
トヨタの人気SUV「RAV4」が第6世代に進化を遂げた。伝統のアドベンチャー精神の魅力はそのままに、TNGAの熟成と最新の電動化技術、知能化装備でパワーアップした新型は、どのようなモデルに仕上がっているのだろうか?
●文:まるも亜希子 ●写真:澤田和久
「静粛性」と「剛性」の劇的進化を実感
「ライフ・イズ・アン・アドベンチャー」という開発コンセプトを掲げ、6代目へとフルモデルチェンジを果たした新型RAV4。5代目で確立した、タフでアクティブなSUVというイメージを継承しながらも、中身はこの時代に即したドラスティックな進化を遂げている。
その進化の柱は「電動化」「多様化」「知能化」の3点だ。
「多様化」は3つのタイプとスタイリングが選べるキャラクターで、「知能化」は次世代基盤プラットフォームのArene(アリーン)を軸に開発された安全運転支援や機能装備が相当、そして「電動化」は刷新されたパワートレーンがもたらす走りの進化ぶりが見どころとなるが、今回、あいにくの雨模様の中でステアリングを握ったのは、HEV(ハイブリッド)モデルの「Z」と「アドベンチャー」だ。
ハイブリッドモデルは、レジャーテイストを強化したアドベンチャー(右)と、充実装備のZ(左)の2つのグレードを展開。
まずは、Zで一般道から首都高速道路というルートで走ってみる。そこで真っ先に感じたのは、静粛性の圧倒的な向上ぶりだ。
雨音やロードノイズが巧みに遮断されたキャビン空間は、ワンランク上の車格のクルマに触れているような錯覚を覚えるほど。さらに視界も驚くほど広く、加えて水平基調を意識したインパネデザインや拡大されたクォーターウインドウの効果で、車両感覚が極めて掴みやすい。
先代よりボディサイズを意識させない取り回しの良さもあって、市街地の狭い交差点や複雑な首都高の合流地点でも大きな安心感を感じることができる。
また、ボディまわりの進化も著しい。サスペンション取付部の剛性強化や高減衰接着剤の広範囲な採用により、ボディ剛性は約9.7%向上したという。そして数値以上の恩恵を感じるのが乗り心地の質だ。オプションの20インチサイズのタイヤを履きながらも、突き上げ感は角が取れて丸く、足回りが路面のうねりに追従してしなやかに動く。
緻密な駆動力制御が組み合わされることで、優れた走行安定性を実現。試乗したZにはOPの20インチタイヤを履いていたが、乗り心地も良好で、大径サイズを意識させないことも魅力。
システム最高出力177kW(240ps)を発揮する新世代の2.5ℓハイブリッドシステムを採用。
主要諸元(Z・HEV)
●全長×全幅×全高:4600×1855×1680mm ●ホイールベース:2690mm ●車両重量:1720kg ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:2487cc直列4気筒DOHC(186ps/22.5kg-m)+前後モーター(フロント:100kW/208Nm、リヤ:40kW/121Nm) ●トランスミッション:電気式無段変速 ●駆動方式:4WD(E-Four) ●WLTCモード総合燃費:22.5km/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストレット式(F)/ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:235/60R18 ●価格:490万円
操作系統や視認性については、オーソドックスな設計がなされており、長年培われてきた運転操作のノウハウと最新の情報機器との融合を図ったグラスコックピットとして仕上げられている。
より緻密な駆動制御を手に入れたことで、コントロール性能も向上
低速域から中速域にかけての加速感も極めてスムーズ。アクセル開度に対するトルクの出方がリニアになったことで、速度維持のコントロールが格段に楽になった。新開発のオンデマンド加圧タイプ電子制御ブレーキシステムの恩恵も大きく、車体が地面に吸い付くような一体感のある姿勢を容易に作り出す。タイトなカーブが続く首都高でも、修正舵を当てる回数が減るので、意図した通りのラインをトレースしやすい。
続いてアドベンチャーに乗り換えると、こちらは18インチタイヤの恩恵もあり、軽快なフットワークが際立つ印象が強くなる。こちらの方がラフロードや雪道でも神経質にならずにおおらかなドライビングが楽しめそうだ。センターコンソールに鎮座するドライブモード切替スイッチを「スポーツ」に入れれば、エンジンのレスポンスは鋭さを増すので、峠道でもキビキビとした走りを見せてくれるはずだ。
アドベンチャーのサスチューンはZと共通だが、タイヤサイズの違い(アドベンチャーは18インチ)もあって、軽快さが際立つ印象。街乗りではこちらが好みというユーザーもいるはずだ。
主要諸元(アドベンチャー)
●全長×全幅×全高:4620×1880×1680mm ●ホイールベース:2690mm ●車両重量:1710kg ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:2487cc直列4気筒DOHC(186ps/22.5kg-m)+前後モーター(フロント:100kW/208Nm、リヤ:40kW/121Nm) ●トランスミッション:電気式無段変速 ●駆動方式:4WD ●WLTCモード総合燃費:22.9km/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストレット式(F)/ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:235/60R18 ●価格:450万円
今回の試乗では、新型RAV4は先代が磨き上げた美点をさらに凝縮し、熟成の域に達したことを確信させてくれる。走りの質感、扱いやすさ、そして選べる個性。すべてが高い次元でバランスされている。今回は試せなかったが「GRスポーツ」のPHEVモデルは、この進化した土台の上で、どのような新たな世界観を見せてくれるのか、期待は高まるばかりだ。
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