
開発の聖地、トヨタテクニカルセンター下山。その峻険なテストコースで産声を上げたのが、レクサスの次世代を担う新型TZ&ESだ。今回は開発車両での同乗試乗という限定的なシチュエーションだったが、伝わる振動や音からは、下山の過酷な道で鍛え上げられた確かな熟成の跡が感じ取れたのだ。
●文:まるも亜希子 ●写真:トヨタ自動車/編集部
最新レクサスSUVは、巨体を感じさせない俊足モデル
レクサス初のBEV3列シートSUVとして、5月7日にワールドプレミアとなった新型TZ。「Driving Lounge」というコンセプトは、乗員すべてが快適で心地よい室内空間と、レクサスらしさにこだわった走りの良さの両立を目指したことを物語っている。
新型「TZ」は、「Driving Lounge」というコンセプトのもと、最新の電動化技術とラグジュアリーな移動体験を融合させた1台。今年冬頃の国内導入を予定している。切れ味と力強さを兼ね備えたシルエットが印象的だ。
全長は5100mm、ホイールベースは3050mmを確保したロングホイールベースレイアウトを採用。その恩恵は主にリヤセクションの余裕に当てられることで、3列シートSUVとしての実用性とラウンジのような快適性を両立させている。
SUVらしい力強さのあるスタイリングと空力性能の二律創生を追求したというエクステリアデザインは、未来的でありながらしっかりとタフさも備えており、存在感抜群。新開発のプラットフォームを用い、全長5100mm、全幅1990mm、全高1805mmと堂々たるボディサイズとなる。
フロントマスクは、内向きL字のデイタイムランプと外向きL字のターンランプを組み合わせた「ツインLシグネチャーランプ」を採用。リヤは、空力性能追求のためルーフ後端を大胆に下げたクーペルックな趣が強まっている。
ホイールベースも3050mmと長く、搭載されるバッテリーは総電力量95.82kWhと大容量だが、新開発したバッテリーパックはかなり薄型で、床下に敷き詰めても最小限のスペースとなっており、空力性能のために低ルーフ化しても、3列シート6人乗りに十分な室内空間を確保していることは妙味のひとつだ。
BEVシステムは新型RZ/ESと共通のもので、フロントとリヤにeAxleを搭載するAWDを採用。フロント/リヤともにモーターは最高出力167kW/最大トルク268Nmで、システム最高出力は407.8ps相当にもなる300kWを誇る。
航続距離は、開発モデルに22インチタイヤを履かせた状態の暫定値で620km(WLTCモード)、加速性能は0-100km/hが5.4秒の俊足。これにはセダン並みのCd値0.27を達成していることも貢献しているはずだ。
インパネはドライバー優先の設計。メーターフードを廃した水平基調のデザインに加え、メーター画面の反射を抑える偏光フィルムの採用により、優れた視認性を確保される。
フロントシートは、薄型かつ立体的な分割構造を採用。助手席には、長距離移動時の疲労を軽減するオットマン機能やシートベンチレーションも設定される。
静粛性重視の設計により、走るラウンジを実現
今回、トヨタテクニカルセンター下山のクローズドコース内で、新型TZの開発テスト車両の助手席での同乗試乗がかなった。
TZのシートはほどよい包まれ感があり、パノラマルーフからの明るい光が入って3列目までゆったりとした空間が堪能できる。発進から22インチとは思えないソフトな接地感が感じられ、なめらかでスーッと進んでいくような印象だ。
ラウンジらしい静粛性の高さも素晴らしく、防音材や遮音材の最適配置に加えて人の感受性に着目した音の指向性に配慮したというだけあって、無機質な静かさではなくどこか温もりのある空間となっている。市販モデルでは、さらにレクサス独自の香りやイルミネーションと連動した機能も搭載されるというから、これまでにない豊かな時間が過ごせるSUVとなりそうだ。
新型ESのキャビンは、次世代ラグジュアリーのあり方を体現
そしてもう1台、2026年6月中旬発売予定となっている新型ESにも同乗試乗することができた。ハイブリッドとBEVが用意される新型ESは、レクサスの次世代電動車の先陣を切るモデル。これまで積み上げてきたESならではのエレガントなデザインを磨き上げつつ、電動化にふさわしい次世代スピンドルボディを実現しており、トランクレスな印象を強めるワンモーションシルエットが新しい。
GA-Kをベースに新開発したプラットフォームは、フロントエンドやフロア、リヤエンドの剛性を強化し、ESとして初めてマルチリンク式サスペンションをリヤに採用することで、より上質な乗り心地を実現したという。
新型ESは、前席だけでなく、後席の広さや快適さも重視された設計。ホイールベースは先代よりも80㎜拡大されるなど、設計面からも家族みんなの「モビリティ空間」を意識していることを伺うことができる。
またDRS(ダイナミックリヤステアリング)を搭載し、車速に応じて前輪と逆相/同相に最大4度転舵させて優れた回頭性や取り回しのよさ、高速域での安定性を向上。ボディサイズが大きくなっても市街地での運転に気を遣うことなく、さらに上質でダイナミックな走行性能を手に入れているようだ。
新型ESには、ESとして初の2.0L直列4気筒ハイブリッドとなるES300h、刷新された2.5L直列4気筒ハイブリッドのES350h、航続距離が約685kmとなるES350eと、AWDのES550eがラインアップする。
報道陣向けに用意されたTZ&ESの同乗試乗体験では、静粛性と乗り心地を意識したレクサスの新しい走り味を確認することができた。
試乗したのはES350hの助手席で、低重心でしっとりとした乗り心地と高い静粛性が印象的だった。
インテリアでも、タッチ式に見えて実は物理スイッチのように“押しごたえ”のある「レスポンシブヒドゥンスイッチ」や、品の良い明るさや滑らかさを追求したという「面発光ドアトリム」といった最先端技術を駆使した優雅な空間を満喫し、次世代のラグジュアリーを体感させてもらった。
新型TZ、新型ESのどちらにも、レクサスの新たなチャレンジが詰まっている。
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