
TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、世界中のレーシングチームやドライバーからのフィードバックを活用し、パフォーマンス、信頼性、操作性を向上させた2025年シーズン向け「GR Supra GT4 EVO2モデル」を8月22日から発売を開始した。欧州販売予定価格は202,000ユーロとなっている。
●文:月刊自家用車編集部 ●写真:トヨタ自動車株式会社
2025年1月のデイトナ24時間レース併催のIMSAミシュラン・パイロット・チャレンジの第1戦で世界デビュー
GR Supra GT4 EVO2(ブラックカラー施工車・プロトタイプ)
2020年のデビュー以来、多くのレーシングチームやドライバーに支えられてきたトヨタの「GR Supra GT4」が、累計販売台数120台を達成した。
GR Supra GT4 EVO2(ブラックカラー施工車・プロトタイプ)
これまでに11の国や地域でGT4シリーズ戦及び国際レースでの勝利を収め、500回以上の表彰台に立つなど、数々の成果を上げている。アジア、アメリカ、ヨーロッパの3つの地域でクラス別シリーズチャンピオンに輝くなど、その活躍は目を見張るものがある。
GR Supra GT4 EVO2(プロトタイプ)
2023年には「GR Supra GT4 EVO」へとアップデートされ、ブレーキ、ハンドリング、エンジンのパフォーマンスが大幅に向上した。
GR Supra GT4 EVO2(プロトタイプ)
これにより、さまざまな経験レベルのドライバーがより扱いやすく、レースにおいても安定したパフォーマンスを発揮することが可能となったという。そして開発チームは、2025年シリーズに向けてレース現場でのフィードバックをもとに、さらに一歩進んだ「GR Supra GT4 EVO2」を開発した。
GR Supra GT4 EVO2(ブラックカラー施工車・プロトタイプ)
2025年シーズンに向けとなる「GR Supra GT4 EVO2」では、タイヤの種類やコースコンディションに応じた最適なブレーキングとコーナリングが実現されるよう、ABSのマップが細かく再チューニングされている。
さらに、ソフトウェアのアップデートにより回転数制御の見直しが行われ、シフトダウン時間が短縮された。これにより、ブレーキング時の減速コントロール性が向上し、コーナリングスピードの向上にもつながっている。
また、エンジン、ブレーキ、ドライブトレインの冷却性能が向上し、コックピット内の温度管理も最適化されているため、過酷なレース条件下でも高いパフォーマンスを維持できるようになっている。
GR Supra GT4 EVO2(プロトタイプ)
「GR Supra GT4 EVO2」の世界デビューは、2025年1月のデイトナ24時間レース併催のIMSAミシュラン・パイロット・チャレンジの第1戦が予定されている。新たな進化を遂げたこのマシンが、どのような活躍を見せるのか、期待が高まる。
■GR Supra GT4 EVO2 車両諸元
●車両全般
・全長:4,460mm
・全幅:1,855mm
・ボディ構造:高剛性ロールケージ付スチール及びアルミボディ(FIA規則に準拠)
・フロントスポイラー:天然繊維コンポジット
・リヤウイング:天然繊維コンポジット
・燃料タンク:120L FT3安全タンク(ATL製)
・ドライバーシート:レーシングバケットシート(OMP製)、・6点式シートベルト(FIA 8862-2009)
●エンジン&トランスミッション
・タイプ:直列6気筒ターボチャージャー
・排気量:2,998cc
・最高出力:SROのBOPによる(SRO BOPの調整にはUSBパワースティックを使用)
・最大トルク:660Nm(SROのBOP(性能調整)による)
・エンジンECU:マニエッティ・マレリ製レーシングECU
・排気システム:アクラポヴィッチ製レース用排気システム+メタル触媒
・潤滑油:ラベノール製オイル
・トランスミッション:オートマチック トランスミッション/パドルシフト付(ZF製)
・ディファレンシャル:レース用機械式リミテッドスリップ・デフ(DREXLER製)
・ドライブシャフト: レース用ドライブシャフト(GKN製)
●サスペンション、ステアリング、ブレーキ
・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:マルチリンク
・アブソーバー:レース用調整式(KW製)
・ステアリング:電動式ラックアンドピニオン
・ブレーキ(フロント):6ピストンレーシングキャリパー(Brembo)、Φ390スチールディスク
・ブレーキ(リヤ):4ピストンレーシングキャリパー(Brembo)、Φ355スチールディスク
・フロント/リヤ タイヤ:305/660-18/305/660-18(Pirelli)
・ホイール 11×18インチ:(OZ製)
●電子制御
・トラクションコントロール :標準装備
・アンチロックブレーキシステム:標準装備
・マルチディスプレイ:標準装備
・データロガー:標準装備
・リヤビュー:カメラ オプション
・タイヤ空気圧センサー:オプション
・サスペンションセンサー:オプション
●装備品
・消火器:標準装備
・エアジャッキ:標準装備
・ドリンクシステム :オプション
・認定耐久パッケージ:オプション
●欧州販売予定価格
202,000ユーロ( 為替レートや輸送費のほか、様々な状況を鑑みて総合的に判断をしているため、地域ごとに価格が異なる)
■各地域のGR Supra GT4 EVO2車両販売およびカスタマーサポート担当会社
・欧州:TOYOTA GAZOO Racing Europe GmbH
・北米:TRD U.S.A., Inc.
・日本/アジア:株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメント
・中国:Toyota Motor (China) Investment Co., Ltd.
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(トヨタ)
マット調のブラックカラーとブラック加飾で、特別感を演出 「THE LIMITED-MATTE METAL」は、2.5Lプラグインハイブリッドシステムを搭載するエステートRSをベースに、ブラックカラーと[…]
トヨタの水素技術とインフラの継続的な開発を担う、重要なキーモデル トヨタは「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」とカーボンニュートラル社会の実現を目指し、これまで日本のスーパー耐久シリ[…]
グレード体系を再編。従来モデルに設定があったSグレードが廃止 今回実施される一部改良では、トヨタセーフティセンスの機能強化や、ステアリングヒーター、シートヒーター(運転席・助手席)を全グレードで標準化[…]
統合によるスケールメリットで、次世代商用車の開発が加速 今回発表された合意内容は、三菱ふそうトラック・バス株式会社(以下、三菱ふそう)と日野自動車株式会社(以下、日野)は、対等な立場で統合し、商用車の[…]
カーボンニュートラルの実験場としてのスーパー耐久 スーパー耐久シリーズでは、メーカーの技術開発車両による参戦のためにST-Qクラスが設けられている。これまでもGRスープラや日産フェアレディZ(RZ34[…]
最新の関連記事(クーペ)
1989年「レクサス」誕生。最初は「LS」と「ES」の2本立て レクサスの最初の商品は、日本では初代セルシオとして販売されたLSと、カムリのV6エンジン車、プロミネントがベースのES。LSの完成度と比[…]
クーペこそ若者クルマの象徴だった 「クーペ」と聞いて胸をときめかせるのは、年配の人ばかりかもしれません。今の子供たちにクルマの絵を描かせると、四角いハコに車輪のついたミニバンばかりになるといいます。で[…]
次世代e:HEVを採用した、最新ハイブリッドスポーツ 1978年にミドルサイズのクーペとして誕生した「プレリュード」は、2001年の五代目の販売終了によって長らくラインナップから消滅していたが、202[…]
日本車が手本とした、美を優先する伊デザイン。その代表が117クーペ 日本において、商品のデザインが売れ行きを大きく左右することに最初に気づいたのは、松下電器器具製作所(後の松下電器産業、現パナソニック[…]
911Tシリーズとしてカブリオレも初採用 ポルシェ911カレラTは、ターボ+6速マニュアルトランスミッションのみという特別なモデル。モデル名のTはツーリングを意味しており、現在はカレラとカレラSの間に[…]
人気記事ランキング(全体)
ドリンクホルダーを拡張できる便利アイテムを発見 筆者はいつもコーヒーや炭酸飲料などが好きで、ほぼ毎日のように飲んでいる。ドライブ中にも眠気覚まし的によく愛飲している。車にはドリンクホルダーがいくつか設[…]
ワゴンのように使えるキャンピングカー Camper-Rの最大の特長は、キャンピングカーでありながらワゴン車のような自然な使い勝手を持つ点にある。乗車定員は5名で、セカンドシートには柔らかなボディホール[…]
救急車ベースという新発想──バンコンの常識を超える室内高 「ヤアズ」のベース車両は、日産NV350キャラバンのスーパーハイルーフ・スーパーロング・ワイドボディ仕様。もともとは救急車として使用される特別[…]
ベース車はホンダ N-VAN e: ! 大空間が魅力のEV軽キャンパーだ 今回紹介する軽キャンピングカーは岡モータース(香川県高松市)のオリジナルモデル、ミニチュアシマウザーCP。ジャパン[…]
ホイールに付いた黒い頑固な汚れの原因はブレーキダスト 新車で購入した際はピカピカだった自慢のホイール。しかし、時を経てよく見てみると、黒い汚れが固着しているのに気づく。洗車しても全然落ちないほど頑固な[…]
最新の投稿記事(全体)
マット調のブラックカラーとブラック加飾で、特別感を演出 「THE LIMITED-MATTE METAL」は、2.5Lプラグインハイブリッドシステムを搭載するエステートRSをベースに、ブラックカラーと[…]
救急車ベースという新発想──バンコンの常識を超える室内高 「ヤアズ」のベース車両は、日産NV350キャラバンのスーパーハイルーフ・スーパーロング・ワイドボディ仕様。もともとは救急車として使用される特別[…]
初期のCVTは、駆動プーリーのみで変速比幅は狭かった ベルトやチェーンで動力を伝達する方法は古くから行われていた。この方式で変速までも行おうと考案されたのがCVTだ。 オランダのDAF社は1959年、[…]
ドリンクホルダーを拡張できる便利アイテムを発見 筆者はいつもコーヒーや炭酸飲料などが好きで、ほぼ毎日のように飲んでいる。ドライブ中にも眠気覚まし的によく愛飲している。車にはドリンクホルダーがいくつか設[…]
トヨタの水素技術とインフラの継続的な開発を担う、重要なキーモデル トヨタは「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」とカーボンニュートラル社会の実現を目指し、これまで日本のスーパー耐久シリ[…]
- 1
- 2