
マッチこと近藤真彦氏が40年の時を経て入手した初代マーチK10型を、日産自動車大学校の学生たちが5校リレーでフルレストア。ATからMTへの換装、世界初の下回りまで及ぶ特殊塗装、107箇所の凹み修復などなど、昭和の伝説が、若き情熱と最新技術で「新車以上の輝き」を取り戻す。クルマ界隈の重鎮が絶賛した、感動の復活劇をご覧あれ。
●文/写真:月刊自家用車編集部(竹野由志雄)
思い出のマーチを「マニュアル」で楽しみたい。そんな想いからプロジェクトがスタート
今年のオートサロンでは日産自動車大学校の作品が展示されていたが、その真打ちとも言える作品が「マッチのマーチ」と名付けられた車両だ。
歌手・タレントでKONDO RACINGの監督も務める近藤真彦氏(マッチ)は、初代マーチのCMキャラクターを務め、「マッチのマーチ」のキャッチフレーズで同車を大ヒットに導いた立役者としても有名。
それから約40年、この思い出の初代マーチに乗りたくなり、自らネットを駆使して2014年に個人売買で「赤いマーチ」を入手したとのこと。ただ、ようやく見つけた車両はAT車だったそうだ。
初代マーチ(K10型)は、1982年から1992年まで製造販売されていた。車両重量600kg台の軽量ボディを武器にモータースポーツ分野でも活躍。1リッターの4気筒エンジンにはターボやターボ+スーパーチャージャー仕様も用意されるなど、ホットハッチとしても大きな存在感を盛っていた。
全国5校の学生が情熱を繋いだ「リレー・レストア」
実は近藤氏は、マーチは「マニュアル車で乗りたかった」とのこと。そんな話を近藤氏とも縁が深い日産自動車大学校(同校にはレース現場で実習を行う活動があるそうで、KONDO RACINGとも密接な関係を築いている)の学生が聞きつけ、「僕らにやらせて欲しい」ということになり、同校の全国5つのキャンパス(栃木・横浜・愛知・京都・愛媛)の学生たちがリレーでミッション換装とレストア整備を行う「マッチのマーチがあなたの街にリターンマッチ」プロジェクトが始動したそうだ。
車体はボディから下回りにかけて最新の「スクラッチシールド塗装」という工法で再塗装。剥離後に発見された107個もの凹み(エクボ)をひとつひとつ修復されている。
作業の各工程は各校が分担。主にエンジンとミッションなどの脱着整備は栃木校、ボディワークは京都校、エンジンのオーバーホールは愛媛校、部品の錆落としや内装まわりの調整は横浜校、そして車両の組付け、ミッション取り付けなどの最終仕上げは愛知校の学生たちが担当。
エンジンもフルオーバーホールしたうえ新車同様に再生。オルターネーターも鏡面のように研磨されている。
ボディサイドのデカールは現在新品は存在せず、新たに作り直している。
オートサロンのお披露目ではオーナーの近藤真彦氏も登壇し、そのクオリティに目頭を熱くさせるほど感動し、「ありがとう〜」を連呼していたほど。
さらにそのトークショーでは、日産のエスピノーザ社長のほか、サプライズでトヨタの豊田章男会長やHRCの渡辺康治社長も飛び入り登壇し、車両の完成度の高さを絶賛していたほどだったのだ。
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