
2025年下半期BEV販売台数No.1に輝いた「bZ」シリーズに、新たな選択肢としてbZ4Xツーリングが登場。都会的な洗練を追求したbZ4Xに対して、力強さを鮮明にしたこのモデルには、これまでのBEVとは違ったアプローチが注がれることが見どころ。その魅力をお教えしよう。
●文:まるも亜希子 ●写真:澤田和久
BEV王者の系譜に「野生」の個性をプラス
2025年下半期のBEV販売台数で首位に輝いたbZ4Xに、新たな選択肢としてがbZ4Xツーリングが加わった。洗練された都市型のbZ4Xに対し、bZ4Xツーリングは野外でのタフな光景が似合う新鮮なスタイルが魅力になっている。
実際、太陽のもとで見たエクステリアデザインは、ほどよいギア感がプラスされていてカッコいい。フロントから見るとアーバンなテイストが残っているが、リヤにまわるとCピラーがグッと立ち、しっかりと左右にワイドなボディでアンダーカバーを彷彿とさせるバンパーが頼もしさを高めている。
また、パッケージ面の進化も見どころの1つで、車体後部を140mm延伸して、その余裕を荷室に充てたことで、通常時でも618Lという驚異の大容量を実現している。
これはbZ4Xより177Lも多く、同時に後席の頭上空間も48mm拡大して113mmのゆとりを持たせたことで、後席を倒せばより大きな道具を積み込みやすくなっている。車中泊も快適にこなせる広大な空間を手に入れたことも、レジャー派にとっては大きなポイントになるだろう。
主要諸元(bZ4ツーリング Z 4WD)
●全長×全幅×全高:4830×1860×1675mm ●ホイールベース:2850mm ●車両重量:1920kg ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:前後モーター(フロント:167kW/268Nm、リヤ:167kW/268Nm) ●駆動方式:4WD ●一充電走行距離:690km ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストレット式(F)/ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:235/60R18 ●価格:640万円
熟成のbZ4Xメカニズムを継承
基本構造は、最新の改良を経たbZ4Xのメカニズムを継承。搭載バッテリーは、電池セルを104個に増やすことで総電力量74.7kWhとし。さらに従来よりエネルギーロスが約40%削減されたeAxleを搭載することで、より効率的でパワフルな駆動性能を手に入れている。
最高出力は、FWDモデルこそ165kW(224PS)と据え置きされているが、4WDモデルは380PS相当の280kWへと大幅に増強。
これは後輪モーターの出力を167kWまで引き上げ、小型化と高出力を両立したユニットを搭載した成果によるもので、開発当初は予定になかった仕様変更になるそうだが、ツーリングの強固な個性を際立たせるために、開発陣が調整を重ねて実現させたものになるそうだ。
室内には「ツーリング」専用のアースカラー、カーキが採用され、野外レジャーへの高揚感を演出。ダッシュボードのシボにはウッド調を取り入れ、ブロンズ加飾と相まってカジュアルかつ上質な空間を実現している。
後席は、bZ4Xに対し頭上空間を48mm拡大したことで、開放感が劇的に向上している。垂直に近いCピラーのデザインにより、乗り降りのしやすさや室内の横方向への広がりも十分に確保された。
速度を増すほどに深まる「地を這うような安定感」
試乗したのは4WDモデル。発進直後からしっかりとした接地感が際立つタイプだが、重いという印象はなく、上質感が先に伝わってくる。段差の乗り越えも極めてスムーズ。なめらかなカタマリ感があって、これは速度を上げていっても続いていく傾向だ。
試乗する前は、立体駐車場などのタイトなスロープ路での小回り性能を心配していたが、回転半径はbZ4Xと変わない5.6mを維持していることもあって、内輪差には少し気を配る必要があるものの、車両感覚がつかみやすく、難なくクリアできる。見た目のサイズ以上に運転はしやすいモデルだ。
高速道路などでの扱いやすさも強みといえる美点。上り坂での加速も余裕十分で、車線変更での微細なアクセルワークに過剰な反応を示すこともなく、スーッと流れにのれる気持ちよさがある。
さらに長い直線でさらに速度を上げていくと、だんだん重心が低く路面にどっしりと吸い付くような安定感も強まっていく。開発陣の話では、bZ4Xに対して車両重量が増えたことで足まわりのセッティングを変えた際に、グランドツアラー的な味付けを狙ったというが、まさにこれだと納得してしまう。ステアリングフィールも、シビアすぎないタイプで、このクルマには、こんな操作感が合っていると思う。
高速道路での加速は余裕そのもの。4WDモデルの合計280kW(380PS)のパワートレーンが、重厚なボディを軽やかに、かつ力強く前へと押し出す。速度を増すほどに重心が低く感じられ、路面に吸い付くような安定感はまさに「グランドツアラー」の風格がある。
BEVならではの低重心設計の恩恵もあって、カーブでも揺れを抑えたフラットな乗り心地を実現。
走行シーンや好みに合わせ、最適な走りを選択できるドライブモードセレクトを搭載。4WD車には、雪道や泥道などの悪路で高い走破性を発揮する「X-MODE」を採用している。
「パワー」「安定」「大空間」の三拍子揃った次世代レジャービークル
キャビン静粛性に関しては、後方の空間が広がっていることもあってか、bZ4Xの試乗の時に感じたような“静謐”とさえ呼びたくなるほどの「シーン」とした静けさはなかった。この日は風速17mの強風だったため、そのせいかもしれないと思い、開発陣に聞いてみたところ、荷室スペースにはかなり入念に防音材を敷き詰めており、さらにeAxleにも防音材を巻いているほどだという。普段の日なら、そうした恩恵を感じられたのかもしれない。
なお、荷室スペースは通常時でも奥行きが1092mmあり、期待通りの大空間が広がる。アジャスタブルデッキボードを下段にすると、高さも850mmに68mmプラスとなり、その下にも空間があって、充電コードなどが収納できるようになっている。もちろん、AC100Wで合計1500Wまで使えるアクセサリーコンセントも装備されている。
圧倒的なパワーと安定感、大空間を含めた機能性の高さは、レジャービークルを求めるユーザー層にも大きく刺さるはず。遊びも走りも一切妥協したくない、欲張りなアクティブ派にオススメできる1台だ。
14インチの大画面フルHDディスプレイは、地図も映像も鮮明に映し出す。直感的な操作に加え、「Hey、トヨタ」と話しかけるだけで、目的地検索やエアコン調整も可能。
ステアリングの上から見るトップマウントメーターを採用。遠方配置により視点移動を最小限に抑える、運転に集中しやすいレイアウト。
押し下げて右に回すとドライブ、左でリバースに切り替わる直感的な操作を可能にするダイヤル式シフトを採用。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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