
480台もの「変態グルマ(褒め言葉)」が集結した「高速有鉛フェスティバル2026」の参加車の中から、筆者の独断と偏見で目に止まったクルマをピックアップ。今回は、日産のパイクカーブームから約40年、可愛らしい外観で今なお愛される「エスカルゴ」を、驚きの方法で活用するオーナーに話を聞くことができました。西海岸風にカスタムされたイエローの車体の中には、想像を絶する空間が広がっていたのです……。
●文/写真:月刊自家用車編集部(竹野由志雄)
日産の「パイクカー」シリーズは、高い人気を集めるネオクラ名車
「パイクカー」とは、1987年に日産がBe-1を発売して以来、台数限定で生産・販売してきたポップで個性的な小型車のこと。
Be-1は発売前の1985年の東京モーターショーでコンセプトカーとして登場して話題を呼び、限定1万台で発売されるとその台数を超える注文が殺到し、購入者を抽選で決定するという異例の状態になったというエピソードを持つ。その後、1989年に第2弾としてパオが登場し、今回の取材したエスカルゴは、第3弾として、パオと同時デビューしている(第4弾のフィガロは1991年発売)。
日産エスカルゴは、1989年に発売されたパイクカーシリーズ唯一の商用車。パルサーバンをベースとし、高い天井による広い荷室や、センターメーターを採用した遊び心ある内装や、フランス語のエスカルゴ(カタツムリ)とカーゴ(貨物)を掛け合わせた名の通りの丸みを帯びた愛らしいフォルムが特徴。
1985年の東京モーターショーで話題を呼んだBe-1は、1987年にデビュー。日産のパイクカーシリーズ成功の立役者としても有名。
この時代の日産は、バブル経済による好景気が後押しし、「シーマ現象」を発生させたり、R32スカイラインGT-Rをヒットさせたりと乗りに乗った時期で、これらパイクカーも一世を風靡した。Be-1とパオ、フィガロは、K10型初代マーチをベースとしており、エスカルゴは当時の商用車、VN10型パルサーバンがベースになっている。
ちなみにパオ(左)とフィガロ(右)は、デビューから40年近く経った今なお人気が高く、パオはマンガ&アニメ「mono」のメインキャラクターの愛車として、そしてフィガロは、テレビ番組「バナナマンのせっかくグルメ!!」でもお馴染み。オープンボディとレトロなスタイルは、遠く海を超えた英国でも人気が再燃しているほど。
顕微鏡と注射器が並ぶ「移動診察室」として、仕事の相棒として活用中
高速有鉛フェスの会場で出会ったエスカルゴは、ムーンアイズ風のイエローにオールペンされたキャルルックのカスタムカーになる。
フロントバンパーはワンオフのエアロタイプに換装され、ホイールはワークのレッドスレッドをチョイスするなど、まさに西海岸! な雰囲気になっていた。
ホイールはワークのレッドスレッド16インチ・リムをボディ同色のイエローにペイントし、タイヤをホワイトレターに仕上げるなど、キャルな雰囲気をさらに高めている。
インテリアもボディ同色にコーディネイトされ、レカロのセンター部分もイエローにするなど、実に楽しげな仕様に仕上がっている。
インテリアもキャルルックにコーディネイトしつつ、レーシーな雰囲気も加えている。ステアリングは着脱式で、展示時(駐車時)は自作のピザ風カバーをセットされていた。
レカロのフルバケットシートは、センター部分をイエローのメッシュなファブリックに変更済み。
さらに注目したいのはカーゴルームだ。
カーゴルームの右側は、レーシングチームかロードサービスのサポートカーのように、壁一面に工具などのツール類がぎっしり。このあたりはクルマが趣味な旧車好きなら納得のレイアウトだが、すごいのは左側。パソコンや顕微鏡、試験管や注射器など、病院の診察室(ムーンのイエローだが)のようになっている。
カーゴルームは、右側がメカニック仕様で左側が獣医さんの往診車仕様。
よく見るとコンピュータはノートPCではなく大画面液晶のデスクトップPCが収まってる。
右側はエスカルゴのコンディション維持に不可欠なクルマツールがぎっしり。趣味の空間とプロの仕事場が同居しているカーゴルームは実に面白い。
実はオーナー氏のお仕事は「動物のお医者さん」、つまり獣医さん。このエスカルゴは、ペット診療の往診用としてフル活用している「仕事車」だというのだ。
カーゴ内には、本格的な診療も可能な道具を揃えていて、飼い主さんの切なる想いに応えられる体制を整えているという。こんな装備充実のクルマでお医者さんが駆けつけたら、飼い主さんはもちろん、患畜のワンちゃんや猫ちゃんもびっくりするはずだけど、とても頼もしく思えるはずだ。
こんな仕事車カスタムなエスカルゴを造ったオーナー氏。この車両のほかに部品取り用のエスカルゴを2台所有・計3台のオーナーだというから、エスカルゴへの愛着も超弩級!
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