
昭和の消防現場を足元から支え、今なおクラシックカーファンから熱い視線を浴びる四輪駆動の傑作車、日産・ファイヤーパトロール「J-FH61型」。パトロール譲りのタフなシャシーに力強い直列6気筒エンジンを搭載し、悪路をもいとわない高い走破性で地域防災の要として活躍した。この機能美あふれる無骨なスタイリングを懐かしみながら、当時の活躍を想像してほしい。
(この記事は、オートメカニック2024年11月号にて掲載されたものです)
●文:鈴木ケンイチ(月刊自家用車編集部)/取材協力:ザ・ヒロサワ・シティ
日産自動車J-FH61型ファイヤーパトロール消防ポンプ自動車(1979年)
主要諸元
寸法:全長4920×全幅2100×全高2400mm ホイールベース:2800mm 車両総重量:2445㎏ エンジン:PF型直列6気筒ガソリン・エンジン 総排気量:3956cc 最高出力:130PS森田ポンプ株式会社
「パトロール」本来の操作系に、エンジンの力をポンプに切り替えるポンプレバーが追加されている。
エンジンの回転出力をPTOでポンプに伝えるシステム
火災に対する消防の主力となるのがポンプ車だ。車載したポンプで水をくみ上げ、放水する。そして、ほとんどのポンプ車は、走行用のエンジンの力を使ってポンプを作動させる。エンジンの力をポンプに導くのはPTO(パワー・テイク・オフ)と呼ばれる機構だ。多くの場合、フライホイールやミッションなどに備わっており、エンジンの力を回転軸として取り出し、ポンプを作動させる。そして、エンジンの力を走行用からポンプ用に切り替えるのが、ポンプレバーだ。
消防車は停車中にポンプを作動させるため、走行風でエンジンを冷却できない。そのため耐久性を高めるヘッドカバーや、追加のラジエター類を備えているのも特徴となる。ポンプは性能によってA-1級からB-3級までの5段階に定められる。
取材した消防車は、日産版ジープと呼べる「パトロール」をベースにした消防車「ファイヤーパトロール」だ。「J-FH61」の「F」は消防車を示す。このクルマは、1979年に製造され、大阪府牧方消防団に14年在籍し、その後、大阪市内の化学工場の自衛消防車として30余年にわたって活躍してきたものだという。
運転席の後ろに座席のあるダブルキャブ。火災時は荷台をあわせて7人の消防士が乗車する。
左側の吸水口から外部の水を吸い込み、車内のポンプを介して、吐水口から水を放出する。
総排気量3956ccのPF型ガソリン・エンジン。ルーム内右に冷却用機器が追加されている。
出動時は、荷台に2人が座り、後ろのステップに一人が立ったまま乗車する。
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