「2代目で驚異的に進化…」シャープなフロントマスクのデザインが印象的! 45年前、日本メーカーの実力を欧米に知らしめた名車[トヨタ・セリカXX(スープラ)]を紹介│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

「2代目で驚異的に進化…」シャープなフロントマスクのデザインが印象的! 45年前、日本メーカーの実力を欧米に知らしめた名車[トヨタ・セリカXX(スープラ)]を紹介

「2代目で驚異的に進化…」シャープなフロントマスクのデザインが印象的! 45年前、日本メーカーの実力を欧米に知らしめた名車[トヨタ・セリカXX(スープラ)]を紹介

対米市場向けに開発されたトヨタ・セリカXX(北米名:セリカ スープラ)ですが、先行発売された日本でも月販目標1500台のところ、半年で1万5000台超の受注という予想外の大ヒットを記録しました。この成功はソアラ誕生の原動力にもなり、3代目からは「スープラ」としてトヨタ最高峰のスポーツカーへと進化していきます。

●文:月刊自家用車編集部

フェアレディZに対抗した6気筒エンジン搭載モデル、それが何よりも求められた時代

アメリカという国の偉大なところは、良いものを良いとフラットに認め、優れた仕事に対して惜しみない喝采を送る精神にあります。それは当時、まだ貧しかった敗戦国の日本にとっては、本当に幸運なことでした。自動車の世界においてそれを最初に体現したのが、1969年に誕生した日産・フェアレディZの大成功です。

北米で大成功を収めた日産のフェアレディZ。

自動車王国であるアメリカの市場に対し、1950年代に果敢に挑んだ初代クラウンやダットサンは、当時の稚拙な出来栄えから早々の撤退を余儀なくされました。しかし、それからわずか10年後には、カローラやサニーが経済的で壊れない実用小型車としてフェアに認められるようになります。そして、美しいフォルムに必要十分なパワーと機敏な走りを備えて海を渡った通称“Z(ズィー)カー”に対し、アメリカのクルマ好きたちは「優れた本格スポーツカー」として大喝采を送ったのです。

日本の自動車メーカー各社が、こぞってフェアレディZの後を追ったのは言うまでもありません。1977年のモーターショーに出展され、翌年にデビューを果たした「トヨタ・セリカXX」も、そのひとつでした。1970年に登場した初代トヨタ・セリカと、そのハッチバック版であるセリカ リフトバック(LB)も、北米市場では一定の支持を得ていましたが、現地のディーラーからは不満が寄せられていました。それは、「フェアレディZに対抗できる、6気筒エンジン搭載車を寄こしてほしい」という切実な声でした。

アメリカ市場を強く意識し、カリフォルニアでデザインされたスペシャリティカー

その要望に応えるべく、トヨタはアメリカ市場でより売れるクルマを目指し、2代目セリカ リフトバックをアメリカのカリフォルニア州にあるデザインスタジオでスタイリングしました。もちろん、待望の6気筒エンジンも搭載しています。日本向けにクーペも用意された4気筒エンジンのセリカは、言わばその縮小版という位置付けだったのです。

とは言え、日本では「セリカXX」、アメリカでは「セリカ スープラ」の名で発売されたこのモデルは、商品企画の方向性としてはフェアレディZとはまったく別物でした。

トヨタ 初代セリカXX

4輪ストラット式の独立サスペンションを備えた専用のシャーシを持つフェアレディZに対し、セリカ スープラはあくまでも乗用車のシャーシから派生したスペシャリティカーです。初代フェアレディZの2305mmという短いホイールベースに比べ、セリカ スープラは2630mmもありました。リヤサスペンションも当初は固定軸の4リンク式であったため、フェアレディZと本気で勝負できるようなスポーティなハンドリングは期待できませんでした。

しかし、その代わりに加えられたのは、フェアレディZには望めない十分な広さの後席と積載性を確保した、快適なツアラーとしての性格です。フェアレディZには設定のなかったパワーステアリングも備えた豪華なセリカ スープラは、フェアレディZとは異なる層のファンを獲得していきました。ただ、その方向性は当時の日本ではまだ十分に理解されたとは言い難く、アメリカ市場を強く意識した2代目セリカと初代セリカXXのシリーズは、先代ほどの大きなヒットには至らなかったのです。

初代セリカXX(1978年〜1981年)

初代セリカXXは、2代目セリカ・リフトバックをベースにフロントノーズを大胆にロングノーズ化。全長は標準のセリカよりも270mm長く設計されています。後期型ではリヤサスペンションをリジッド式から独立懸架式へと変更し、型式名もA40型からA50型へと進化しました。なお、アメリカ市場では「XX」という表記が成人指定映画のレーティングを連想させるため、ラテン語で「至上・最高」を意味する「スープラ」へと改名されて販売されました。

トヨタの、初代セリカXXの車内。

ラグジュアリーな「G」グレードのファブリックシートは、注文時のオプション装備として、イギリスの名門コノリー社製の最上級本革「VAUMOL(ウォモル)」を使用した高級本革シートへと変更が可能でした。電磁式ドアロックとセットで18万円という価格は当時としては非常に高価で、アストンマーティンやランチアといった欧州の超高級車にも採用されていた逸品です。

インストルメントパネルの基本造形はセリカがベースとなっていますが、美しいステッチが施されたソフトパッドや高級感のある4本スポーク・ステアリングなど、上級モデルにふさわしい上質な仕立てが行われています。

2代目セリカXX/スープラ:名だたる賞を総なめ。世界に通用するスポーツカーが造れるという実力を示した

日本車は、1970年代の厳しい排出ガス規制をいち早くクリアした高い技術力と確かな品質により、世界の自動車市場で確固たる地位を築きました。その一方で、1980年代に入るとアメリカとの間で激しい貿易摩擦の槍玉にあげられるようになり、円高の進行も重なったことから、日本の自動車メーカーは1台あたりの利益率が高い「高付加価値なプレミアムスポーツ」の開発を模索するようになっていきます。

こうした背景を受けて1981年に誕生した2代目セリカ・スープラ/セリカXXは、さらなる高級化と高性能化を一気に指向することになります。迷うことなくそのハイパフォーマンス路線へと突き進むことができた背景には、同じシャシーから生まれた新型車「ソアラ」の存在がありました。初代と同様に、2代目セリカ・スープラ/セリカXXもピュアスポーツ専用の足まわりを持っていたわけではありませんでしたが、初代の確かな手応えから、北米市場ではまとまった販売台数が確実に見込めていました。

そこでトヨタは、日本国内専用に企画された新型車「ソアラ」に、大人のための高級スペシャリティクーペというこれまでにない最高級のキャラクターを与えました。その結果、役割を分担されたセリカ・スープラ/セリカXXは、よりエッジの効いた高いスポーツ性を純粋に追求することができるようになったのです。これにより、両車はそれぞれ異なるファン層を獲得し、国内外で歴史的な大成功を収めることとなります。

先代のモデル末期に採用されたセミトレーリングアーム式のリヤサスペンションは、新開発された2.8リッター直列6気筒DOHCの「5M-GEU型」エンジンが絞り出すハイパワーをしっかりと路面に伝えました。その足まわりのセッティングにはイギリスの名門「ロータス」の協力も得たとされ、それまでの日本のスポーツカーにはなかった、極めてしなやかで奥深いロードホールディングを披露したのです。

【5M-GEU型エンジン】
1980年代初め、その圧倒的なスペックで国産最強を誇った直列6気筒2.8Lツインカムの「5M-GEU型」エンジン。セリカXXとソアラのフラッグシップエンジンとして登場しましたが、ライバル車のパワーアップに伴い、その後6M型、7M型へと排気量を拡大し、ターボも装着されていきました。

優れた空力性能を実現。先進的な装備も魅力だった2代目のセリカXX

さらに、美しいリトラクタブルヘッドランプを採用することで、空気抵抗係数(Cd値)0.35という優れた空力性能も実現。2代目セリカ・スープラは、時速200kmオーバーでの超高速クルージングが余裕でこなせる、真の「スポーツカー」と呼ぶにふさわしい超一級品のクルマに仕上げられました。その一方で、ソアラ譲りの先進的なデジタルメーターや、当時の日本車では極めて珍しかったクルーズコントロールなど、豪華な快適機能も惜しみなく投入されています。

当時はまだGPSナビゲーションシステムなど存在しない時代でしたが、目的地の方角をはじめに入力しておくと、走行中もジャイロセンサー等で方位と距離を計算して表示し続ける「クルーズナビコン」と呼ばれるハイテク装備を設定。これは、電子デバイスを満載して世界をリードすることになる現代の日本車の姿を、45年も前に先取りしていた象徴的な装備でした。

2代目セリカXXの車内。どんな体格のドライバーでも最適なドライビングポジションが確保できるよう、8つの調整機構を備えたハイテクなスポーツシートを採用。最上級グレードの「2800GT」に標準装備されたエレクトロニック・ディスプレイメーター(デジタルメーター)は、燃料残量を1リッター刻みで詳細に表示する拡大切り替え機能も備わっていました。また、合成女性音声によって半ドアや燃料切れを優しく知らせる「スピークモニター」といった先進装備も設定されていました。

3ナンバーの普通乗用車がまだ贅沢品として高い税金を課されていた時代を反映し、日本国内仕様のボディサイズは5ナンバー規格にとどめられ、2リッターモデルが売れ筋となっていました。しかし、この2代目セリカ・スープラは、かつて外国車の見よう見まねから始まった日本の自動車産業が、ついに「世界に通用する一級品のスポーツカーをも作れる実力を身に付けた」ことを証明する、まさに卒業制作のような役割を果たした伝説の1台となったのです。

事実、アメリカの『Motor Trend』誌での「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」受賞や、ドイツでの「ゴールデン・ステアリング・ホイール賞」の獲得など、欧米の名だたる自動車賞を総なめにしました。これに続く世代の日本車たちは、あらゆるカテゴリーで世界の市場を席巻していくことになります。

2代目セリカXX(1981年〜1986年)

初代に引き続き、セリカ・リフトバックのボディをベースにスタイリッシュにモディファイされた2代目セリカXX。標準セリカのポップアップ式ヘッドランプに対し、セリカXXでは完全なリトラクタブルヘッドランプへと変更され、より未来的でシャープなフロントマスクを構築しています。

ちなみに、空気抵抗係数(Cd値)はセリカ・リフトバックが0.34、セリカXXが0.35となっており、ベース車の方がわずかに空力に優れていました。なお、日本仕様へのドアミラーの採用は、1983年のマイナーチェンジ以降(後期型)となります。

インパネまわりは、基本的にはソアラと共通のコンポーネンツを使用したエレクトロニック・ディスプレイメーターですが、セリカXX専用の演出として、タコメーターのデジタル表示がエンジンのトルクカーブをイメージした独特の形状に変更されています。また、この2代目から本格採用されたオートドライブ(クルーズコントロール)のメインスイッチが、センターコンソール中央に誇らしげに配置されています。

エレクトロニックディスプレイメーターと、オートドライブのメインスイッチ。

トヨタ セリカXX2800GT(1981年式)

【トヨタ セリカXX2800GT(1981年式)主要諸元】

  • 全長×全幅×全高:4660×1685×1315
  • ホイールベース:2615mm
  • 車両重量:1250kg
  • 乗車定員:5名
  • エンジン(5M-GEU型):直列6気筒DOHC2759cc
  • 最高出力:170ps/5600rpm
  • 最大トルク:24.0kg-m/4400rpm
  • 燃料タンク容量:61L
  • 10モード燃費:8.2km/L
  • 最小回転半径:5.4m
  • トランスミッション:OD付き4速オートマチック
  • サスペンション(前/後):ストラット式独立/セミトレーリングアーム式独立
  • タイヤ:195/70HR14(ミシュラン)
  • 新車当時価格(東京地区):241万1900円

トヨタ セリカXX2000GTツインカム24(1983年後期型)

1982年に追加された1G-GEU型2Lツンカムエンジンを搭載した2000GTツインカム24。運輸省(現国土交通省)は1983年よりドアミラー装着を認可したため、後期型はドアミラー装着仕様となった。

トヨタ セリカXX2000GTツインカム24(1983年後期型)

歴代セリカXX/スープラの系譜

初代の誕生から、17年の沈黙を経て劇的な復活を遂げた5代目の最新型GRスープラまで、モータースポーツの歴史とともに歩んできた歴代セリカXXおよびスープラの栄光の系譜を、貴重な写真とともに振り返っていきましょう。

トヨタ 初代セリカXX [A40/50型](1978年〜1981年)

当時、アメリカ市場で絶大な人気を誇っていた日産・フェアレディZ(輸出名:ダットサン260Z/280Z)に対抗するため、現地の北米トヨタディーラーからの熱烈な要望によって開発された初代セリカXX。トヨタの「T」の文字をモチーフにデザインされた高級感あふれるフロントグリルや、フロントノーズに美しく収められた伝統の直列6気筒M系エンジンなど、かつての伝説のスーパーカー「トヨタ2000GT」を強く連想させる、大人のためのラグジュアリーな高級グランドツアラーとして誕生しました。

トヨタ 初代セリカXX [A40/50型](1978年〜1981年)

トヨタ 2代目セリカXX [A60型](1981年〜1986年)

同じ直列6気筒エンジンを搭載する高級クーペ「ソアラ」が同時に誕生したこともあり、2代目セリカXXはラグジュアリー志向が強かった初代に比べ、より走りを意識したエッジの効いたスポーツカーへとドラスティックに変身を遂げました。その一方で、計器盤からアナログの指針を完全に排除した未来的なデジタルメーターの採用など、当時のカーエレクトロニクスの最先端をひた走るハイテクモデルとしても、世界中から大きな注目を集めました。

トヨタ 2代目セリカXX [A60型](1981年〜1986年)

トヨタ 3代目スープラ [A70型](1986年〜1993年)

セリカXXの初代から数えて3代目となるA70型からは、日本国内市場でもついに海外と同じ「スープラ」の名前を名乗るようになります。それまでベースとなっていたセリカのプラットフォームに別れを告げ、シャシーは2代目ソアラと共通化。サスペンションには贅沢な4輪ダブルウィッシュボーン式を採用しました。

トヨタ 3代目スープラ [A70型](1986年〜1993年)

キャッチフレーズは「TOYOTA 3000GT」および「ハイパフォーマンス・スペシャリティ」。高級感を前面に出して売るソアラに対し、スープラはより硬派なスポーツキャラクターを前面に押し出しました。発売から4か月後には、ルーフを着脱できる「エアロトップ」を追加。さらに1987年には、輸出モデルで大好評だったブリスターフェンダーを持つ堂々たる3ナンバーの「ワイドボディ」もラインナップ。1990年には、当時の国内自主規制上限である280馬力に達した2.5リッター直列6気筒ツインターボ(1J-GTE型)を搭載したモデルも登場し、圧倒的な速さを誇りました。

トヨタ 4代目スープラ [A80型](1993年〜2002年)

先代のA70型に対して全長とホイールベースを短縮し運動性能を極限まで高めた一方、全幅は1,810mmまで大胆に拡大。2+2シーターのグローバルハッチバックスポーツというキャラクターがさらに鮮明になりました。

トヨタ 4代目スープラ [A80型](1993年〜2002年)

搭載された3.0リッター直列6気筒ツインターボの「2JZ-GTE型」エンジンは凄まじいトルクを誇り、全日本GT選手権(JGTC)などの国内ツーリングカーレースの最高峰ステージでも、日産・スカイラインGT-Rやホンダ・NSXと熾烈なチャンピオン争いを繰り広げました。先代と同じく、着脱式ルーフのエアロトップもラインナップされましたが、平成12年度排出ガス規制への適合が困難となったことから、惜しまれつつも2002年に一度生産を終了しました。

トヨタ 5代目スープラ [A90型](2019年〜)

2019年のデトロイトモーターショーにて、世界初公開され大きな話題を呼んだ現行のA90型(GRスープラ)。BMWとの共同開発という新たな手法がとられ、エンジンやシャシーなどの主要コンポーネンツをBMW・Z4と共有しています。

トヨタ 5代目スープラ [A90型](2019年〜)

フラッグシップに積まれる伝統の直列6気筒3.0リッターツインスクロールターボエンジンは、最高出力340馬力(のちに387馬力へ向上)、最大トルク51.0kg-mという強烈なスペックを誇ります。セリカXXから続く伝統のFR(後輪駆動)レイアウトを踏襲し、ロングノーズ&ショートキャビンの極めてグラマラスなボディシルエットを纏っています。スープラシリーズとしては歴史上初めて「2シーター(2人乗り)」専用設計となり、ピュアスポーツカーとしての走りの快感を極限まで追求したモデルへと生まれ変わりました。

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