
ポルシェジャパン株式会社は911 GT3から受け継いだ高回転の自然吸気エンジンを搭載する初めてのオープントップミッドエンジンスポーツカー、新型718スパイダーRSの予約受注を全国のポルシェ正規販売店にて開始した。
●文:月刊自家用車編集部
高回転エンジンがオープントップに初採用
718スパイダーRSは、718ケイマンGT4 RSと一対をなすオープントップモデルで、911 GT3に搭載されている最高出力368kW(500PS)の自然吸気6気筒ボクサーエンジンがオープントップのミッドエンジンスポーツカーに採用されるのは、今回が初めて。これと同じ高回転設計の軽量パワーユニットは、レーシングカー、ポルシェ911 GT3カップにも搭載されている。
718スパイダーRSの超軽量ソフトトップルーフは、純粋性を愛するファンのために手動式が採用され、極めて刺激的なエンジンサウンドが一段と魅力的になっている。この効果は、標準装備の軽量ステンレススチール製スポーツエキゾーストシステムと、ヘッドレスト背後の両サイドに設けられた特徴的なプロセスエアインレットによって、一層高められる。
高回転の自然吸気エンジンと徹底的な軽量構造
718スパイダーRSはパワートレインを718ケイマンGT4 RSクーペと共有している。総排気量4.0リッターの6気筒ボクサーエンジンは、最高回転数9,000rpm、最高出力368kW(500PS)、最大トルク450N・mを発生。この6気筒エンジンにクロスレシオの7速PDKトランスミッションを組み合わせることで、2シーターロードスターは静止状態から100km/hまで3.4秒で加速し、わずか10.9秒で200km/hに到達する。「RS」の付かない718スパイダーと比較すると、この新しいフラッグシップは最高出力が59kW(80PS)増加し、0-100km/h加速は0.5秒速くなっており、最高速度も300km/hから308km/hにアップしている。
ギアボックスは、7つのギアを電光石火の速さでシフトし、最高のパフォーマンスを発揮。パドルシフトも備わっており、手動でシフトチェンジする場合もステアリングホイールから手を離さずに操作が可能だ。人間工学に基づいて設計されたセンターコンソールのセレクターレバーを使用することもできる。
また、エンジンのパワーアップに加え、軽量化もパフォーマンスの向上に貢献している。718スパイダーRSの車両重量は1,410kgで、PDK搭載の718スパイダーより40kg軽く、クローズドモデルの718ケイマンGT4 RSと比較しても5kg軽い。
バランスの取れたエアロダイナミクス
ポルシェ718スパイダーRSのフロントエンドは、718ケイマンGT4 RSとほぼ同じだ。標準装備のフロントボンネットはCFRP製で、バンパーの上にはワイドなエアアウトレットが備わっている。2本のNACAダクトは、Cd値を悪化させることなく、ブレーキの冷却効果を高める。バンパー外端のサイドブレードがダウンフォースを増大。フロントスポイラーリップは、718ケイマンGT4 RSよりもわずかに短くなっている。
また、リアウィングの代わりに、ダックテイルのような形の印象的なティアオフエッジが備わっている。すべてのエアロダイナミクスコンポーネントが複雑に連動しており、エアロダイナミクスバランスを維持しながら高速走行時の安定性を最大限に高めている。
純粋なデザインのソフトトップ
新型718スパイダーRSには、手動操作式のシングルレイヤー軽量ソフトトップが装備されている。デザインは驚くほどコンパクトで、サンセイルとウェザーディフレクターという2つの部分で構成される。どちらも完全に取り外し可能で、どちらも、または片方だけを車内に収納することができる。
サンセイルは、ドライバーと助手席乗員を強い日差しから守るために、単独で「ビミニトップ」として使用することも可能。この場合、パッセンジャーコンパートメントは側面と背後が大きく開いた状態となる。これにウェザーディフレクターを組み合わせると、サイドウインドウを開けた場合に雨を効果的に防ぐことができるコンプリートトップとなる。
機械部品を含むルーフ全体の重量はわずか18.3kgで、718スパイダーよりも7.6kg軽く、718ボクスターと比較すると16.5kg軽くなっている。天候が許せば、トップを完全に取り外すことで、さらに8kgの軽量化が可能となる。
最高の精度と俊敏性を誇るスポーツサスペンション
718スパイダーRSのシャシーは、718ケイマンGT4 RSと718スパイダーのコンポーネントを採用することで、ワインディングロードで最高のドライビングプレジャーが得られるように設計されている。スポーツチューニングを施したポルシェ アクティブ サスペンション マネージメントシステム(PASM)を標準装備し、車高は30mm低くなっている。また、機械式リミテッド スリップ ディファレンシャル(LSD)を備えたポルシェ トルク ベクトリング(PTV)、ボールジョイント式サスペンションベアリング、20インチ鍛造アルミホイールを装備。
シャシーの鋭い挙動は、非常に高いステアリング精度と、俊敏できわめてニュートラルなハンドリングによるものだ。車高、キャンバー、トレッド、スタビライザーは、すべて個別に調整可能。718ケイマンGT4 RSと比較すると、スプリングレートとダンパーレートを低くしたことで、リラックスできる、特徴的なコンバーチブルスタイルのセットアップとなっている。
パフォーマンス重視のインテリア
車内もスポーティなキャラクターを特徴とし、インテリアは機能的にも人間工学的にも不可欠なものだけに切り詰められている。グリップの効いたRSスポーツステアリングホイールには、12時位置にはイエローのマークが。標準装備のフルバケットシートは、カーボンの編み目模様の軽量CFRP製で、特に優れたサイドサポートを発揮。
シートカバーはブラックレザー製で、パーフォレーション加工を施したRace-Texシートセンターは、ブラックを背景としたコントラストカラー(アークティックグレーまたはカーマインレッド)となる。ヘッドレストには、コントラストカラーで「Spyder RS」ロゴが刺繍されている。ダッシュボードとトリムはレザー仕上げ。
ボディカラーは、新しいバナジウムグレーメタリックをはじめ、スペシャルカラーのアークティックグレー、シャークブルー、ルビースターネオなど、4色のソリッドカラーと3色のメタリックカラーが用意されている。
オプションのヴァイザッハパッケージ
718スパイダーRSには、オプションでヴァイザッハパッケージも用意されている。並外れて軽量なオプションの鍛造マグネシウムホイールは、パフォーマンス重視の装備パッケージと組み合わせて注文することが可能。
パッケージに含まれるチタン製のスポーツエキゾーストシステムは2018年に限定モデルとして公開された935のテールパイプのデザインからインスピレーションを得たものだ。ダッシュボード上部は、防眩仕様のRace-Texで仕上げられ、車内の視覚的なハイライトとなっている。
718スパイダーRSモデルのポルシェデザイン製クロノグラフ
ポルシェ718スパイダーRSのオーナーのみが購入できるポルシェデザイン製クロノグラフも用意されている。これは、スイスのゾロトゥルンにあるポルシェ時計工房で製造された高品質時計で、車のデザインや技術的ディテールとも連動しており、ケースはチタン製、文字盤はカーボン製、ストラップはインテリアと同素材のレザーでできている。裏蓋は、718スパイダーRSのホイールリムのデザインとなる。
GTカー部門責任者アンドレアス・プロイニンガーのコメント
「718スパイダーRSは、オープントップでのドライビングプレジャーを新たな次元に引き上げます。まぎれもないポルシェのGT3エンジン、クロスレシオのトランスミッション、コンパクトなサイズ、軽い重量、ワインディング向けに最適化されたレーシングサスペンション、最大の開放感。こうした組み合わせにより、非常に魅力的で純粋なドライビング体験が得られます」
新型718 スパイダーRS価格
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