
ジャパンキャンピングカーショー2026でお目見えした「GeoRoam」は、日本特種ボディー(NTB)が掲げる次世代フラッグシップ・キャブコンバージョン。いすゞBe-cam 2.0tワイド・4WDシャシーを基盤とし、走行性能と居住性を高次元で融合したモデルだ。従来の「移動=耐える時間」という概念を破壊し、移動そのものが豊かな体験となる空間と機能性を提供する。その設計理念から具体的機構、居住空間の構造まで解説してみたい。
●文&写真:月刊自家用車編集部
移動時間を「至福」に変える、最新メカニズムを投入
GeoRoam(ジオローム)の設計哲学は、移動、滞在、宿泊という三つの時間を統合的に捉え、これを「価値ある体験」へと格上げする点にある。
従来、多くのRVやキャンピングカーは「目的地へ導く手段」として位置づけられ、「移動=我慢」という側面があった。
しかし、GeoRoamはこれを否定し、走行そのものが豊かな時間となるべく設計されたモデルだ。
設計開発のベースとしたのは「QOL(Quality of Life)の極み」。具体的には、高い走行性能と上質な居住空間を両立させることで、旅という行為の始点から終点までを豊かにすることを主眼に置いて造られてる。
いすゞのキャンピングカー専用シャシー「Be-cam」をベースに、日本特種ボディーと共同開発して生まれた「GeoRoam」。フルタイム4WDとワイドキャブ、ロングホイールベースを採用し、サイドオーニングも標準装備となる。
基盤となるシャシーには、いすゞのキャンピングカー専用設計になる「Be-cam 2.0tワイド・4WD」を採用。フルタイム4WD機構が与えられたことで、アウトドアアクティビティで重宝する悪路走破性を確保しつつ、ドライバビリティと走行安定性を担保したことも特徴のひとつ。
キャブにもワイド設計を採用することで、運転席周りの快適性と大幅な居住スペースの確保を両立。さらに座席のスライド幅やシートヒーター、ランバーサポート等の人間に優しい機能も投入されており、長距離運転における疲労軽減も図られる。
トランスミッションも9速の多段AMTと、高速域から低速域までのギア比を最適化。燃費性能と動力性能を高次元で両立している点も特筆ポイントだ。
悪路走破性の高い4WDシステムを搭載し、様々なロードシチュエーションをカバー。キャブと架装部分が分離していることにより、2WDと比較して極めて優秀な安定走行とロングドライブでも疲れにくい快適な乗り心地を実現している。
上質素材による居住空間は、所有する喜びを満たしてくれる
なにより居住空間の設計は、単なる「キャンピング空間」としての枠を超えていることが見逃せない。
天然木を主要内装材として採用することで落ち着いた質感。床を板張りで仕上げたほか、大きな窓からの自然光も意識した設計とすることで、視覚と触感の両面から豊かな体験を提供する。なかでもリビングスペースは寛げることを重視した設計で、旅の時間における多様な行動への対応力を高めている。
キッチンスペースも家庭用と遜色のない機能性を追求した配置。シンクやコンロ、電子レンジが機能的に配列され、実用性と視覚的な統一感が図られている。多用途スペースとしてのマルチルームも備えるなど、キャンプ用途だけでなく、ワーケーションや緊急時の社会的機能発揮にも耐えうる設計となっている。
まさしくモーターホームという形容がふさわしい高級感のあるシェル内のインテリア。キッチンには二口のコンロとシンクが備わり、インバーターは2000W×2、サブバッテリーはリチウムイオンの24V 400Ah、800W相当のソーラーパネルも装備する。
遮光カーテンや1段の常設ベッドは標準装備。ウッドをふんだんに用いたテーブルなど、落ち着いた雰囲気が車内を彩る。展示車には日本特種ボディーが新開発した急速充電システム「エネクルーズブロック2」が装着されていたがこちらはオプション。
トラックシャシーのモデルとしては、設計年次が新しい最新モデルということも見逃せない。全車速対応クルーズコントロールやレーンキープアシストといった先進運転支援機能も標準装備。高速道路や長距離移動時の安全マージンが確保される。これらの機能は、単なる装備の付加ではなく、長距離移動にともなうドライバーの負担を軽減する合理的設計と言えるものだ。
また、一般的なキャブコンバージョンとは異なり、キャブとシェルを分離構造とすることで、ボディ剛性とねじれ吸収性の両立が図られている。このアプローチは、悪路走行時におけるタイヤの接地性向上と、車両全体の安定性に寄与していると評価されている。
採用するパワートレーンは、いすゞの3リッター直4DOPHCディーゼルターボエンジンと9速DCTを組み合わせ、最高出力150PS/最大トルク430Nmを発揮。運転席はシートヒーターを内蔵し、全車速車間クルーズ他、先進運転支援機能も万全だ。
リチウムバッテリーやソーラーシステムも完備することで、家庭用エアコンや冷蔵庫、電子レンジなどの生活必需品への電源需要にも対応。外部電源の有無や場所を問わず、安定した生活空間が提供される。また、FFヒーターによる寒冷地対応や走行充電器によるバッテリー管理機構も備わっているため、長期滞在もお手の物とのこと。
このGeoRoamは、単なるRVの進化ではなく、「移動と生活の連続体」として再設計されたモデルになる。具体的には走破性、居住性、安全性、生活機能の全方位を高次元で統合することで、従来のキャンピングカーの枠を超えた体験価値を創出する。移動そのものが目的となりうる新たな価値基準を楽しめる1台ともいえるだろう。
取材車両の価格は、税込み2365万円とのこと。キャンピングカーとしてはトップクラスになるが、動く一軒家と考えるならば一定以上の需要があるというのも納得だ。
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