
夏はクルマを利用して遠出をする機会が増える季節。道中、安全に奏功するために、走行前のタイヤの点検は必須だ。道路運送車両法でも義務付けられているタイヤのチェックについて、詳しく解説していこう。
●写真/文:オートメカニック編集部
猛暑がもたらすタイヤトラブルと夏の過酷な環境
夏の道路環境はタイヤにとって非常に過酷である。直射日光を受けたアスファルトの路面温度は50〜60℃以上に達し、高速走行による摩擦熱と相まってタイヤ内部の温度は急上昇する。気体の熱膨張により走行中の空気圧変化が生じやすくなるだけでなく、空気圧不足のまま高速走行を続けると、タイヤが波打つように変形・発熱して破裂に至る「スタンディングウェーブ現象」を引き起こす危険性が極めて高い。
クルマを利用して遠出をする機会が増えるこの季節、運行前のタイヤの点検は必須だ。道路運送車両法の第47条2においても、走行前のタイヤの点検はドライバーに義務付けられている。最近のタイヤは性能が向上しているからといって甘く見ていると、最悪、バーストなどの危険なトラブルに至らる可能性も…。痛い目に遭わないためにも、下記のチェック項目を参考にして実践してほしい。
なお、空気圧の確認・調整は、走行による発熱の影響を受けない「タイヤが冷えている状態(走行前)」で行うのが鉄則だ。
タイヤの減り方と足回りのチェック(偏摩耗)
タイヤは足回りの健康状態を示すバロメーターでもある。通常、タイヤは左右均等に摩耗していくが、異常な減り方(偏摩耗)を示している場合は注意が必要だ。
空気圧が適正でない場合、以下のような減り方をするため頭に入れておきたい。
- 空気圧が高すぎる:タイヤの中心部が極端に減る
- 空気圧が低すぎ・不足:タイヤの両端(ショルダー部)が減る
空気圧が適正にもかかわらず偏摩耗がある場合は、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っている可能性が高い。特に左右輪が均等に摩耗していない場合は重大な足回りの異常が疑われる。 ただし、キャスター角やハンドル切れ角が大きいクルマのフロントタイヤは、空気圧が適正であっても両端が減る傾向があるが、これは構造上の特性であり異常ではない。
タイヤの溝の深さのチェック
タイヤのショルダー部には△印やタイヤメーカーのロゴマークがあり、その延長線上にある溝奥は1.6mm盛り上がっている。削れたトレッド面とそこがツライチになると摩耗限界(スリップサイン)となり、法令上も使用禁止となる。
タイヤの△マークの延長線上にスリップサインがある。トレッド面とスリップサイン近いとそろそろタイヤの交換時期だ。
夏場はゲリラ豪雨や夕立で路面に多量の水が溜まりやすく、摩耗したタイヤではハイドロプレーニング現象のリスクが飛躍的に高まる。スリップサインが出る前であっても、一番減っている部分が2〜3mmに達した段階で早めの交換を検討したい。確認は専用ゲージのほか、定規等で測ってもOKだ。
タイヤゲージでタイヤの溝の深さを確認する。
サイドウォール部のキズ・ひび割れチェック
タイヤ側面(サイドウォール部)に大きくエグレた痕や傷があるタイヤは非常に危険だ。高熱と高速走行時の遠心力で一気にバーストへ至る危険があるため、すぐに交換しよう。
また、古くなりひび割れが出ているタイヤは、直ちに破裂するとは言えないものの、ゴムの劣化が進んで耐熱性・強度が低下しているサインであるため、早めの交換を考えたい。
写真のように、タイヤのサイドウォールに大きなキズやエグレがある場合はすぐに使用を中止し、新しいタイヤに交換する必要がある。
高温になる夏場は、空気圧のチェックは必須!
外気温もアスファルトも高温になる夏場は、走行前、涼しい時間帯にタイヤの空気圧のチェックをしておくと安心だ。タイヤ空気圧の測定にはエアゲージが必要。カーショップ等で、比較的安価で売られているので、1つ容易しておくといいだろう。
使用方法は、エアが漏れないようバルブにギュッと押しつけ、そのときの値を確認。ちなみに、空気圧の規定量は運転席のドア付近に貼られていることが多いので、確認しておこう。
タイヤの空気圧は、運転席のドアストライカー付近に貼ってある場合が多い。
計測結果が、規定量よりも高い場合は、エアゲージに付属する減圧機能を利用して減圧するのも1つの手だ。規定量よりも少ない場合は、安価な足踏みポンプなどを容易しておけば、空気の充填が手軽に行える。
足踏み式のポンプは安価で、手軽に使用できるが、空気圧が規定量を大きく下回っている場合は、かなりの回数を踏まなければならない。夏場は汗だくになるだろう…。
タイヤのサイドウォールにある表記の意味
タイヤサイズ表示方法はいくつかあるが、よく見かけるのが上のような表示。それぞれの数字や記号には意味があって、Aの断面幅の呼びは簡単にいうと太さを表し、Bは偏平率(タイヤの断面高さ/断面幅)、Cの記号はタイヤの構造記号を表し“R”ならラジアルタイヤだ。Dのリムの呼びとは、リム部分の直径のことで、「○○インチのタイヤ/ホイール」というときによく使う。このほか、ロードインデックスや速度記号等の情報を示す記号もある。
左から、断面幅(mm)、扁平率(%)、タイヤ構造記号(ラジアル)、リム(インチ)となっている。
海や山などへ、クルマを利用して出かけることが多いサマーシーズン、安全に移動するためにも、事前にタイヤのチェックを是非実践してほしい。
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