
新たに開始される「特別認定制度」を活用することで、北米生まれのフルサイズピックアップトラック「タンドラ」が日本市場へ正式に導入された。専門ショップが独自に輸入する「並行輸入車」として、人気のあるモデルだが、メーカーの正規ルートを通じて国内で販売されることで、どのような変化が生まれるのだろうか?
●文:月刊自家用車編集部 ●写真:澤田和久
彼の地で人気の上級グレードを正規輸入
今回、日本国内に導入されるタンドラのグレードは「1794エディション」。ウェスタン調の豪華なキャビンが与えられている上級グレードになる。グレード名は、タンドラを製造するテキサス工場の敷地が、1794年に創設された歴史ある牧場であったことに由来しているためだという。北米では土地の歴史へのリスペクトが込められた特別なモデルとして認知されており、日本では「高級SUV」に近い立ち位置で展開されることになる。
そんな日本向けのタンドラを見た時に、多くのユーザーが驚くのが、圧倒的なボディサイズの大きさだろう。アメリカの広大な大地を走ることを前提に設計された車体は、全長5930mm、全幅2030mm、全高1980mm。
アメリカでもフルサイズと呼ばれるクラスであり、これまで日本に輸入されたアメリカ車の中でも最大級の大きさを誇る。最小回転半径は非公表だが、ホイールベースも3700mmと長めなので、小回り性能はさすがに厳しいだろう。
ボディタイプは、4枚ドアに後席にも十分な居住空間を確保した「クルーキャブ」仕様で、後席まわりの快適性も強化した仕様となる。広大な車内空間には5名の乗車が可能だ 。また、最大積載量400kgを誇る荷台(デッキ)を備えており、レジャーから実用まで幅広いニーズに応えるスペックを有している。
全長は5930mmと、6m級のビッグサイズ。撮影車のボディカラーはプラチナホワイトパールマイカ。
ボディタイプは、後席スペースを拡大することで乗員快適性を高めたクルーキャブ仕様となる。
荷台(ベット)の床面は、汚れ物の積載に気を使わない防汚仕様。最大積載量は400kg。
3.4LのV6ツインターボは、394PSを発揮するハイパワーユニット
この巨大な車体を支えるパワートレーンは、3.4LのV6ツインターボエンジンに10速オートマチックトランスミッションの組み合わせ。最高出力290kW(394PS)、最大トルク649Nm(66.1kgf・m)を発生させ、パートタイム4WDシステムを介して路面にパワーを伝える。燃料タンク容量は122Lと、長距離走行を見据えた大容量設計。
3.4LのV6ツインターボエンジンは、290kW(394PS)/649Nm(66.1kg-m)を発揮。
ラダーフレーム車ながら、乗用車ライクな足回りを採用
悪路走行を前提としているモデルゆえに、シャシーはラダーフレームを採用。ただし、足回りはフロントにダブルウィッシュボーン式独立懸架、リヤにはコイルスプリング式マルチリンクを採用することで、比類なき走破性とオンロードでの快適性のバランスを取っている。
トラックベースの頑強なラダーモデルであっても、動くアシを取り入れたことで「オフロード専用」になっていないことは、タンドラの大きな武器といえるだろう。
ナビは北米仕様で国内では作動せず。エンタメ環境も、英語表示が基本
内装加飾や装備関連は、現地仕様がそのまま導入されることも特徴のひとつ。そのため、ダッシュ中央に配置されるディスプレイオーディオに組み合わされるナビゲーションシステムも北米仕様のままで、日本の道路には対応していない。さらにDCM(データ通信モジュール)も北米仕様のため国内では作動不可。ディスプレイに表示される言語も英語だ。
キャビンは1794エディション専用のサドルタンの内装色で統一。ダッシュボード中央には14インチの大型HDディスプレイが配置され、JBLプレミアムサウンドシステムも完備。贅沢なアメリカンラグジュアリーの世界も楽しめる。
日本では、スマートフォンの連携(有線接続)を前提に、ナビはApple CarPlayやAndroid Autoのアプリナビ、音楽&映像はスマートフォン内のコンテンツを活用して、ということになる。使い慣れたスマートフォンの地図アプリを大画面で操作できることはメリットともいえるが、これも「特別認定制度」がもたらすギャップ感のひとつだ。
14インチディスプレイを備えたディスプレイオーディオを装着するが、基本機能は米国仕様のため、日本ではかなりの機能が制限される。ただ、スマートフォンと有線で接続すれば、Apple CarPlayやAndroid Autoを通じて、スマホアプリを操作&活用することは可能だ。
全国展開は夏以降を予定。販売体制のさらなる強化に期待
1794エディションの価格は1200万円。上級グレードということもあって、国内のトヨタ車としては最高ランクのプライス。販売もいきなり全国展開するのではなく、4月2日から東京都内を中心としたエリアからスタートし、夏以降に全国へと拡大していくスケジュールという。
なお、月あたりの月販基準台数は80台に設定(全国展開時)。タンドラが持つ潜在的な人気からすると少し弱気な設定にも感じるが、巨大なタンドラを受け入れるためには、店舗側のピット設備やリフトのサイズ、さらにはメカニックの新たな知識習得が不可欠。反響次第で今後の展開を考えていくということなのだろう。
日本の狭い路地でこの巨体を操り、英語表記のシステムを使いこなすには、ユーザーにも相応の覚悟が必要。ただ、人気の本格ピックアップトラックがもたらす高揚感は唯一無二であり、このクルマを選ぶということは、オーナーにのみ許された楽しみであるのは間違いない。それほどに、超ド級の全長6m級のビッグボディは、とにかく見る者の目を強烈に引き付ける。
大型ピックアップトラックという、日本市場ではニッチなカテゴリーが、正規販売という光を浴びてどのように育っていくのか。タンドラの歩みは、すでに発表されている海外モデル導入の試金石になりそうだ。
販売店の話では、すでに成約したユーザーもいるそうで、その多くは実車を見ずに注文を決める熱狂的なファンだったとのこと。現時点では争奪戦とまではいかないそうだが、いま注文しても納期は半年は見て欲しいとのこと。
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