
本格クロカンの象徴、三菱の新型パジェロが619万円からついに復活!新開発8速ATと専用5リンク式サスを搭載し、卓越した走破性と快適性を両立させた。全4グレードの装備差や3列シートの実用性を検証し、本当に選ぶべき「買いの1台」を徹底解説するぞ。
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久
現代に蘇る本格オフローダーの矜持とは?
現在のSUV市場において、クロスカントリー系モデルが主役に返り咲いたとまでは言えないものの、市場全体の拡大に伴って本格派オフローダーに対する需要は確実に高まりを見せている。
そうした近年のトレンドを鑑みれば、かつて四駆ブームの頂点に君臨したパジェロの復活は、まさに機が熟した必然の帰還と捉えてよいだろう。
この手のモデルがフラッグシップであってもトラックのような骨太なシャシーを採用するのは、過酷な環境を走破するための必然だ。
しかし裏を返せば、そこにいかにオンロードでの軽快なハンドリングや快適な乗り心地といった走りの質感を融合させられるかこそが、レジャーやロングツーリングを目的とする現代の上級クロカンにおける最大の腕の見せ所でもある。
最上級「SUPER EXCEED」のエクステリア。精悍なハニカムグリルや専用20インチアルミ、新色ファントムブルーメタリックの2トーンが映える。初代を想起させるCピラーや水平基調のスクエアな造形に、フラッグシップの圧倒的な気品が宿っている。
歴代の背面タイヤを想起させる六角形の造形を中央に配したリヤビュー。初代のロールバーに着想を得たCピラーや、水平基調のLEDコンビネーションランプが個性を主張している。
水平基調で美しく伸びやかなサイドシルエット。全長4920mm、ホイールベース2870mmの堂々たるプロポーションに、初代パジェロのロールバーに着想を得たCピラーが際立つ。
専用開発フレームと新構造リヤサスがもたらす走りの進化
新型パジェロのハードウェアに目を向けると、ラダーフレーム構造をはじめとするタフネス重視の設計には、先行して市場投入されたトライトンとの共通項が少なくない。
しかし実際のところ、シャシーの前半分こそトライトンを土台にパジェロ向けの再設計が施されているものの、後半部分はパジェロのために完全新設計されたものだ。そのため、フレーム全体で見ても専用設計と解釈するほうが実態を正確に表している。
そのシャシー後半における最大の違いとして注目すべきは、リヤサスペンションの構造だ。
トライトンが荷物積載時の耐久性と悪路対応力を最優先したリーフスプリング式のリジッドアクスルであるのに対して、パジェロはトレーリングリンク(5リンク)式のリジッドアクスルを採用している。
伝統的なリーフリジッドは頑丈さに優れる反面、車軸の規制が甘くなりやすく、サスペンションを固めても高速域の操縦安定性に課題を残しやすい。
そこで新型パジェロは、軸の規制力に優れ、かつ豊かなサスペンションストロークを確保できるトレーリングリンク式を選定した。
これにより、本格クロカンとしての素性を損なうことなく、高速巡航時のスタビリティや乗り心地を一段上のレベルへと引き上げることに成功している。ある意味で、乗用車的な快適性とオフロード性能を融合させたパジェロの原点に最も忠実なシャシー設計といえる。
専用チューンを施した2.4Lクリーンディーゼルは最高出力150kW、最大トルク480Nmを発揮。重量級ボディを軽快に走らせるトルク特性と新開発8速ATの相乗効果により、走りの質感の向上も期待できる。
新開発8速ATと四輪統合制御がもたらす、オールラウンドな走りに期待
パワートレーンには、トライトンと同型の2.4L直列4気筒ディーゼルエンジンに、新開発の8速ATが組み合わされる。重量級のボディを軽々と引っ張り、過酷な悪路でも極低回転から太いトルクを確実に引き出せるスペックであり、何より多段化された新開発ATへのアップグレードが走りの質感向上に大きく寄与している。
ほかにも駆動系には、センターデフにLSDを組み込んだ電子制御4WDシステムを搭載。副変速機のローギヤやセンターデフロック機構も備え、舗装路での高速クルージングからハードな岩場走行まで、ワイドな守備範囲を誇るヘビーデューティな仕上がりだ。もちろん、4輪の駆動力を緻密に統合制御して旋回性能と安定性を高次元で引き出す「S-AWC」など、四駆の三菱ならではのトップ技術も惜しみなく注ぎ込まれている。
過酷な路面状況に応じて駆動力配分を最適化し、ドライバーの操作を的確にアシストするドライブモード機能も充実。路面状況に合わせて「ノーマル」から悪路用の「ロック」まで、計7種類もの走行モードを自在にセレクトできる。
路面状況に応じて駆動力を最適配分するS-AWCや専用の走行モードが、荒れたダートでも圧倒的なトラクションと抜群の安定性を発揮する。
初代の道具感を宿す機能美と、実用的な3列シートがもたらす余裕の空間設計
こうしてパワートレーンとシャシーの構成を振り返ると、ハードなクロカン走行から長距離のアウトドアドライブまでを巧みにこなす上級オフローダーらしい骨太さが際立っており、オンロード性能や都会的スポーツ性を強調していた3代目や4代目と比べても、むしろ無骨さと機能美に溢れていた初代のコンセプトに近い印象を受ける。
そうした原点回帰のテイストは、メカニズムだけでなく全体のたたずまいからも色濃く漂ってくる。新型を眺めていると、職人気質の道具感とホビーユースをくすぐる趣味性のバランスが、まさに初代を彷彿とさせるのだ。
もっとも、当時としては先進的な「乗用車感覚」だった味付けも、クロスオーバーが主流となった現代の基準から見れば明確にクロカン寄りとなるが、同社のアウトランダーとの棲み分けを考えても絶妙なポジショニングといえるだろう。
パッケージングに関しては、全グレードで3列シート・7名定員仕様が標準となる。3列目に大人が無理なく座るには2列目シート(150mmのロングスライド機構付き)の前方スライドが前提となるものの、アウトランダーのサードシートと比べれば、居住空間やつま先の足元スペースは格段に実用的だ。フル乗車時のラゲッジスペースはキャンプなどの大荷物にはやや手狭感もあるが、日帰りドライブ程度の荷物であれば十分余裕をもって飲み込んでくれる。
水平基調のインパネに大型のモノリスディスプレイが鎮座する先進コクピット。伝統の3連メーターを現代的に再現したマルチメーターも配置される。
最上位「SUPER EXCEED」には、上質なキャメルとブラックの2トーンが高級感を漂わせるセミアニリン本革シートが標準装備される。身体を自然に支える立体構造を備えるなど、過酷なロングドライブでも極上の座り心地を約束している。
個性際立つ2系統をグレード展開。どのグレードもそれぞれに魅力あり
バリエーション展開は、悪路走破性とコストパフォーマンスに秀でた実用志向の「GLS/GSR」と、上質な仕立てを誇るプレミアム志向の「EXCEED/SUPER EXCEED」という2系統・全4グレードで構成される。
足元のタイヤサイズはEXCEED系がスタイリッシュな20インチ、GLS/GSR系が走破性を見据えた18インチとなるが、それらホイールやタイヤを除けば、走行ハードウェアや運動性能に関わる基本システムはほぼ共通のスペックを持つ。
ただし、ハードな走破性を決定づけるリヤデフロック機構に関しては「GSR」と最上位「SUPER EXCEED」に設定されるほか、衝突被害軽減ブレーキ(FCM)や高速道路同一車線運転支援機能「マイパイロット(MI-PILOT)」といった先進安全装備・ADASは、全グレード共通で手厚く用意されている。
プレミアム系ならではの上級装備として、高品位な「Dynamic Sound Yamaha Ultimate(12スピーカー+デュアルアンプ)」オーディオシステムがSUPER EXCEEDに専用装備される。さらに開放感あふれる電動パノラマサンルーフもSUPER EXCEED限定のメーカーオプションになる。
興味深いのは、このサンルーフ仕様車のためにルーフパネル左右の峰の幅を狭めた専用のプレス成型を施している点で、これにより圧倒的な開口面積を確保しており、細部にまで及ぶパジェロの設計への強いこだわりが垣間見える。
グレード選びは「実用派」か「上質派」かで考えるとわかりやすい。
まず、本格四駆としての基本性能を最も手頃に手に入れたいならエントリーの「GLS」(619万3000円)、逆にセミアニリン本革シートや上級オーディオなど最上級の贅沢を味わい尽くしたいならフラッグシップの「SUPER EXCEED」(795万800円)が筆頭候補になる。ただ、新型パジェロの真骨頂であるアウトドアや本格オフロード走行をとことん楽しみたいなら、リヤデフロックやルーフレールといった本気装備を網羅した「GSR」(676万5000円)が、最もコストパフォーマンスと満足度の高いベストバイだ。
| グレード | 価格 |
| GLS | 619万3000円 |
| GSR | 676万5000円 |
| EXCEED | 693万円 |
| SUPER EXCEED | 795万800円 |
14.3インチの大型フル液晶ドライバーディスプレイ。時間の経過に合わせて背景がリアルタイムに変化する全16種類の美しいビジュアルを楽しむことが可能。
14.3インチの大型モノリスディスプレイには様々な情報が表示可能。ワイヤレスのスマートフォン連携に対応し、Apple CarPlayなどの地図アプリも鮮明に表示する。直感的なタッチ操作と操作しやすい物理スイッチを巧みに両立している。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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