
日産が東京オートサロンで披露した「オーラNISMO RSコンセプト」は、量産技術とモータースポーツの知見を融合させた実験的コンセプトカー。オーラNISMOの軽量ボディにエクストレイルNISMOのパワートレーンを組み合わせ、電動化時代における新たな走りの可能性を提示する本モデルの思想と技術的背景を整理する。
●文&写真:月刊自家用車編集部
技術検証を目的とした「コンセプトカー」という前提だが…
オーラNISMO RSコンセプトは、スタイリング提案を主眼としたショーカーとは一線を画し、量産車としてすでに確立されたオーラNISMOの車体を基盤に、より高出力なエクストレイルNISMOのパワーユニットを搭載することで実走行を前提とした技術検証を目的として開発された。
注目すべきは、その開発姿勢が「机上の理論」ではなく、「過酷な使用環境に耐えるか」という現実的な問いに向けられている点だ。将来的にはレース参戦も視野に入れ、さらにはコンプリートカーとしての市販化可能性まで検討されている。
この点において、オーラNISMO RS Conceptは、研究用プロトタイプであると同時に、次世代NISMOの方向性を示す象徴的存在といえ、開発担当者は「究極のエキサイトメント」をコンセプトにしたと発言している。
東京オートサロンの日産ブースにて「オーラNISMO RSコンセプト」が発表された。発表時には開発を担当した日産モータースポーツ&カスタマイズから、デザイン担当の森田さん(写真左)とパワートレーン担当の片倉さん(同右)が登壇した。
アジャイルさと塊感を両立した、実戦志向のエクステリア
エクステリアデザインは、「Agile Electric City Racer」というオーラNISMOのデザインコンセプトをさらに深化させたもの。トレッド拡大により左右で145mmワイド化されたフェンダーは、視覚的な迫力を生むだけでなく、走行安定性の向上にも寄与している。加えて、約20mmのローダウンが施され、全体として低重心かつ一体感のあるプロポーションを形成する。
フロントスポイラー、サイドスカート、リヤディフューザーといった空力パーツにはNISMOの象徴であるレッドアクセントが与えられ、機能とアイデンティティを同時に主張する。さらに、フロントフェンダーのエアアウトレットやサイドエアスプリッター、専用リヤスポイラーによって、ダウンフォースの増大とドラッグ低減を両立させている点は、いかにも実戦志向でありデザイン担当者のこだわりが感じられる。
オーラNISMOのデザインコンセプトである「Agile Electric City Racer」をベースに、さらに空力性能を重視したデザインが採り入れられている。動力性能はもちろん、アピアランスにもこだわったという。
パワーウェイトレシオはオーラNISMO比で30%向上
最大の特徴は、軽量かつコンパクトなオーラNISMOの車体に、エクストレイルNISMO由来の高出力パワートレーンを組み合わせた点にある。この組み合わせは単なるパワーアップにとどまらず、車両全体の運動性能を再定義する試みだろう。パワーウェイトレシオはオーラNISMO比で30%向上しているという。
駆動方式には「NISMO tuned e-4ORCE」が採用され、高いトラクション性能と旋回時の安定性を実現している。電動4WD制御の緻密さは、従来の機械式4WDとは異なる次元のコントロール性をもたらし、ドライバーの操作に対して即応する挙動を可能とする。この点は、電動化時代のスポーツカーにおける重要な示唆を含んでいる。
X-TRAIL NISMOのパワートレーンを搭載し、電動スポーツモデルとして進化。1.5リッターエンジンが発電した電力を用い、フロントモーターは150kW、リヤモーターは100kWの最高出力を発生する。
「止まる」という性能を含めて、初めてスポーツモデル
性能向上の代償として、オーラNISMO比で約100kgの重量増が生じている。しかし本モデルでは、その増加分を見越した明確な対策が講じられている。フロントには対向4ポッド、リヤには対向2ポッドの大型キャリパーを採用し、高いストッピングパワーを確保した。
これは単なるスペック競争ではなく、「止まる」という性能を含めて初めてスポーツモデルが成立するという、極めて正統な思想に基づくものだ。走る・曲がる・止まるという三要素を総合的に高める姿勢は、NISMOの伝統を忠実に踏襲している。
AURA NISMO比で全長は140mm、全幅は145mm拡幅された影響で車重は同じく100kg増を計上。増えた車重を補うようにブレーキは強化され、フロントは対向4ポッド、リアも対向2ポッドを採用。タイヤはミシュランのPS4 2454/45R18を履く。
レースと市販化を見据えた、新世代NISMOの象徴に
NISMOは誕生以来、過酷なレースの現場で人と技術を鍛え上げ、その成果を市販車へと還元してきた。オーラNISMO RSコンセプトもまた、その延長線上にある。今後、実戦環境での走行を通じてさらなる改良が加えられることで、本モデルは単なるコンセプトを超えた実効性を持つ存在へと進化していくだろう。
電動化が進む現在においても、走る歓びを妥協しない。その強い意思こそがオーラNISMO RSコンセプトの本質であり、次世代NISMOの方向性を示す重要なメッセージといえる。しかも開発担当者ははっきりと「これは第一弾」と言及しており、RSコンセプトが今後さらに登場することを示唆している。
NISMOステルスグレーを基調としながら専用のダークマットNISMOステルスグレーを纏う。ワイドなボディと20mmのローダウンにより戦闘力を高めたプロファイルは、レースシーンへの投入も期待できる。
AURA NISMO RS Concept 主要諸元
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