●文:月刊自家用車編集部
ハイラックス モデル概要:マニアから絶大な人気を集める、国産スポーツトラックの代表モデル
ミドルサイズのピックアップトラックとして人気の高かったハイラックスは、かつてはクローズドボディのSUVタイプ「サーフ」が派生モデルとしてラインナップされていた。だが、クロカンブームの衰退とともにサーフは廃止され、トラックタイプのハイラックスのみに集約されることになったが、2004年に国内販売は終了(6代目)した。その後、2017年に13年ぶりに国内市場に復活したのが、現行型(8代目)のハイラックスだ。
国内導入されたのは、「タフ&エモーショナル」をコンセプトに迫力と躍動感を表現したスタイリングが印象的なピックアップトラック。後席スペースを十分に確保した5人乗りの4ドアダブルキャブ仕様が導入されている。なおこのモデルは、全長5335mm/全幅1855mmの1ナンバー登録(普通貨物車)車となる。
パワートレーンは、2.4Lディーゼルターボ「2GD-FTV」エンジンを搭載。低回転域でも高トルクを発揮する動力性能を備えるとともに、熱効率を高めることで優れた環境性能を実現し、走行燃費11.8km/Lを達成している。
高強度のフレームに加え、振動減衰を高めるサスペンション(フロント:ダブルウィッシュボーン/リヤ:車軸式半楕円リーフスプリング)を採用し、オンロード/オフロードとも優れた走行安定性と乗り心地を確保。また、ダイヤル操作で駆動方式を選択できるパートタイム4WDシステムを装備。市街地や高速道路では静粛性や燃費性能に優れた2輪駆動とし、不整地や滑りやすい路面では4輪駆動に切り替えることで、快適性と走破性を両立。さらにヒルスタートアシストコントロール/アクティブトラクションコントロール/ダウンヒルアシストコントロールを設定することで、さまざまな路面状況に応じて駆動力を制御。オンロードからオフロードまで楽しめる本格4WD車としての高い走行性能を実現したモデルとなっている。
ハイラックス:スタイリング&パッケージ
大型グリルを採用したほか、国内専用のバンパーガーニッシュなどでアクティブでタフな印象を強調。上級モデルのヘッドライトはバイビーム式のLEDヘッドランプを装着するなど、プレミアムキャラも意識した装備がプラスされている。
ハイラックス:インパネ内装&シート
インパネのレイアウトは一世代前の設計だが、メーターリングのメッキ化などの乗用車的な加飾を加えることで上質感も演出。ステアリング奥のメインメーターは、オプティトロンメーター+4.2インチTFTカラーマルチインフォディスプレイが配置されている。シートは実用優先を意識したタイプだが、後席は足元の余裕はそれほどなく、シートバックの角度も少し立て気味なので、少し窮屈な印象が否めない。
ハイラックス:パワートレーン
国内導入に合わせて、内外装に乗用車的な加飾をプラスしているが、走りはやはりトラック的。荷台(ベット)を空荷の状態で走ると、道路のギャップで跳ねるような挙動が際立つなどオンロードでもオフロードでも硬い印象は否めない。乗用車から発展したSUV系のモデルと比べると、ハンドリングもラダー車特有のゆったりとしたものだ。
ハイラックス:モデル変遷
【2017年9月:初期型】13年ぶりに日本市場へ導入
パワートレーンは2.4Lディーゼルターボ車(NA)を設定。駆動方式は4WDで6速ATが組み合わされる。グレードはベーシックなXと上級装備をプラスしたZの2タイプ構成。外板色にはネビュラブルーメタリック/クリムゾンスパークレッドメタリックを含む5色を設定し、内装色はブラックとなる。生産工場はタイのトヨタ・モーター・タイランド(Toyota Motor Thailand Co., Ltd.) バンポー工場が担当。当時の年間販売目標台数は2000台とされていた。
エンジン | 駆動 | トランスミッション | 価格 | ||
---|---|---|---|---|---|
X | 2GD-FTV (2.4Lディーゼル) | パートタイム 4WD | 6 Super ECT | 326万7000円 | |
Z | 374万2200円 |
【2018年11月:特別仕様車追加】誕生50周年を記念する特別仕様車「Z“Black Rally Edition”」を設定
ハイラックスの誕生50周年を記念した特別仕様車 Z“Black Rally Edition”を設定。Zをベースにアルミホイールやフロントグリル、バンパーなどを専用の意匠とし、ブラックの塗装で統一。オーバーフェンダーなど、特別仕様ならではの装備を追加している。価格は394万7400円。
【2019年6月:一部改良】プリクラッシュセーフティの検知機能の向上やレーダークルーズコントロールを採用し、安全運転支援機能を強化
一部改良で安全装備を充実。プリクラッシュセーフティの検知機能を向上させ、新たに夜間の歩行者と昼間の自転車運転者にも対応したほか、レーンディパーチャーアラートには、警報だけでなく逸脱抑制も行うヨーアシスト機能を搭載。適切な車間距離を保ちながら追従走行できるレーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付)、道路標識をディスプレイに表示し、見逃し防止をサポートするロードサインアシスト、前方のクルマの発進をお知らせする先行車発進告知機能を採用した。
【2020年8月:マイナーチェンジ】内外装の変更に加えて、サスペンションの変更やパワーステアリングのオイル流量を制御するVFC機能を追加
タフさ/力強さを進化させた内外装デザインを採用
フロントフェイスは、台形の大型グリルにより顔の厚み感を表現し、グリルを支えるフロント構成で力強さを表現。日本専用のバンパーガードガーニッシュで、よりアクティブなイメージを強化。また薄型化したグリルからヘッドランプに軸を通すことでワイド感を与え、Bi-Beam LED化により先進的な表情を演出する。
内装は、Xグレードにもオプティトロンメーター+4.2インチTFTカラーマルチインフォーメーションディスプレイを設定し、視認性を向上。メーター自体もリングのメッキ化など加飾変更により、タフネスなイメージを強めている。
外板色は、新たにオフロードでも映えるタフで上品なオキサイドブロンズメタリック、質感高く洗練されたイメージのダークブルーマイカの2色を含む全5色を設定。
燃費の向上
ディーゼルエンジンの改良と、アイドリングストップ機能の追加によりWLTCモード走行燃費11.7km/Lを達成(JC08モードでは11.8km/L→13.6km/L、従来型に対し15%以上の燃費向上を実現)
安全/操縦安定性と乗り心地の向上
Zグレードでは、プリクラッシュセーフティやレーンディパーチャーアラート(ヨーアシスト機能付)などの安全機能に加え、新たに静止物の接近を表示とブザーで知らせるクリアランスソナー&バックソナーを標準装備。
サスペンションの改良とVFC機能の追加により、操縦安定性と乗り心地の向上。
ZグレードにオートLSDを追加。コーナリング時や悪路で左右駆動輪にトルクを適切に配分することで、トラクション性を向上させ、高い車両コントロール性能を実現した。
エンジン | 駆動 | トランスミッション | 価格 | |
---|---|---|---|---|
Z | 2GD-FTV(2.4L) | 4WD | 6 Super ECT | 387万6000円 |
X | 347万1000円 |
【2021年10月:一部改良&グレード追加】Z“GR SPORT”を追加
Z“GR SPORT”のおもな装備
- 専用オーバーフェンダーを装着し、全幅1,900mmの迫力あるワイドボディ
- 専用フロントバンパー/グリル、ブラック塗装+切削光輝を施した18インチアルミホイールを採用
- GRロゴを刺繍した専用合成皮革+スエード調スポーツシート(フロント)を採用。
- スモークシルバー加飾を施した専用本革巻きステアリングホイールと、パドルシフトを採用。
- ステアリング応答性向上、フラットで快適な走りを実現する専用サスペンションを採用
- 価格は431万2000円
Z/Xのおもな改良内容
- Zエアコンに左右独立温度コントロール機能を追加
- Xプリクラッシュセーフティやレーンディパーチャーアラートなどの安全機能を標準装備
【2023年9月:一部改良】パノラミックビューモニターを標準装備
Zにパノラミックビューモニターを搭載するとともに、ZとZ“GR SPORT”に新たな外板色を設定した。
Zにパノラミックビューモニター/バックモニター/ディスプレイオーディオ(ナビゲーション機能付き)を標準装備。
Z、Z“GR SPORT”の外板色スーパーホワイトIIをプラチナホワイトパールマイカに変更し、メーカーオプション設定。
価格はZが407万2000円、Z“GR SPORT”が431万2000円。
【2023年12月:特別仕様車】ハイラックスに特別仕様車 Z“Revo ROCCO Edition”を設定
おもな特別装備(ベース車はZ)
・18インチホワイトレタータイヤとブラック塗装+切削光輝のアルミホイール
・専用意匠のラジエーターグリル、バンパー(フロント/リヤ)、オーバーフェンダー(フロント/リヤ)など
・照明付きデッキバー/ベッドライナー/テールゲートリフトアシストほか
・ボディカラーは、オキサイドブロンズメタリックを含む3色を設定
・価格は477万2000円
ハイラックス:最新値引き額/納期情報(2024年10月)
- 車両本体目標値引き額:23万円
- 納期の目安:−
- リセール予想:B+
もともとの販売計画台数が少ないわりに値引きは伸びる傾向があるが、問題は納期。すでに今年の生産予定分は受注で埋まっているため、現在オーダーストップがかかっている状況だ。年末もしくは年始あたりに予想される一部改良時に受注が再開される可能性が高い。絶対に欲しいならば、複数のディーラーに購入の意思があることを伝えておくことをオススメする。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ハイラックス)
Zグレードをベースに、専用デザインの外装パーツをプラス 今回導入されるハイラックス Z“Revo ROCCO Edition”は、Zグレードをベースにアグレッシブなスタイルを実現する特別な装備をプラス[…]
→ワンルームを積んだキャンパーとは ベース車両はトヨタ ハイラックス ベースとなる車両はトヨタのハイラックス。 力強くタフな印象の外観に加えて、高い走破性と収納力を誇る人気の車だ。 デッキスペースは最[…]
車中泊も快適な最高の相棒 ベースとなる車両はトヨタのピックアップトラックのハイラックス。アウトドアユーザーにも非常に人気が高い車だ。 そんなハイラックスをキャブコンに仕立てたのがこちらの車両だ。 車内[…]
ハイラックスがトミカで登場 マクドナルドの人気メニュー「ハッピーセット」に、本日発売分からトヨタ ハイラックスのトミカが加わった。これを記念して「クルマってたのしそうだな、かっこいいな」と思ってもらえ[…]
広いルーフテント、頑丈なコンテナ、シャワーホースまで! 東京オートサロン2023の会場ではルーフテントを備えた車両が多く見られたが、その中でも特に大きく目立っていたのが、こちらのハイラックスだった。ア[…]
最新の関連記事(新車カタログ(国産車) | トヨタ)
RAV4 モデル概要:プレミアムキャラの強化でイメージ一新、トヨタ自慢のミドルSUV 現行型は5代目となるモデルで、国内向けのモデルとしては2005年に登場した3代目以来の復活になる。その開発コンセプ[…]
カローラ:モデル概要〈TNGA技術が注がれた新世代のベーシックセダン〉 カローラは、1966年に誕生して以来、世界150以上の国と地域で、販売累計台数が4750万台を超えるロングセラーモデル。12代目[…]
MIRAI:モデル概要|環境車から、クルマの本質で勝負できる 上質なセダンに進化 水素を燃料とするFCV(燃料電池自動車)は、ゼロエミッションでありながら短い燃料充填時間で長い航続距離を可能とす[…]
プリウス:モデル概要 プリウスは、1997年に世界初の量産型ハイブリッドカーとして誕生。以来、圧倒的な燃費性能を備えた新世代のエコカーとして、ハイブリッドの普及を牽引してきたモデルだ。 2023年に登[…]
クラウンセダン モデル概要:パーソナルからビジネスまで、オールマイティに使える新世代セダン 「クラウンセダン」は、新世代クラウン(16代目)の中では「クロスオーバー」「スポーツ」に続く3番目に登場。快[…]
人気記事ランキング(全体)
摩訶不思議?斜めの駐車場が設計された背景とは SA/PA以外で、斜めの駐車場を日常的にみる機会は少ないものです。 それもそのはず。普段利用するコンビニ/スーパーなどの商業施設では、そのほとんどが直角の[…]
大黒PAとは、神奈川県横浜市鶴見区の首都高速道路にあるパーキングエリアのこと。 首都圏を走行する多くのドライバーにとって重要な交通ハブであり、観光客や長距離ドライバーをはじめとする多くの人々に利用され[…]
車内を暖かく! カーエアコンの正しい使い方とは? 車内を快適な温度に保つために必要な、カーエアコンの正しい使い方を4つのポイントから見ていきましょう。 まずひとつ目のポイントは、カーエアコンの起動タイ[…]
ネジはナメやすい! だからこそ、ちゃんとした外し方をマスター まず断っておきたいのが、本記事で紹介するテクニックは、自動車整備を前提にしている。それ以外のシチュエーションは想定していないのでご注意頂き[…]
ベース車両はトヨタのノア ベースとなる車両はトヨタのノア。国内で最も売れているミニバンであるノア/ヴォクシーは、車内スペースも広くファミリーカーとしても非常に人気の高い車だ。本格的なキャンピングカーも[…]
最新の投稿記事(全体)
個性も使いにくさも妥協なし!純度100%のスーパーカー ビートと同様のミッドシップに加えて、イタリアのスーパーカーのようなフォルムとガルウイングドアまで装備した軽スポーツカーがマツダのAZ-1。走りの[…]
「日本の生活に寄り添うクルマ」たちが揃う、人気シリーズ ホンダが手掛けるNシリーズは、「日本にベストな新しいのりものを創造したい」という思いから開発がスタートとした軽自動車。 2011年12月に発売し[…]
摩訶不思議?斜めの駐車場が設計された背景とは SA/PA以外で、斜めの駐車場を日常的にみる機会は少ないものです。 それもそのはず。普段利用するコンビニ/スーパーなどの商業施設では、そのほとんどが直角の[…]
各界のセレブに向けてお披露目された豪華モデル 毎年8月、世界中から新旧の名車が集うペブルビーチ・コンクール・デレガンスは、近年では自動車メーカーの新車発表の場としても注目されているが、2024年の目玉[…]
大黒PAとは、神奈川県横浜市鶴見区の首都高速道路にあるパーキングエリアのこと。 首都圏を走行する多くのドライバーにとって重要な交通ハブであり、観光客や長距離ドライバーをはじめとする多くの人々に利用され[…]
- 1
- 2