「北米で高く評価」55年前 欧米勢を押しのけ大人気となった国産スポーツカー。美しいシルエットで今も海外・国内で高い人気をもつ名車を紹介│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

「北米で高く評価」55年前 欧米勢を押しのけ大人気となった国産スポーツカー。美しいシルエットで今も海外・国内で高い人気をもつ名車を紹介

「北米で高く評価」55年前 欧米勢を押しのけ大人気となった国産スポーツカー。美しいシルエットで今も海外・国内で高い人気をもつ名車を紹介

国産スポーツカーが「ロングノーズ・ショートデッキ」という黄金律を手に入れ、直感的な美しさを確立した金字塔――それが初代S30型フェアレディZである。その華々しい系譜の中でも、ひときわ硬派で異質な輝きを放っていたのが、フラッグシップの「Z432」だ。

●文:月刊自家用車編集部

伝統の血統と「究極のスパルタン」

「フェアレディ(貴婦人)」という優雅な名に反し、その中身は一貫して硬派なパイオニアの血脈を継承している。その祖先はダットサンスポーツSPL212にまで遡るが、市販スポーツカーとしての地位を決定づけたのは、1967年に登場したフェアレディ2000(SR311型)に他ならない。快適性など微塵も顧みないそのスパルタンな走りは、まさに「最後の個性派スポーツ」と呼ぶにふさわしい凄みを備えていた。

ダットサンスポーツ時代からフェアレディのメイン市場は北米。フェアレディSP310も国内向けと同時に輸出用(SPL310)を発表。北米で評判になった。その後、2Lに排気量アップされたSR311型。

このアグレッシブな性能は、国内以上に北米市場で熱狂的に支持される。欧米のコンバーチブル勢を圧倒する勢いでトップカテゴリーへと躍り出たその実績を背景に、日産が1970年代の世界市場を制覇すべく放った戦略的一手が、クローズドボディを纏った新時代の量産スポーツ、S30型フェアレディZであった。

S30型フェアレディZは、開発当初から他車との部品共通化で原価を安く抑えることを目指した。とりわけブルーバード510とはシャシーをはじめ多くの共用関係にある。

Z432:スカイラインGT-Rの心臓を持つフラッグシップ

S30型の象徴である長いボンネットの下には、当初2種類の2L直列6気筒エンジンが収められた。

  • L20型(SOHC): SUツインキャブを備えた量販の中核モデル。
  • S20型(DOHC): スカイラインGT-R(ハコスカ)と共通の心臓部を持つ特別なエンジン。

このS20型を搭載した最高峰グレードこそが「Z432」である。その名は、4バルブ・3連ソレックスキャブ・ツインカム(2カム)というエンジンの機構に由来し、シリーズ最強のスペックであることを雄弁に物語っていた。

スカイラインGT-R(ハコスカ)にも搭載されていたS20型エンジンは、1気筒あたり4バルブを持つ2LのDOHCエンジン。

日産 フェアレディZ432(1971年式)

レース界を席巻したスカイラインGT-R(ハコスカ)と同じS20型2L DOHCエンジンを搭載したS30型フェアレディZのフラッグシップ432。そのネーミングは「4バルブ・3連ソレックスキャブ・ツインカムシャフト」に由来する。

【主要諸元】
●全長×全幅×全高:4115㎜×1630㎜×1290㎜ ●ホイールベース:2305㎜ ●車両重量:1040㎏ ●エンジン(S20型):水冷直列6気筒DOHC1989㏄ ●最高出力:160PS/7000rpm ●最大トルク:18.0㎏-m/5600rpm ●最高速度:210㎞/h ●0-400m加速:15.8秒 ●最小回転半径:4.8m ●燃料タンク容量:60L ●サスペンション:前後ストラット式 ●ブレーキ:前ディスク/後ドラム ●トランスミッション:5速MT ●タイヤサイズ:6.95-14-4PR ●乗車定員:2名 ◎新車当時価格:185万円(マグネシウムホイール付)

車内に目を移すと、彫りの深い造形のダッシュボードに取り付けられた独立型3連メーターが印象的。ちなみにこれは、右から「水温/油温計、電流/燃料計、油圧計」の順に並んでいる。また、黒で統一されたインテリアも、ドライバーにやる気を起こさせる。ヘッドレスト一体型バケットシートはリクライニングも可能。

印象的な3連メーターがダッシュボード上に搭載されている。

インテリアは黒で統一されている。

高級GTとしての矜持と、240Zとの相克

レースでの勝利を至上命題としたGT-Rに対し、Z432はあくまで高性能な「グランドツーリングカー」としての完成度を追求していた。内装はラグジュアリー仕様に準じた設えとなっており、日常の足としても機能する柔軟さを併せ持っていたのである。

長いボンネットとコンパクトな居住空間、誰もが直感的に納得するカッコよさというスポーツカーの定型を、国産車として最初に体現したモデルが、初代フェアレディZ(S30型)。Z432はスカイラインGT- Rと同じS20型エンジンを搭載していることでも有名。

価格はベースモデルの約2倍に相当する185万円。標準でLSDやマグネシウム製ホイールを備えるなど、日産の技術と贅を尽くした超高級車であった。しかし、その後の展開は皮肉なものとなる…。

  1. 240Zの登場: 2年後に北米仕様の2.4Lモデルが国内投入されると、排気量の余裕が生む豊かなトルクにより、「扱いやすさ」という面で240Zが市場から高い評価を得る。
  2. 432Rの存在: 競技用ベースとして徹底的な軽量化を施した「432R」も存在したが、公道登録された個体は極めて少ない。

対米輸出から2年遅れて日本でも発売となった240Z。240Z-Gはその上級グレードで、FRPのGノーズとヘッドライトカバー、オーバーフェンダーを持ち、25㎏重いにもかかわらず、向上した空力で最高時速は432と同じく210㎞/hを誇った。

歴史に刻まれた偉大な足跡

S30型フェアレディZは、9年という長期間にわたって生産され、世界累計販売台数52万台というスポーツカー史上空前の記録を樹立した。日産を世界的なブランドへと押し上げた立役者である。

その巨大なピラミッドの頂点に君臨したZ432の生産台数は、わずか419台。レーシングカー直系の高回転域の吹け上がりと官能的なサウンドは、今なお語り継がれる伝説となっている。

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