
1961年の誕生以来、日本のインフラを支え続けてきた軽トラの代名詞、スズキの「キャリイ」。そのDNAを継承しつつ、驚異のリクライニング角度40度を実現した「スーパーキャリイ」が、さらなる進化を遂げた。2025年末のデザイン刷新、そして2026年からは「HARD CARGO」との提携により、現場のプロのみならず遊びのプロをも唸らせる「ギア」へと変貌している。唯一無二のパッケージングがもたらす、自由自在なライフスタイルの可能性を解き明かす。
●文:月刊自家用車編集部(まるも亜希子) ●写真:澤田和久
【まとめ】30秒で分かる!「スーパーキャリイ」の魅力
はたらく軽自動車のスーパーキャリイは、キャリイに対してキャビンにゆとりを持たせ、便利で快適な機能を充実させて2018年に登場。荷台の積載性もキャリイ同等のフロア長を確保するなど、しっかり維持している。幾度かの一部改良を経て、2025年末にはフロントのデザインを刷新。収納や安全装備もさらに充実させている。
今回試乗したのは2023年に新設定された特別仕様車「スーパーキャリイ Xリミテッド」の最新モデル。素朴だが軽快で、リラックスした乗り味が好印象だった。4WD/5MTモデルにはデフロック機構もあり、オフロードでも頼もしい。2026年1月には軽トラックカスタムパーツで人気のHARD CARGO製品がラインアップし、アウトドアレジャーやスポーツの相棒としてもますます魅力アップしている。
一般的な軽トラに比べてキャビンが大きいのがスーパーキャリイの特徴だ。
日本の現場を支え続けて60余年。進化した次世代の働くクルマ
スズキNo.1のロングセラーモデルとなる「キャリイ」は、1961年に誕生したスズライトキャリイFBを初代として、日本の第一次産業を支えてきた軽四輪トラックだ。
そのキャリイに対してキャビンを後方へ460mm拡大し、ゆとりのある空間を確保した「スーパーキャリイ」は、2018年に登場。キャビンの広さだけでなく、運転席はクラストップの最大角度40度となるシートリクライニング機構の採用やシートスライド量を180mmにアップ。全車をハイルーフ仕様とすることで頭上に荷物を収納できるオーバーヘッドシェルフを装備するなど、キャビンの使い勝手と快適性を大きく高めているのが特徴だ。助手席のシートリクライニング角度は24度、シートスライド量は100mmで同乗者の居住性も高く、シート後方には荷物を置くスペースを確保している。
ステアリングを上から抱え込むような独特のドラポジ。視認性は非常に高い。
もちろん、荷台の積載性も犠牲にはしておらず、キャビン下の部分をえぐるように空間を設けることで、キャリイ同等の荷台フロア長1975mmを実現。荷台幅は後方が1410mm、キャビン下でも1315mmある。また荷台フロア地上高は650mmと、軽トラックNo.1の低さで作業効率も配慮されている。
登場した際に軽トラック初となる前後の誤発進抑制機能を装備したことでも注目を集めた。その後ブレーキ制御機能を追加したり、スズキセーフティサポートを全車標準装備とするなど、安全性能の充実度でも定評のあるスーパーキャリイ。
2025年12月の一部仕様変更では、全車でフロントデザインが刷新されたりキャビン内の機能性が向上したほか、衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポートⅡ」の採用や、フロント・リヤへのパーキングセンサーとLEDヘッドランプの全車標準装備で一段と充実した印象だ。
頼りになる「相棒」。タフな足回りと遊びゴコロを感じさせる内外装で愛着もひとしお
今回試乗したのは、2023年末に新設定されて以来、商用だけでなくアウトドアレジャーの相棒としても人気上昇している特別仕様車「スーパーキャリイ Xリミテッド」。外観からして、バラ文字で「SUZUKI」とロゴが入った専用のフロントガーニッシュや、大型化した専用カラードバンパー、ドアハンドルやフォグランプベゼルまでブラック加飾で統一されて、ブラックメタリック塗装の専用スチールホイールが足元を引き締めている。全体的にハードなギア感が増し、ガンガン遊び倒すシーンに似合うカッコ良さがある。
運転席に座ると、前方がストンと短い視界と上からハンドルを抱えるような姿勢が軽トラック独特。でもデジタルメーターのグラフィックはきれいで見やすく、ハンドル横に備わって手が届きやすいカップホルダーや、キーなどちょっとした小物が置けるトレイなども使いやすい。助手席の背もたれを倒すとテーブルになるので、景色のいいところで休憩してお弁当を食べるのも楽しそう。タブレットを立てかける溝も設けられているのでリラックスタイムにも便利そうだ。
スタートボタンを押すと、ブルルンと元気な音がした。スズキ軽の660ccエンジンで最高出力50ps/最大トルク59Nmとなっているが、1人乗りで空荷ということもあって発進からとても軽快。一般道をキビキビと走っていく。アクセルを踏み込むたびに、室内にもエンジン音が聞こえてくるのが今では逆に新鮮だ。路面の状態がダイレクトに伝わるステアリングの適度なゆるさも相まって、鼻歌まじりにのんびりと走りたい気分にさせてくれる。
途中であえて凸凹の大きな荒れた道に入ってみたが、アプローチアングルが19.9度、バンパー地上高が273mmとしっかり確保されているおかげで、なんの心配もなくスイスイと超えていけた。急坂に差し掛かると一拍おいてからウイーンとエンジンが唸りながら加速していくのも、いつしか愛着がわく要素となっている。
ちなみにスーパーキャリイの4WD/5MT車には本格的なデフロック機構も備わっている。もし、ぬかるみにはまって後輪の片方が空回りしても、スイッチをONにするだけでもう片方のタイヤに駆動力が伝わり、脱出しやすいようにアシストしてくれる。さらに空転したタイヤにブレーキをかける「ぬかるみ脱出アシスト」もついているので、オフロードへ出かける時も頼もしいはずだ。
スーパーキャリイには、そうしたアウトドアスポーツやレジャーを楽しむためのアクセサリーも豊富に揃っている。2026年1月には、軽トラックカスタムパーツとして人気の「HARD CARGO」製品を、スズキ推奨用品として発売したばかり。ゴツめのルーフレールやマッドフラップといった、機能性向上だけでなく見た目にもカッコいい製品となっており、長年日本の働く現場で磨かれてきた基本性能と合わせて、スーパーキャリイの可能性はますます広がっていくはずだ。
ラフロードが似合いすぎるスーパーキャリイ。仕事の相棒としてはもちろん、ホビーの相棒としても好適な一台だ。
●スーパーキャリイ Xリミテッド(パートタイム4WD・4AT)
●車両価格:180万700円
●全長3395×全幅1475×全高1885mm
●車両重量:850kg
●エンジン:水冷直列3気筒0.658L
●最高出力、最大トルク:50PS/59Nm
●WLTC燃料消費率:15.4Km/L
●サスペンション:前マクファーソンストラット/後リーフスプリング
●タイヤ:145/80R12
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