SUVが欲しい人には、きっと間違いなしの一台になるはずです。
新世代アーキテクチャーを採用したことで、マツダSUVの魅力である手応え感いっぱいの走りが期待できそう。腕に自信があるドライバーにとっても魅力いっぱいのモデルだ。
先代に相当するCX-8は、FFプラットフォームの3列シートSUV。広いキャビン空間に加え、上質な仕立てが楽しめるプレミアムキャラでも人気を集め、ファミリー層からも安定した人気を集めていた。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(マツダ)
オート三輪メーカーの多くが街工場レベルだったが、高い技術力をもってダイハツはトップブランドとなった 日本の街角でエンジン付きの乗り物が見られるようになったのは、大正時代のこと。自転車に海外から輸入した[…]
「マツダ=ディーゼル」の終焉? 主力CX-5が舵を切った理由 日本のSUV市場でマツダの存在感を確固たるものにした功労者が、2.2Lの直4を中心としたディーゼルターボであったことは疑いようもない。 圧[…]
時代の要請とコストの壁。なぜ「クリーンディーゼル廃止」なのか マツダのCセグメントモデル「マツダ3」は、伸びやかでスポーティな「ファストバック(ハッチバック)」と、上質でエレガントな「セダン」という2[…]
バブル期が生んだ”ABCトリオ”。その中で最も異彩を放った存在 オートザム・AZ-1が発売されたのは1992年10月。日本がバブル景気の余韻を残していた時代であり、自動車メーカー各社は利益を惜しみなく[…]
カペラとファミリアを繋ぐ、ロータリー専用の本格派スポーツ 1971年9月、マツダはボトムラインを担う「プレスト・ロータリー」と、ミドルクラスの「カペラ」の間を埋める戦略モデルとして、ロータリーエンジン[…]
最新の関連記事(SUV)
評価したのは「最も安く、最もパワフル」という商品力 ブレッツァは2016年に登場したコンパクトSUVで、インドでは累計140万台以上を販売してきたマルチ・スズキを代表する人気モデルだ。取り回しのしやす[…]
バイオガスにも対応したCNG車も設定 スズキ株式会社のインド四輪子会社であるマルチ・スズキ・インディア社(以下、マルチ・スズキ)が、コンパクトSUVの新型「ブレッツァ」を発表した。本モデルはマルチ・ス[…]
アライアンスの強みを武器に、インドを「世界の輸出ハブ」へ 日産自動車が本日インドで発表したC-SUVセグメントの新型「テクトン(TECTON)」は、単なるニューモデルの枠にとどまらない存在だ。これは現[…]
米生産の本格3列ハイブリッドSUVが全国展開へ かつて日本国内でクルーガーの名で親しまれていたハイランダーは、米国市場では2001年の初代発売以来、累計360万台以上の販売実績を持つベストセラーモデル[…]
大人気ピックアップトラックの荷台を極上空間へカスタマイズ キャンピングカーのベース車両として、ミニバンや商用バンが主流を占める中、本格的なアウトドア愛好家や釣り人たちから熱い視線を集めているのが、四輪[…]
人気記事ランキング(全体)
夏場の快適性を高めるアイドリングストップキャンセラー 夏のドライブで気になるのが、車内温度の上昇である。特に炎天下に駐車した車内は短時間で高温になり、乗り込んだ直後は強力なエアコンによる冷却が欠かせな[…]
1980年代後半、激化した軽ターボ車によるホットハッチ競争 初代の「アルトワークス」が誕生したのは1987年です。 この時期の日本の経済はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで、バブル景気の急坂をガンガン登ってい[…]
従来の“風を送るシート”とは何が違う? 一般的な車用シートクーラーには、シート内部のファンで風を送り出す「空冷式」の製品が多い。手軽に導入できる一方で、使用環境によっては十分な冷却感を得にくい場合もあ[…]
真夏の強い日差しでもこれがあれば安心! 夏の駐車で気になるのが、乗り込んだ瞬間の車内の暑さ。炎天下ではハンドルやダッシュボードが熱を持ち、エアコンが効き始めるまでしばらく待たなければならない。 もはや[…]
ガソリン車&PHEVを廃止で、ハイブリッド専用車へ移行 今回の改良における最大のポイントは、パワートレーンが2.5Lハイブリッドシステムを搭載するHEV(ハイブリッド車)モデルに一本化されたことが挙げ[…]
最新の投稿記事(全体)
即戦力狙いのボディ設計で、馴染み深い圧倒的大空間を実現 ラッコ(RACCO)は、中国のBEV(電気自動車)大手メーカーであるBYDが、日本の軽自動車市場に向けて開発したスーパーハイト系の軽乗用BEVで[…]
徐々に明らかになってきた新型パジェロ。期待が高まる! 2026年秋の世界初公開に向け、三菱自動車の新型「パジェロ」が徐々にその姿を現し始めている。日本国内での販売終了から7年。かつてRVブームを牽引し[…]
争奪戦必至!寿司ネタ×GRスポーツカー!コラボ限定ミニカー 今回のイベントで最も注目したいのが、GRを代表するスポーツカー4車種がスシロー限定デザインで立体化された「GAZOO Racing コラボ限[…]
ミニバン値引き額ランキング! 2026年8月の狙い目は? 2026年8月時点の国産人気ミニバン10車種について、車両本体の値引き目標額をランキング形式で紹介。値引き額は車両本体のみを対象としており、付[…]
街乗りもこなせる絶妙なサイズと高い信頼性を誇るベース車両 キャンピングカー選びにおいて、多くのドライバーが頭を悩ませるのが、車体の大きさと居住性のバランスだ。広々としたキャブコンバージョンは魅力的だが[…]
- 1
- 2































