
4月は、タイヤをスタッドレスからサマータイヤに履き替えるというユーザーも多いだろう。「タイヤ交換くらいは自分でやりたい」。そんな時に覚えておきたいポイントをお教えしよう。
●文:橘祐一(月刊自家用車編集部)
足場とポイントの確認が「壊さない」第一歩
まず第一のポイントは、「足場の確保と正確なジャッキアップ」だ。傾斜地や砂利の上を避け、平坦な場所で作業することは大前提だが、車種ごとに設定されたジャッキアップポイントを誤ると、車体そのものを破損させる恐れがある。必ず取扱説明書で正しい位置を確認しなければならない。
作業の前にジャッキの収納場所、ジャッキアップポイントなどを取扱説明書で確認しておこう。
持ち上げる前に「緩める」のが、スマート整備の鉄則
第二のポイントは「ジャッキアップ前の予備緩め」だ。タイヤを完全に浮かせてからではナットが空回りして力が伝わらない。接地した状態で、対角線順に少しだけナットを緩めることが作業をスムーズに進めるコツとなる。
ジャッキアップポイントを確認する。乗用車はサイドシルに設置されていることが多いが、位置を間違えると曲がってしまうので注意。
フロアジャッキを掛ける部分は車種により異なるので必ず確認すること。サブフレームやリヤデフに掛ける車種もある。
車体を持ち上げる前にナット(ボルト)を緩めておく。完全には外さずに動きが軽くなる程度でOK。
車載工具のレンチは力が入れにくいので、クロスレンチなどを用意しておくといい。組み立て式なら車載工具と一緒に収納できる。
フロアジャッキを使用する場合はリジットラック(通称:ウマ)を掛けておく。ジャッキが落下して下敷きになる事故も多いので必ず行うように。
ハブの汚れを落とす手間こそが「知識」の証
第三のポイントは「接合面の徹底した清掃」になる。タイヤを外した際、ハブやボルトに付着した砂埃や錆を放置してはいけない。汚れを噛み込んだまま締め付けても、走行時の振動でナットが緩む原因となる。パーツクリーナーで洗浄し、不必要なグリス塗布を避けることが安全に直結する。
タイヤ交換の前にはホイールやホイールハウスをあらかじめ洗っておくと、作業時に汚れを防ぐだけでなく、ボルトに砂の込み込みを防いでくれる。
スタッドボルトやハブの接合面をブレーキクリーナーやパーツクリーナーでクリーニングしておく。
ホイールナットも内側の汚れをブレーキクリーナーで洗い流しておく。
錆がある場合はワイヤーブラシで落としておく。錆がひどい時は薄くグリスを塗り、ウエスでしっかりと拭き取っておく。
ホイールナットはホイールとの接合部の汚れをしっかりと落とし、ここには絶対にグリスアップは厳禁。
ガタつきを防ぐ「対角線ルール」を徹底すべし
第四のポイントは「仮締め時の対角線ルール」だ。タイヤを装着する際は、一箇所を集中して締めるのではなく、対角線上の順番で均等に負荷をかけていく。これによりホイールがハブに対して垂直に密着し、ブレのない確実な装着が可能となる。
トルクレンチで導き出す「安全」という正解
そして最も重要な第五のポイントが「トルクレンチによる適正な本締め」になる。レンチを足で踏みつけるような過度な締め付けはボルトの破断を招くため論外である。指定されたトルク値でカチッと締める、この精密な確認こそが脱落事故を防ぐ最後の砦となる。
ホイールを取り付ける時は、一番下のナットを最初に取り付けておくとホイールが傾かないので作業しやすい。
取り外し時に同じように、対角線でナットを締め付ける。この時一気に締め付けずに、少しずつ数回に分けて締め付けるとホイールのブレが出にくい。
本締めの時にしっかり締め付けるのは大切だが、締め付け過ぎもNG。レンチに足をかけて目一杯締めるのは絶対にやめて!
安い海外製でもいいのでトルクレンチは必須。緩んでタイヤが外れるのも怖いが締め付け過ぎも事故につながる。
締め付けトルクはスタッドボルトの太さやナットの形状で異なるので、必ず取扱説明書やディーラーで確認してほしい。
確実に締め付けたのか心配な場合は、締め付けが終わったナットにマーカーで目印を。水性マーカーなら作業後に水拭きすればすぐ落ちる。
これら5つの手順は、クルマメンテナンスにおける「基本中の基本」。自らの手で作業することは愛車の異変にいち早く気づく絶好の機会でもある。足回りの構造を理解し、自分の命を支えるタイヤを自らの手で管理する達成感は、ショップ任せでは決して味わえないものだ。
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