
ついに発売までのカウントダウンが始まった新型エルグランド。最大の注目は、「第3世代e-POWER」と4輪制御技術「e-4ORCE」の搭載で、ライバルを凌駕する異次元の走行性能を得たことだ。走り好きにとっては、まさに期待しかない新型だが、現在明らかにされている最新情報を整理してお届けしよう。
●文:月刊自家用車編集部
走りの質感の向上で、最上級を貪欲に狙う
新型には、中国を中心とした海外市場での高級ミニバン需要の急拡大に応えるということと、国内におけるライバル(アルファード&ヴェルファイア)の独走を阻止するという、明確な目的が存在する。
それを達成する上で、大きなキーワードとなるのが、「走り」と「キャビン」の飛躍的な向上だ。
走りに関しては、パワーユニットの刷新が大きい。
従来型は2.5L直4と3.5LのV6の内燃機モデルが設定されていたが、新型は全モデルが新開発の1.5L直列3気筒ターボエンジンを発電専用に用いる、第3世代e-POWERに変更される。
このユニットはエクストレイルとは異なり、可変圧縮比技術(VC)は組み込まれないが、モーターやインバーターといった主要コンポーネントを一体化した「5-in-1」モジュールを採用することで、システム全体の軽量化とコンパクト化そして高剛性化が図られ、燃費性能や静粛性が向上している。
e-POWERがもたらす電動駆動の力強い出力特性は、すでにエクストレイルやノートオーラなどでも知られているが、より柔軟に電気を使う事ができる新型エルグランドでは、優れた発電効率と力強い電動駆動を実現するのは確実だ。
さらに電動四輪駆動制御システム「e-4ORCE」が搭載されることも、見逃せないポイント。
電気自動車のアリアから展開が始まった日産自慢の電動4WDは、前後2つの高出力モーターが駆動力を緻密に制御することで、路面に吸い付くような走りを実現している。大型ミニバン特有の車体の揺れを抑制し、フラットで快適な乗り心地をもたらすほか、路面状況を問わない高い接地感と、意のままに曲がる旋回性能も、「e-4ORCE」の売りのひとつであり、新型エルグランドは単なる移動手段としてのミニバンを超えた、走りの楽しさも提供してくれる「ドライバーズカー」という面も強化される。
全高に対して全長が長い、ロングキャビンプロポーションを採用。キャビンの広さを直感的に理解できるパッケージ。
キャビンまわりは、特別な寛ぎの空間を目指して設計
洗練されたキャビンまわりの造りも、新型で大いに期待したい美点のひとつ。
現行セレナには、最上級グレードとして「ルキシオン」が用意されているが、販売店への取材を進めると、ルキシオンでは満足できない、というユーザーも多いという。
そんな理由もあって新型は、そんな目の肥えたユーザーたちの需要を満たすため、インテリアの加飾レベルは、国産プレミアムモデルのトップを名乗るにふさわしい内容が与えられる。
プライベートラウンジのような特別な寛ぎの空間を目指し設計されたキャビンには、広い範囲に巡らされた木目調パネルや、組子パターンのキルティングを施したドアトリムなど、ショーファードリブン需要も意識した、上質と落ち着きを備えた仕立てがプラスされる。
派手やかな高級感よりも落ち着いた良質な空間の演出が見どころ。メーターからセンターディスプレイを連続させた先進感や、整理されたレイアウトと操作感にこだわったスイッチなど、細かな部分にも気を使っている。
装備面も贅沢なもので、インパネには14.3インチのモノリススクリーンが2つ並び、助手席と2列目シートには、ふくらはぎを支えるオットマンなども装備。内装機能の操作系に静電スイッチを用いるなど、見た目だけでなく、操作感でも特別仕立てを思わせる設計が注入される。
インパネには14.3インチのモノリススクリーンが2つ並ぶ。
ドアトリムには、エクステリアの組子パターンと統一感を持たせたキルティング地を採用。所有欲をくすぐる加飾も新型の特徴のひとつ。
プレミアム性の要点になるオーディオシステムは、3Dサラウンド再生機能を備えたボーズ22スピーカーサウンドシステムを採用。
ほかにも3列目シートは、現行型で不足していた床と座面の間隔が最適化されることで、より自然な着座姿勢を実現。乗員快適性の面でも大きくジャンプアップする。
新型エルグランドは、動的質感の大幅な向上と、贅を尽くしたキャビン機能が与えられることで、強力ライバルと戦えるようになるほか、さらに日産モデルとしての位置づけも、ファミリー層を主軸とするセレナの上位に君臨する、日産の最上級ショーファーモデルとして明確化される。
日産の国内市場における戦略的な重要性は極めて高く、世界からも大きな注目を集めるのは間違いないところ。この先の日産の行く末を左右する1台になるだろう。
装備機能の大幅な進化もあって、従来型に対して価格アップは避けられないところ。最も安価なグレードでも550万円前後、上級グレードは900万円前後になりそうだ。すでに販売店には多くの問い合わせが寄せられていて、約16年ぶりのフルモデルチェンジということもあって、購入を希望するユーザーも多い模様。新型エルグランドは、競争が激しくなる可能性が高そうだ。
これまでアッパーミドル級ミニバンは、トヨタのアルファード(左)&ヴェルファイア(右)の独壇場が続いていたが、新型エルグランドが投入されることで、このクラスの勢力図は大きく変わるのは間違いない。
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