
スズキ株式会社のインド四輪子会社であるマルチ・スズキ・インディア社が、コンパクトSUV「ブレッツァ」の改良モデルを発表した。本モデルはマルチ・スズキのカルコダ工場で生産され、インド国内のアリーナ店を通じて販売される。
フロントフェイスの刷新や装備の充実も話題だが、最も注目されているのは新たに追加された1.0Lターボエンジンと6速MTだろう。実際、海外メディアが注目したのもデザインではなく、このパワートレインの追加だった。現地ではどのように評価されているのだろうか。
●文:月刊自家用車編集部
評価したのは「最も安く、最もパワフル」という商品力
ブレッツァは2016年に登場したコンパクトSUVで、インドでは累計140万台以上を販売してきたマルチ・スズキを代表する人気モデルだ。取り回しのしやすいボディサイズと手頃な価格、実用性の高さを武器に支持を集め、競争の激しいインドのコンパクトSUV市場をけん引してきた。
海外メディアが今回の改良で共通して取り上げているのは、新たに設定された1.0L直噴ターボ「Boosterjet」エンジンだ。
最高出力110PS、最大トルク170Nmを発揮し、新開発の6速MTと組み合わせられるこのグレードは、シリーズで最も力強い走りを実現しながら、価格は73万9900ルピー(約7700ドル)からという設定になっている。
海外メディアでは、この点を「最もパワフルで、最も安価なグレード」と表現している。一般的には高性能グレードほど価格が高くなるケースが多いだけに、この価格設定はブレッツァならではの魅力として受け止められているようだ。
2022年に登場した2代目モデルをベースによりスポーティなデザインとし、新エンジンの追加や安全性向上でさらなる商品力強化狙う
小排気量ターボ×6速MTという組み合わせに注目
110PS・170Nmというスペック自体は、突出して高性能というわけではない。しかし、今回の1.0Lターボは既存の1.5L自然吸気を置き換えるのではなく、新たな選択肢として追加された点に特徴がある。
また、6速MTとの組み合わせも見逃せない。CVTやATが主流となる近年、新型コンパクトSUVで小排気量ターボとMTを組み合わせたモデルは限られている。日本市場ではMTの設定自体が少なく、海外でもヒョンデのVenue N LineやKiaのSonetなど、一部のモデルに採用される程度だ。
ターボエンジンは低回転域から厚いトルクを発揮するため、街中でも扱いやすく、シフトチェンジの自由度も高い。こうした特性はMTならではの操る楽しさとも相性が良く、運転を楽しみたいユーザーにとって魅力的なパッケージといえる。
スズキはこれまでもスイフトスポーツなど、小排気量ターボとMTを組み合わせたモデルを販売してきた実績がある。海外メディアが今回の改良でこのパワートレインを繰り返し取り上げているのも、単なるスペックアップではなく、ブレッツァの商品性を象徴する進化として受け止めているからだろう。
パワートレーンには従来通りの1.5Lデュアルジェットエンジンに加えて、1.0Lブースタージェットエンジンを新設定。ターボの高揚感のある走りも人気を呼びそうだ
競争激化を見据えた商品力強化か
近年はライバル車の台頭によって競争が激化し、ブレッツァは前年の販売減少も経験した。一部海外メディアでは、競争が激化するインド市場で商品力を高めるための改良と位置付けている。
ターボエンジンの追加だけでなく、CNGモデルでは燃料タンクを車体下部へ移設して荷室容量を確保するなど、細かな改良まで積み重ねている点も、競争の激しいインド市場らしい進化と言えるだろう。
1.0Lターボエンジンや6速MTの追加は、日本のスズキファンの間でも大きな関心を集めた。SNS上では、国内導入を期待するコメントも見受けられる。
現時点で国内導入は発表されていないものの、コンパクトなボディにターボエンジンと6速MTを組み合わせたパッケージは、日本市場でも十分に存在感を発揮できそうだ。海外の評価を見ていると、その実力を日本でも試してみたいと思わせる一台である。
ボディサイズは全長3,995mm×全幅1,790mm×全高1,685mm。パワートレーンは、6MTおよび6ATを組み合わせる1.5Lデュアルジェット、6MTのみとなる1.5LデュアルジェットCNG、そして6MTを組み合わせる1.0Lターボブースタージェットが用意される
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