
スペシャリティカーの趣きもまとう、ミドルSUVの最新モデルを比較。登場したばかりのマツダ・CX-5は全面刷新で他社との差別化の要だったディーゼルが廃止され、それに代わる推しポイントが気になるところ。 対するRAV4は複数のキャラクターを揃え、多様なニーズに応えられることが魅力だ。
●文:川島茂夫/月刊自家用車編集部
室内拡大でファミリー強化。進化を遂げたCX-5
ミドルSUVでしのぎを削るマツダの新型CX-5と、この市場の絶対的王者として君臨するトヨタのRAV4は、ともに高い人気を誇るモデルでありながら、それぞれ異なるアプローチでユーザーの心を掴んでいる。
マツダの国内市場において中核を担うCX-5は、この春の全面刷新によってさらなる進化を遂げた注目の最新作だ。
一方のRAV4は、ミドルSUVの王道として世界的な人気を誇り、複数のキャラクターを展開することで多様化するニーズに全方位で応え続けている。現行型は昨年12月に発表されて以来、月あたりの登録台数は5000台以上をキープするなど、はやくもこのジャンルを代表する定番モデルとなっている。
新型CX-5の最大の見所は、これまでのドライバー志向からファミリー&レジャー用途への適性を大幅に強化したことが挙げられる。
全長およびホイールベースの拡大にともない、後席のひざ前スペースを64mm、ヘッドルームを29mm拡大したほか、荷室の奥行きや高さも広げられ、居住性と積載性が格段に向上。熟成された「魂動デザイン」や操る楽しさを追求した「人馬一体」のコンセプトを継承しつつも、同乗者の快適性や乗り心地への配慮が凝縮されたパッケージングだ。
また、先代までの車載IT「マツダコネクト」と決別し、Googleビルドインの最新システムに切り替えたことも、新型が好調な理由のひとつになっている。
パワートレーンは2.5Lガソリンのマイルドハイブリッドに一本化されたため、燃費面でのインパクトは控えめだが、エントリー価格が330万円からというミドルサイズSUVとしては非常に手頃な価格設定を実現したことも、コスパの良いSUVを求めるユーザーにとって大いに魅力的だ。
CX-5の概要について
歴代モデルは流麗とダイナミズムを表現する「魂動デザイン」と操る楽しさを求めた「人馬一体」をテーマに開発されてきたが、現行型では後席の乗降性にまで改善を施すなど、レジャーワゴンの要素を強化しているのが特徴。ドライバー志向の強い従来型に対してファミリー色が濃くなった。同時に走りも同乗者への配慮を強化したものとなっている。マイルドハイブリッドのガソリン車だけの設定なのが泣き所だが、価格の安さは大きなアピールポイントになっている。
初期応答を高めたダンパーと柔軟なスプリングにより、直進安定性に優れるフラットで上質な乗り心地と同乗者に優しい快適性を実現している。
成熟した2.5Lエンジンは日本国内のマツダ車で初めて環境に配慮した「E10ガソリン」に対応。低速からの扱いやすさとスムーズなレスポンスを兼ね備え、街中から高速までストレスのない走りを提供する。
スタイリングはひと目でCX-5とわかるキープコンセプト路線。全長&ホイールベースが拡大しているが、マツダ自慢の魂動デザインは引き続き採用されている。
主要諸元(G 2WD)
●全長×全幅×全高:4690×1860×1695mm ●ホイールベース:2815mm ●車両重量:1670kg ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:2488cc直列4気筒DOHC(178ps/24.2kg-m)+モーター(4.8kW/60.5Nm) ●トランスミッション:6速AT ●駆動方式:FWD ●WLTCモード総合燃費:15.2km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)/マルチリンク式(R) ●タイヤ:225/55R19
コマンダーコントロールを廃し、すっきりとした水平基調のモダンなレイアウトへ刷新。視線移動を抑える配置や操作性の向上が図られ、ドライバー中心の上質なドライビング空間を作り上げている。
体の軸をしっかり支える構造により長時間の運転でも疲れを軽減。シートベルトアンカーをシート金属部に直付けすることで、体格やスライド位置を問わずフィットする安全設計が施されている。
ホイールベース延長の恩恵で、後席の膝前空間は大きく拡大。大人が足を組んでもゆとりがある居住性を獲得しており、家族や友人との長距離ドライブでもストレスなく寛げる高い快適性を誇る
定員乗車時でも466Lの大容量を確保したラゲッジルーム。荷室奥行きが先代比で約45mm伸びたことで、ゴルフバッグ4個やスーツケース4個を無理なく積み込めるフラットな空間を実現。
| ●マツダCX-5 グレードバリエーション&価格【2026年5月モデル】 | ||
| パワートレーン | グレード | 価格【2WD/4WD】 |
| 2488cc直4DOHC 178PS/24.2kg-m + モーター 4.8kW/60.5Nm | S | 330万円/353万6500円 |
| G | 352万円/375万6500円 | |
| L | 407万円/430万6500円 | |
高い完成度と圧倒的燃費性能を持つ。売れ続ける王者の貫禄があり
対するRAV4は、多様なライフスタイルに対応する隙のないラインナップを揃えることが強み。都会的な「Z」、道具感を前面に出した「アドベンチャー」、そして走りの質感を高めた「GRスポーツ」という3つの個性を揃え、ユーザーの嗜好に応じた選択を可能にしている。
パワートレーンは2.5Lのストロングハイブリッド(HEV)モデルと、満充電時のEV航続距離151kmを誇るプラグインハイブリッド(PHEV)モデルで構成され、駆動方式は高性能な電子制御4WD「E-Four」に絞り込まれている。
クラス最高水準の優れた燃費性能と強力な動力性能を両立しており、走りの質感から環境性能、悪路走破性まで、あらゆる要素が非常に高いレベルでまとめられている。
装備面でも通信連携機能を備えたアリーン基盤で開発された最新ディスプレイオーディオを搭載するなど、装備面でも高い競争力を持つことも強み。
RAV4の概要について
現行型はミドルSUVの王道たる先代のポジションを継承しつつハードウェアや制御システムを新世代型に更新。標準系とアドベンチャーに加えて3本目の柱としてスポーツ性を強化したGRスポーツも導入されている。お手頃価格でオフロード走行もけっこう楽しめたガソリン車が整理されたのは残念だが、WLTCモード満充電航続距離151㎞のPHEVモデルも用意。エコと実用性を高次元でバランスさせたパワートレーンの採用をはじめ、現代のミドルSUVに求められる要素を全方位的に高水準でまとめている。
前後の駆動トルク配分は「100:0」から最大「20:80」まで瞬時に最適化される。E-Fourによる、力強くシームレスな走りが特徴で、街乗りでの軽快なフットワークと、悪路や雪道での高い安定性を両立している。
塊感のある「SUVハンマーヘッド」デザインを採用。リヤは、バックドアガラスとランプが一体化したシームレスなデザインを採用する。
主要諸元(Z・HEV)
●全長×全幅×全高:4600×1855×1680mm ●ホイールベース:2690mm ●車両重量:1720kg ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:2487cc直列4気筒DOHC(186ps/22.5kg-m)+前後モーター(フロント:100kW/208Nm、リヤ:40kW/121Nm) ●トランスミッション:電気式無段変速 ●駆動方式:4WD(E-Four) ●WLTCモード総合燃費:22.5km/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストレット式(F)/ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:235/60R18
操作系統や視認性については、オーソドックスな設計がなされており、長年培われてきた運転操作のノウハウと最新の情報機器との融合を図ったグラスコックピットとして仕上げられている。
ハイブリッドモデルには、システム最高出力177kW(240ps)を発揮する2.5Lハイブリッドシステムを採用。
主要諸元(GRスポーツ)
●全長×全幅×全高:4645×1880×1685mm ●ホイールベース:2690mm ●車両重量:1990kg ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:2487cc直列4気筒DOHC(186ps/23.4kg-m)+前後モーター(フロント:151kW/272Nm、リヤ:41kW/123Nm) ●トランスミッション:電気式無段変速 ●駆動方式:4WD ●WLTCモード総合燃費:21.5km/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストレット式(F)/ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:235/50R20
GRスポーツには格上のプラグインハイブリッドを搭載。専用のサスペンションやパフォーマンスダンパーが奢られることで、GRモデルらしい刺激的な走りが楽しめることも魅力になっている。
| ●RAV4 グレードバリエーション&価格【2026年4月モデル】 | ||
| パワートレーン | グレード | 価格【駆動方式】 |
| 2487cc直4DOHC 186PS/22.5kg-m + 前後モーター フロント:100kW/208Nm リヤ:40kW/121Nm | アドベンチャー | 450万円【E-Four】 |
| Z | 490万円【E-Four】 | |
| 2487cc直4DOHC 186PS/22.5kg-m + 前後モーター フロント:151kW/272Nm リヤ:40kW/121Nm | Z | 600万円【E-Four】 |
| GRスポーツ | 630万円【E-Four】 | |
注目は価格差。CX-5の価格はかなり攻めた設定
趣味嗜好的な要素は個人の感性との相性次第だが、この2モデルの比較で決定的な要因になるのがパワートレーンだ。
万能選手のRAV4に対して、個性派のCX-5が挑むという構図は前世代と変わらないが、動力性能の面では大きな違いがある。駆動も回生も補助的なCX-5のマイルドハイブリッドではクラス最高水準のストロングハイブリッドがベースのRAV4と比較すると、燃費性能は段違い、高速走行時の追い越し加速や余力感などもRAV4がリードする。
ただ、RAV4は最も安価なアドベンチャーでも450万円からと、ガソリン車も選べた先代と比べると、価格がかなり上がってしまった。一方のCX-5は最上級グレードのGの4WDでも430万6500円。Sの2WDなら330万円だ。クラス上のSUVを求めるユーザーにとっては、CX-5のかなり攻めた価格設定は魅力的に映るだろう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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