
Hondaが米国で展開する高性能モデル「ACURA INTEGRA Type S(アキュラ インテグラ Type S)」が日本市場へ導入される。発売時期は「2026年後半」と発表されている。米国で生産されるモデルを日本へ導入するもので、Hondaが公開した参考スペックによれば、2L直列4気筒ターボエンジンに6速MT、FFを組み合わせ、最高出力320hp(約324PS)、最大トルク310lb-ft(約420Nm)を発生する。日本ではすでにシビック TYPE Rが販売されているだけに、「インテグラ Type Sとはどんなクルマなのか」「シビック TYPE Rと何が違うのか」と気になる人も多いだろう。そこで、現時点でHondaが発表している情報に加え、海外での評価やオーナーの声から、その実像を探ってみたい。
●文:月刊自家用車編集部
2026年後半、日本導入へ
Hondaは、米国で生産する「ACURA INTEGRA Type S」と「PASSPORT TRAILSPORT ELITE」の2モデルを日本市場へ導入し、2026年後半から順次発売すると発表している。
今回の導入では、国土交通省が新たに創設した米国製乗用車に関する認定制度を活用。インテグラ Type Sは米国のメアリズビル四輪車生産工場で生産される。つまり、日本向けに新たなモデルを開発するというより、北米で販売されているインテグラ Type Sを日本へ導入するという位置付けだ。
Hondaは東京オートサロン2026と大阪オートメッセ2026にもインテグラ Type Sを参考出品しており、今回の正式発表につながった。
今年のオートサロンとオートメッセで、参考出品車としてお披露目済み。多くの反響を集めたことも国内導入の理由になったという。
320馬力+6速MT、しかもFF
インテグラ Type Sの最大の特徴は、現在では貴重になった高性能エンジン+6速MT+FFという組み合わせだ。
Hondaの日本向け発表によると、2L直列4気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力は320hp(約324PS)、最大トルクは310lb-ft(約420Nm)。トランスミッションは6速MTで、駆動方式はFFとなる。車両重量は1460kg、乗車定員は4名。
海外仕様の2026年型も基本的に同じパワートレインを採用しており、0-60mph(約0-97km/h)は5.2秒を記録している。
さらに、単にエンジンを強化しただけではない。ワイドボディに19インチホイール、サマータイヤ、大型ブレンボ製ブレーキ、専用エキゾースト、アダプティブサスペンション、リミテッドスリップデフなどを備え、走りを楽しむための装備がかなり本格的に盛り込まれている。
一方で、FFであることは大きな特徴でもあり、海外では評価が分かれるポイントにもなっている。
海外メディアは「高評価」、しかし価格に厳しい声も
海外の自動車メディアによる2026年型インテグラ Type Sの評価というと、「ワイドボディのデザイン」「優れたハンドリング」「マニュアルシフト」が長所として挙げられている。一方で「クラッチペダルのダンピングが強すぎる」「4人乗り」「シビック TYPE Rのほうがコストパフォーマンスに優れる」といった点が短所として指摘されている。
高く評価されているのがハンドリングだ。強力なブレーキと高いコーナリンググリップを持ちながら、シャシーにはある程度の余裕があり、ドライバーのミスを許容してくれる。さらに、快適な設定では日常の移動にも使える乗り心地を確保しているという。
サーキットだけで楽しむクルマではなく、普段使いできる高性能ハッチバックとして評価されているわけだ。
「シビック TYPE Rのほうがお買い得」という評価も
ネックとなるのが価格だろう。米国での2026年型Type Sの価格は5万5195ドル。この価格帯になると、海外では「それならシビック TYPE Rを選ぶ」という声が出てきてしまう。
両車とも2.0Lターボ、6速MT、FFという基本的な構成を持つ高性能モデル。シビック TYPE Rは日本でも正式に販売されているため、日本のユーザーにとっても比較しやすい存在だ。
海外での評価では、「インテグラ Type Sはシビック TYPE Rよりも高価だが、性能面では大きな差がない」という指摘がある。
実際、海外メディアもシビック TYPE Rのほうがかなり安く、性能面でもわずかな差しかないため、コストパフォーマンスではシビック TYPE Rを評価している。
ただし、インテグラ Type Sにも明確な違いがある。同じ高性能FFでも、インテグラ Type Sはよりプレミアムな方向に仕上げられおり、海外評価でもシビック TYPE Rに比べて静粛性が高く、標準装備も上質だと評価されている。
つまり、「シビック TYPE Rの高級版」と単純に考えるより、「同じ技術を使いながら、より大人っぽいキャラクターを狙ったモデル」と考えたほうがよさそうだ。
それでも「なぜ売れない?」 海外では価格とFFがネックに
インテグラ Type Sについて海外のユーザーコミュニティを見ていくと、「クルマそのものは非常に良い」という意見が目立つが、「販売面では苦戦しているのではないか」という疑問を抱く人もいた。
あるユーザーは、インテグラ Type Sについて「エンスージアスト向けの機能が満載で、インテリアも素晴らしい」と評価しながらも、価格の高さを問題視していた。
特に厳しいのが、5万5000ドル前後でFF車を購入することへの抵抗感だ。「その価格なら中古のBMW M240iを探す」という声や、「欲しい人には高すぎ、買える人には欲しいと思われない」という辛辣な意見もある。さらに、「同じ価格帯ならキャデラックCT5-Vのほうがいい」「V6+AWDだったらもっと売れたのでは」といった声も見られる。
インテグラ Type Sの問題は「遅い」「つまらない」といったものではない。むしろ逆で、クルマはかなり評価されているのに、価格と駆動方式が購入のハードルになっているという構図が見えてくる。
「前輪駆動だからこそ面白い」という反論も
もちろん、FFであることを欠点と考えないオーナーも多い。実際の所有者からは、「自分はサーキットでレースをするわけではないので、FFであることは気にならない」という声もある。
特に高く評価されているのが、ワインディングなどでのハンドリングだ。高速道路を長時間走っていると、もっと乗り心地がよく、パワーのあるBMW M240iのようなクルマが欲しくなる。しかし、高速道路を降りてコーナーやカーブを積極的に走り始めると、「このクルマを買った理由を思い出す」と話すオーナーもいた。
興味深いのがコンフォートモードの評価だろう。スポーツ性能を強く押し出したクルマながら、コンフォートモードでは落ち着いて走ることができ、16スピーカーのELSオーディオを楽しみながら長距離を移動できるという。そしてスイッチを操作すれば、すぐにスポーツカーのようなキャラクターへ変わる。
「速いだけ」ではなく、普段使いからワインディングまで1台でこなせる。この幅広さこそ、インテグラ Type Sを支持するオーナーが評価しているポイントに思える。
先代「RSX Type S」と比べると、かなり大人になった
現在のインテグラ Type Sは、かつて北米で販売されていたRSX Type Sと比べても大きく変化している。
旧型RSX Type Sは2ドアの2+2ハッチバックだったのに対し、現在のインテグラ Type Sは4ドア、4人乗りのハッチバック。
全長は186.0インチ、約4.72m、全幅は74.8インチ、約1.90m。先代RSX Type Sより全長が13.6インチ、約34.5cm長く、全幅も6.9インチ、約17.5cm広くなっている。
一方、後席のレッグルームは大幅に拡大しており、現在のインテグラ Type Sは「後席をたまに使うスポーツコンパクト」ではなく、大人4人で日常的に使える高性能車へと進化した。
ハッチバックならではの大きな開口部もあり、スポーツカーとしては実用性が高い。
なお、2026年型インテグラ Type Sそのものは、大幅なモデルチェンジを受けたわけではない。2026年型でType Sに加わった主な変更は、新色のソーラーシルバーメタリック、アーバングレーパール、ダブルアペックスブルーパールなど。インテリアではダッシュボードのトリムパターンが変更され、タッチスクリーン用プロセッサーも高速化されている。
日本へ導入されるのは、現在の北米市場で販売されている高性能インテグラの最新モデルということになる。
日本で気になるのは「価格」と「左ハンドル」
日本のユーザーが気になるのは、やはり価格だろう。Hondaは現時点で日本仕様の価格を発表していない。
米国での2026年型Type Sは、メーカー希望小売価格が5万3900ドル。一方、海外メディアの評価記事では5万5195ドルという価格が掲載されている。日本での販売価格は、為替レートだけでなく、輸送費、税金、販売条件などによっても変わるため、現時点で単純にドル価格を円換算することはできない。
そしてもうひとつ、気になるのがステアリング位置だ。Hondaの日本導入発表では、ハンドル位置について明言されていない。一方、海外で販売されているインテグラ Type Sは左ハンドル仕様だ。
今回の日本導入は、米国生産車を新たな認定制度を活用して導入するもの。Hondaが公開している参考スペックも「米国仕様」とされている。さらに、海外ではHonda幹部が日本導入時も左ハンドルのままの形に前向きな姿勢を示したと報じられており、現時点では左ハンドルのまま日本へ導入される可能性が高いとみられている。
ただし、Hondaが公式発表でステアリング位置を明記しているわけではないため、ここは正式仕様の発表を待ちたいところだ。
2026年型アキュラ・インテグラ Type Sの主なスペック
| 項目 | 2026年型 インテグラ Type S |
|---|---|
| 全長 | 約4725mm |
| 全幅 | 約1900mm |
| 全高 | 約1407mm |
| 乗車定員 | 4名 |
| 車両重量 | 約1460kg |
| エンジン | 2.0L 直列4気筒ターボ |
| 最高出力 | 320hp(約324PS) |
| 最大トルク | 310lb-ft(約420Nm) |
| トランスミッション | 6速MT |
| 駆動方式 | FF |
| 最低地上高 | 約102mm |
| 米国価格 | 5万3900ドル~ |
※数値はHondaが日本導入発表時に公開した米国仕様の参考スペック。日本仕様の価格・装備などは今後発表予定。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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