
スバルの主力SUV3車種に待望の本格ハイブリッドが勢ぞろい!より魅力を増した「フォレスター」「レイバック」「クロストレック」のキャラクターや選び方はどう変わるのか?それぞれの強みや走りの違い、進化ポイントを徹底的な横比較で紐解き、激変するスバルSUVの最新勢力図に迫ってみた。
●文:川島茂夫
ストロングハイブリッド「S:HEV」の投入で、勢力図は大きく変わる
独自の「シンメトリカルAWD」と「水平対向エンジン」を核に、複数のSUVを展開しているスバル。
国内では、ミドルSUVのフォレスターとレヴォーグレイバック(以下レイバック)、コンパクトSUVのクロストレックの3モデルが展開され、いずれも「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」をベースとし、ホイールベースも2670mmと共通。装備機能にも共通要素が多いなど、大きな括りで捉えれば姉妹車関係にある。
ただ、そのキャラクターをじっくりと見ていくと、各モデルごとに個性が豊かで、ユーザーのライフスタイルや使用環境に応じて綿密に細分化されていることが分かってくる。
そんな興味深い関係の中で発展進化を続けてきたスバルSUVだが、2.5Lストロングハイブリッド「S:HEV」がラインナップへ加わったことで変化を遂げてきた。
これまでスバル車といえば、「シンメトリカルAWD」がもたらす抜群の走破性や安全性が高く評価される一方で、実用燃費の面ではライバル他社に対して一歩譲る、というのが、多くのユーザーの認識だったはずだ。
走りは魅力的だが維持費がネックになる、そう考えて購入を躊躇していたユーザーも少なくないだろう。
そんな流れの中でS:HEVの普及が本格化したことで、これまでスバルSUVを選択肢に入れていなかったユーザーからも熱い視線が注がれている、というわけだ。
そこで、これら主力SUV3モデルの特徴を比べることで、最適な選び分けを考えてみたいと思う。
フォレスター:ファミリー&レジャーの理想形を体現する王道ミドルSUV
スバル
フォレスター
価格:385万〜464万4000円
国内向けスバル車の中で、唯一カテゴリーコンセプトに沿って、一からSUVとして開発されたのがフォレスターになる。乗用車派生の他モデルと決定的に異なるのは、その高い室内高とアイポイントがもたらす抜群の見晴らしの良さ、そして圧倒的な積載性を持つことだ。
床面地上高が高く、スクエアなボディ形状をしているため荷物を上下に効率よく積み込むことができ、アウトドア趣味を全力で楽しむファミリー層やヘビーなレジャー用途にはこれ以上ないパッケージングとなっている。
走行性能はオンロード、ラフロード、オフロードのすべてを高水準でバランスさせた、スバル車の中でも特に穏やかで懐の深いセッティングが光る。
先代までは車両重量や車体サイズが嵩む分だけ燃費面で不利な一面もあったが、現行型では新世代のS:HEV搭載車が投入されたことで弱みを克服。
S:HEV車は、低速域から瞬時に力強く立ち上がるモーター駆動の恩恵により、巨体を感じさせないスムーズな発進と洗練された加速質感を獲得している。ほかにも同乗者の不快な揺れや身体への負担を配慮したしなやかな乗り味も相まって、日常の送り迎えからタフな長距離ロングドライブまで、全方位で高い安心感と快適性を提供する「間違いない1台」に仕上がっている。
一目でSUVと分かるスクエアで力強い王道のスタイリングが特徴だ。高い最低地上高と大きな窓がもたらす抜群の見晴らしの良さ、そして荷物を上下に満載しやすい機能的なボディ形状を誇る。
中央に大型縦型ディスプレイ(11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ)を配置するレイアウト。視認性と操作性に優れ、スバルらしい機能美と上質さを両立している。
荷室はスクエアな大開口部と圧倒的な室内高を誇り、大きな荷物も上下に効率よく積載できる。床面地上高が高いため、腰を屈めずに荷物を出し入れしやすく、アウトドアの大量のギアも満載できる抜群の実用性を備える。
レヴォーグ レイバック:洗練された都市型スタイルと進化した走りのベストバランス
スバル
レヴォーグ レイバック
価格:405万9000〜452万1000円
レイバックは、スポーツワゴンの名車レヴォーグを母胎とし、都会的なエッセンスと悪路対応力を融合させて誕生したモデル。今年7月の一部改良でS:HEVモデルが追加され、さらに隙のないラインナップになっている。
レイバックS:HEVでは、最低地上高をターボ車の200mmから180mmへと変更。これにより全高が1550mmに抑えられ、都市部に多い立体駐車場の全高規制をクリアできるようになっている。
エクステリアイメージもS:HEV車は差別化。ボンネットのターボダクトが廃止されたほか、フロントまわりの加飾を変更することで、より都会的なイメージを強調する再デザインが施されている。
走りの面でも、S:HEV車の味は変わっており、上級モデル寄りのフットワークが与えられている。
ターボ車の1.8Lターボ+CVTの組み合わせも完成度が高いが、狭路や急勾配、フル転舵でのタイトターンといったシビアなパワーコントロールが求められるシーンでは、ターボの過給タイムラグによるアクセルワークの神経質さが否めなかった。
その点、S:HEV車はペダルの踏み込みに対してリニアに反応する傾向が強くなっていて、坂道発進や狭い路地でも気楽かつ従順にコントロールできる。車両重量増加という燃費面ではネガになる要素も、走行安定性ではプラスになっていて、この副産物により足まわりは相対的にしなやか。ターボ車以上にしっとりとした極上の乗り心地を実現している。
ほかにもターボ車では開発が間に合わなかったとされる2モード式の悪路制御機能「X-MODE」も標準装備されるなど、全天候ツアラーとしての性能も向上していることも、地味ながらメリットになっている。
価格面でもエントリーグレード相当の「Premium Black S:HEV EX」が、1.8Lターボ車の上級グレード「Black Selection」と同価格に抑えられているなど、大幅な価格アップをせずに洗練されたドライブフィールが手に入る優れたバリューも見逃せない。上質で知的なクロスオーバースタイルを求めるユーザーには、レイバックは見逃せない選択肢になるはずだ。
レヴォーグ譲りの凛とした佇まいに都会的な上質さを融合したクロスオーバースタイル。S:HEV車ではボンネットのターボダクトを廃止し、穏やかでエレガントな外観へと磨き上げられている。
内装加飾は都会的で洗練されたカラーコーディネート。先進的なデジタルインターフェースに加え、大人のクロスオーバーにふさわしい上質なインテリア空間を演出している。
クロストレック:扱いやすさと低燃費が光る、コンパクトな都会派クロスオーバー
スバル
クロストレック
価格:301万4000〜405万3500円
クロストレックは、インプレッサの基本骨格をベースに、悪路対応型のサスペンションとSUV的艤装を施して生まれたSUV。スバルのSUVラインナップの中で最も軽量かつコンパクトなボディサイズを誇り、都市部の狭い道路や駐車場での取り回しやすさは最も優れている。
それでいて上級コンパクト相応のボディ質感と走りのまとまりを備えていることが強みで、街乗りから長距離ツーリングまでバランスよくこなす高い汎用性を持ち合わせていることが人気の理由。
クロストレックにも、上位モデルと同等の性能を持つS:HEVユニットが搭載(むしろ初採用はこのモデルだった)されており、車体が軽量小型である分だけ動力性能のダイレクト感や燃費性能の恩恵を感じやすい。モーターアシストを活かした軽快でスポーティな加速フィールは、スバルらしい走る楽しさを色濃く感じさせてくれるものになっている。
また、SUVとしては着座地上高が低めであることで、コーナリング時に乗員が体感する左右の揺さぶられ感が少ないことも、このモデルならではのメリットのひとつ。SUVボディがもたらす高いアイポイントよりも、乗降性の良さやロールの少なさを最優先したいユーザーにとっては、この低全高・低重心のパッケージングは、他社の腰高なSUVにはない唯一無二の強みとなる。
随所に配された立体的なテクスチャやアクティブなステッチが、遊び心と若々しい躍動感を演出している。
コンパクトなボディサイズながら、広くスクエアな開口部とフラットな床面により、日常の買い物から週末のアウトドアギアまでスマートに活用可能。傷が目立ちにくいテクスチャ付きの樹脂パーツを配するなど、タフで実用的な使い勝手も見どころのひとつ。
各モデルの走りインプレッション
フォレスター
常にフラットな視線を維持できる圧倒的な安心感と抜群の安定性が持ち味。路面状況を選ばない特性はレジャービークルとしての資質に優れていることは明らかだ。
S:HEV車は強力なモーターの連携により、高全高ながら重厚かつ滑らかなクルージングが楽しめる。車体をフラットに保ったまま押し出す質感は極めて洗練されているなど、上級モデルらしい堂々とした走りが楽しめる。
一方、ターボ車はダウンサイジングターボ特有の、中高回転域にかけた伸びやかな加速フィールが心地よい。実用域の扱いやすさと内燃機関ならではのスポーティなビート感も魅力。操る手応えを求めるなら、こちらに軍配が上がる。
レヴォーグ レイバック
しっとりとした極上の乗り心地は、レイバックの大きな武器。スバルSUVの中では、最も家族のクルマにふさわしいキャラクターになっている。
S:HEV車は、レスポンスの良さが秀逸。急勾配やタイトターンでも扱いやすく、アクセル踏み込みに対してタイムラグなく従順に追従してくれる。サスペンションのバネ定数はターボ車と共通だが、車重増となったことで、よりしっとりとした乗り味が強まる印象だ。
ターボ車は、微低速域のシビアなコントロールではS:HEV車に一歩譲るが、過給が立ち上がってからの力強さが秀逸。俊敏な活気のある走りを好むユーザーには、ターボ車の方をオススメしたい。
クロストレック
コンパクトなサイズ感を活かしたフットワークの軽快さと、圧倒的な取り回しの良さは大きな武器。ハッチバックから発展したモデルながら本格SUV並みの最低地上高200mmを確保するなど、道具としての使い勝手の良さも評価が高い。
S:HEV車は、軽量な車体もあってフォレスターやレイバック以上に、ストロングハイブリッドの恩恵を感じることができる。3車の中で最も機敏かつダイレクトな加速は、低重心ボクサーの美点をより引き立ててくれ、加減速からのコーナリングへの移行時も、姿勢変化が極めて少なくスポーティだ。
マイルドハイブリッドを組み合わせたe-BOXER車の走りもS:HEV車と同傾向だが、NAエンジンを高回転まで回す楽しさと、鼻先の軽さがもたらす回頭性の良さは唯一無二の魅力になっている。
緻密なS:HEVの制御に対して、ダイレクトでプレーンな路面感覚を乗り手に伝えてくれることもあって、3モデルの中から軽快さを優先するならば、クロストレックのe:BOXER車は最有力候補に躍り出る。
S:HEVで大きく魅力アップしたスバルのSUV!どれも優等生だ
スバルのSUV戦略は、単にサイズやヒエラルキーだけで選ばせるのではなく、パッケージングとキャラクターによって明確に細分化されているのが特徴だ。
荷物を満載してアクティブにアウトドアへ出かけたい場合や、高いアイポイントと広い室内空間という王道のSUV実用性を求めるファミリーユーザーには、フォレスターのキャビン実用性は最大の武器になるだろう。
立体駐車場の制限をクリアしつつ、スポーツワゴン風の走りの質感と、S:HEVがもたらす洗練された快適性を両立したいユーザーには、独自の進化を遂げてきたレイバックはうってつけ。抜群のバランスの良さを感じさせてくれる。
そして日常での扱いやすさや取り回しの良さを最重視し、軽快な走りと低燃費を狙いたいというならば、クロストレックの汎用性が好ましく思えるはず。
いずれにせよ3モデルとも新世代のS:HEVを手に入れたことで、その立ち位置はさらに明確になった。自身のライフステージや使用環境、求めるドライブフィールに合わせて、最適な1台が選べることは、ユーザーにとっても大きなメリットになるはずだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
造形家出身主査の美学が生んだ「真の大人向けクーペ」 一般的には質実剛健なイメージで語られがちなトヨタだが、その本質は前人未到の領域へ果敢に足を踏み入れてきたチャレンジャーである。豊田喜一郎が自動車事業[…]
16歳以上なら免許不要! 4輪+外装ボディで公道を走れる Blue Jayは、道路交通法上の「特定小型原動機付自転車」の規格に対応しており、16歳以上なら運転免許が不要で、公道を走行できる。もちろん、[…]
「風速」ではなく「風の太さ」にこだわったブロワー FUBUKIの大きな特徴は、一般的なハンディブロワーとは異なる「太い風」を生み出す設計だ。 ブロワーでは最大風速の数値をアピールする製品も多いが、FU[…]
軽自動車の概念を覆す大人気ベース車両の高い実用性 キャンピングカーのベース車両として、高い耐久性と維持費の安さから絶大な支持を集めているのが軽自動車である。紹介するモデルは、香川県高松市に拠点を構える[…]
default 車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推し進めている「RVパーク」とは「より安全・安心・快適なくるま旅」をキャンピングカーなどで自動車旅行を楽し[…]
最新の投稿記事(全体)
default 車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推し進めている「RVパーク」とは「より安全・安心・快適なくるま旅」をキャンピングカーなどで自動車旅行を楽し[…]
輸入車ブランド販売台数TOP20 順位6月 順位5月 順位4月 ブランド 普通 小型 合計 前年比(%) 1月からの累計(台) 111メルセデス-ベンツ4,512—4,51295.423,061 23[…]
ビートルの愛称で親しまれているフォルクスワーゲン・タイプⅠ。ほぼ初期デザインを踏襲しているが、時代とともにバンパーは進化を遂げてきた 自動車の前後に備わるバンパーは、多少ぶつかってもクルマ本体に大きな[…]
群雄割拠の時代——軽スポーツの限界に挑んだ3社の競演 スズキ・カプチーノが産声を上げた1991年は、潤沢な資金力を背景に自動車メーカー各社が世界トップレベルの車両開発へ没頭していた、まさに自動車産業に[…]
車の天井にある“小さなヒレ”の正体は? 「シャークフィンアンテナ」は、主にクルマのルーフ後方に取り付けられているアンテナだ。サメの背ビレのような形をしていることから、この名前で呼ばれている。 一方、昔[…]
- 1
- 2


































