
2026年の発売がアナウンスされているランドクルーザーFJは、世界中で「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」として信頼されているランドクルーザーシリーズの末弟。サイズも価格も使い勝手も、日本で遊び倒すのにぴったりの一台になりそうだ。
●文:月刊自家用車編集部(横田晃) ●写真:澤田和久
「隙間」を埋める、商品企画の天才的なさじ加減
トヨタは本当に商売がうまい。というのが、ランドクルーザーFJの第一印象。そう書くと揶揄しているようだが、そうじゃなく、マジで商品企画が巧みだと感心しているのだ。
最近のトヨタは“もっといいクルマを作ろう”と謳っているが、いいクルマの基準は人によって違う。かつてのように誰もが坂の上を目指すのではなく、自分らしく生きる現代では、その多様さもどんどん増している。ランドクルーザーFJは、そんな市場のニッチなニーズをぴたりと満たすさじ加減が見どころだ。
ランドクルーザーFJは、ランクルファミリーのエントリーモデル。250系より一回りコンパクトなサイズ(全長4575mm、全幅1855mm)が与えられたことで、日常生活での汎用性もしっかりと確保。車格が上がってしまったランクル現行世代の立ち位置を整える役割を担うことが期待される。
現行ランドクルーザーは、上から300、250、70の3モデルがラインナップされているが、じつはいずれも普通のユーザーのマイカーとしては、帯に短したすきに長しというモデルだ。
最上級の300は全長ほぼ5m、全幅も2mに迫る巨漢で、V6の3.5リッターガソリンと3.3リッターのディーゼルの、どちらもツインターボ+10速ATというハイスペック。足回りも最新の電子制御を始めとする先進メカてんこ盛りだ。お値段も500万円超からで、ちょっとオプションを張り込めば1000万円の声を聞く。さらに人気がありすぎて受注再開の見込みすら立っていないことも難点になっている。海外ではオフロードの最高級車の名をほしいままにしているクルマだけに、庶民が気軽に乗り回すには荷が重い。
300系は、2021年に14年ぶりにフルモデルチェンジを実施したランドクルーザーのフラッグシップモデル。最新のGA-Fプラットフォームや新開発ディーゼルターボが与えられたこともあって、予約段階から大きな注目を集めていた。受注が殺到した影響はいまでも残っており、オーダーストップが続いている状況。
250もそれに近いサイズと価格ながら、キャラとしては300よりは実用寄り。300ほど電子制御化などはされていない分、維持はしやすいとはいえ、基本メカは300と共通だ。フルタイム4WDだから高速走行も安定してこなすが、世田谷あたりの狭い路地では、切り返さないと曲がり切れない交差点さえある。要は都会向きではないのだ。
2024年に発売された250系は、300系から始まる新世代ランドクルーザーにふさわしい最新装備や機能を備えながら、ボディサイズを巧みにダウンサイズ。こちらもオーダーストップが続いている。
一方、1984年の初代以来、基本メカが変わっていない70は、砂漠や密林を命がけで走り抜ける、究極の実用車。そのワイルドな本物感に惚れるファンも多いが、コイツも全長4890㎜もある大物で、2023年登場の現行型でようやくATが加わったとはいえ、シンプル命のパートタイム4WDのシャシーは40年前の代物。洗練されたクルージング性能は求められず、質感や快適性も昔のピックアップトラックを今風にカイゼンしたような仕立てだ。
1984年に登場した70系は、高い走破性能とタフな耐久性を持つ、古き佳き時代を彷彿させるスパルタンモデル。長らく海外で販売され続けているベストセラーでもあり、国内でも2023年にレギュラーモデルとして復活を遂げた。
現在、国内でラインナップされる3つのランドクルーザーの個性はすべて、世界の市場から求められた結果であり、このクルマを切実に必要とする人のために、ランドクルーザーシリーズはある。
全長4.5mのFJが秘める無限の可能性
その末弟となるFJは、兄貴たちのような切実さより愛着をクルマに求める人のために企画されているのだと思う。全長4575㎜、全幅1855㎜、ホイールベース2580㎜は、ほぼRAV4のサイズ感。つまり一般家庭のマイカーとして、ちゃんと使える。
ランドクルーザーFJは、250系よりも一回りコンパクトで、デザインも趣味性を意識した仕立て。2000年代始めに活躍していたFJクルーザーの後継とも考えられるモデル。
無骨で角ばったデザインのLEDヘッドライトと、大型でタフな印象のブラック樹脂製バンパーなど、ユニークなランプグラフィックがアピールポイントのひとつ。コーナーまわりは分割式とすることで、修理整備性を高めていることもランクルらしいアプローチだ。
それでいて、モノコックボディにフルタイム4WD(またはFF)のRAV4より、本格派のフレーム付きパートタイム4WDというのがFJのミソだ。じつはこのシャシーはアジア向けのピックアップトラックなどに使われる、IMVと呼ばれるフレーム付きプラットフォームだが、そこは最新モデルだけに、古い設計の70よりは、ずっと洗練された走りを実現しているのは間違いない。このあたりは300や250で立証済みなだけに期待ができる。
IMV系プラットフォームをベースとしたラダーフレーム構造とパートタイム4WDを採用。
撮影車両にはミシュラン・プライマシーSUVが装着されていた。タイヤサイズは265/60R18。
デザインもちょっとエキゾチックかつワイルドな仕上がりで、「キャンプ大好き」みたいなファミリーにぴったり。インテリアは70系を思わせる、光りモノのない質素なテイストながら、必要な装備はきちんと備わり、車体の傾きが分かりやすい水平基調のインパネや、四隅が見切りやすいボンネットやテールランプといった、うんちく系オフロードファンを喜ばせるポイントもちゃんと押さえている。
インパネは、オフロードでの視認性を考慮した水平基調のデザイン。デジタルメーターと大型ディスプレイを備えながらも、無骨さと実用性を兼ね備えたコックピットに仕立てている。
遊びココロをくすぐるカスタムパーツも期待しかない
そのうえ海外カスタマイズ仕様と称して発表されている、アフターパーツによるドレスアップがまた楽しそうなのだ。250と同様に、ヘッドランプがノーマルの横長から丸目に変更できたり、じゃぶじゃぶ渡河にチャレンジできそうな(実際にやるのはオススメしないが…)シュノーケルも用意されていて、買ってからのお楽しみも多そうだ。
アフターパーツで遊びココロを高めた海外カスタマイズモデルも公開済み。
本気でオフを攻める人にも満足できる走破性を備えながら、気軽な街乗りも安心してこなせる、そんな“ちょうどいいオフローダー”という個性が、とってもわかりやすく表現されているFJは、今からベストセラー間違いなしと断言できそう。
当初は2.7リッターのガソリンのみだが、噂される新世代クリーンディーゼルが加わった暁には、その人気は大爆発となりそうだ。
国内発売は2026年夏を予定。2.7リッターガソリン(163PS/246Nm)、トランスミッションは6速ATで、駆動方式は4WDのモノグレードで展開されるとのこと。ディーゼルエンジンに関してはノーコメントのことだが、ランクルFJと同じ時期に国内導入されそうな次期ハイラックスにはディーゼルエンジンが採用されることがアナウンス済み。将来的にはFJにもディーゼル車が設定される可能性は極めて高いだろう。
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