
2022年にGRヤリスの兄貴分として登場したGRカローラ。発売後もモータースポーツの場で鍛えられ、2023年の改良でフィードバックされたが、2回目となる今回の改良は車両全体にわたって行なわれており、いわばGRヤリス同様に“進化型”ということになる。今回の試乗は苗場プリンスホテル近郊に作られた特設コース、つまり雪道だ。コース幅も狭く、「大柄ボディのGRカローラのいいところが出ないのでは?」と心配したが、試乗してみると、進化型GRヤリスのリアルユーザーの筆者も嫉妬する走りに驚いた!
●文:山本シンヤ(月刊自家用車編集部) ●写真:トヨタ自動車
細かな部分まで手が入った進化型「GRカローラ」
試乗した雪上コースはわずかな直線があるもコース幅は車幅×1.5倍程度。2速が主体となるRのキツいコーナーが連続する中回転域メインのコースだったが、従来モデルであれば2速に落とすコーナーでも、進化型は3速でOKなぐらいのトルクアップを実感。それに加えて、回転が増すにつれてパンチのある力強さもプラスされ、より野性味のあるユニットに仕上がっている。
パワートレーンの1.6Lターボは、進化型GRヤリスと同じ304ps/400Nm仕様を水平展開。トランスミッションは6速MTに加えて、進化型GRヤリスから投入された8速DATを追加している。このATは発熱が凄いため、フロントバンパーを変更することで冷却性能をアップ(サブラジエーター/空冷ATFクーラー/ブレーキ用に開口部を拡大)している。
注目のDATは、マニュアルシフトを使わずDレンジで走行したが、今回のコースだとほぼ2速固定で自動変速の恩恵は受けられず…。一方、6速MTはiMTのON/OFFスイッチの位置がインパネ右下部からドライブモード左側に変更(これは嬉しい進化)。雪道はiMTを活用したほうが挙動も乱れず安心だ。
シャーシまわりは、モータースポーツで鍛えられたアイデアが数多くフィードバックされている。前回の改良で行なわれた締結剛性アップはさらに採用場所が増えており、ステアリングコラム取り付けボルト/フロントロアアーム×ナックル(ボルトフランジリブ追加)/リヤアブソーバー×ボディが変更されている。
サスペンションは、旋回加速時の車両姿勢を抑えるために、リヤのトレーリングアーム取り付け点(30mmアップ)とロアアーム取り付け点(5mmアップ)を変更。さらに旋回時に内輪をより活用すべく、リバウンドスプリング付きアブソーバー採用に加えて、リヤスタビライザーのレートダウン&リヤスプリングのレートアップ(=各々の役割を最適化)を実施した。
もちろんスポーツ4WD(GR-FOUR)の制御もアップデートされており、TRACKは車速に応じて60:40~30:70の可変式に変更。他のモードもFRONT改めNORMAL(60:40)、REAR改めGRAVEL(50:50)となっている。
従来モデルより明らかにキレが良くなったハンドリング
今回は公道ではないため、VSC:OFF/ドライブモード:SPORT/4WDモードセレクト:TRACKを選択したところ、低μ路では従来モデルだとGRヤリスより200kg重い車両重量のため、操舵してからノーズがインを向くまで待ちが必要だったが、進化型はその時間が確実に減っており、旋回姿勢が作りやすい。
旋回時は、穏やかな挙動変化と懐が広いコントロールは従来モデルを継承するが、まるでクルマが軽く小さくなったかのようなキレと手の内感がプラスされている。もう少し分かりやすく例えると、GRカローラにGRヤリスっぽさが加わったイメージだ。その結果、ドライバーの操作次第でグリップ走行もスライド走行も、より楽に、より自在に、より安心してできるのだ。
モータースポーツで鍛えたことで得られたチューニングが注がれている最新のGRカローラ。その走りには“進化型”と謳うにふさわしいレベルアップを感じることができる。
他の4WDモードではどうか? GRAVELはコーナー進入で曲がるキッカケ(=前荷重)はドライバーがシッカリ行なう必要があるが、姿勢が決まると抜群のトラクションでより速いコーナーリングが可能だった。一方、NORMALはフロントが引っ張ってくれるのでとにかく安定して走ることができた。
ちなみにブレーキは、フラットなサーキットのみならずニュルのような上下入力でも確実なブレーキ性能を実現すべく、制御周期の改善/上下入力を考慮した制御が採用されるが、その効果かどうかは分からないものの、路面が荒れ凹凸が多い雪道での制動時もABSが安定して作動していることは実感できた。
自分の好みに合わせ走行モードをあれこれ選べることも、走り好きにとっては刺さる部分。
従来モデルのオーナーにはアップデートキットの提供も予定
総じて言うと、進化型GRカローラは従来モデルのRZで良い所(多くの人が安心して楽しめる懐が深い走り)と、デビュー時にラインナップされた走りに特化したMORIZOエディション(のキレの良さと俊敏なクルマの動き、そしてダイレクトなフィーリングを備えた走り)が融合した走りだと感じた。つまり「リアルMORIZOエディション」と言ってもいいモデルに仕上がっている。
既存のGRカローラをアップデートするボルト群。
ズバリ、筆者が従来モデルのユーザーならハコ替えしたくなる伸びしろだが、既販モデル向けに進化型の走りに近づけるアップデートキット(Step1:ボルト/Step2:サスペンションまわり)が用意されている。その他のアップデートもリリース検討中とのことだ。
今回はこれまでの反省(=限定販売)から日本向けの販売枠をかなり多めに取ったと聞くが、風のウワサでは今回も熾烈な争奪戦になりそうだ。
新型は3月3日に発売されたが、2月から事前予約がスタートしていたこともあって、現時点で8か月待ち(編集部調べ)になっている。限定モデルからカタログモデルとなったことは朗報だが、入手難易度が高いクルマであることは変わらなそうだ。
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