
発表された次期RAV4は、パワートレーンは2.5LのHEV(ハイブリッド)と2.5LのPHEV(プラグインハイブリッド)の2タイプ。そして「コア」、「アドベンチャー」、「GRスポーツ」という3つのスタイルで構成される。2025年度内の発売がアナウンスされた国内仕様車が、どのような仕様になるのか?は現段階では不明だが、いずれにせよ、この先のミドルSUV選びに大きな影響を与えるのは確実だ。
●文:川島茂夫/月刊自家用車編集部 ●写真:澤田和久
ボディサイズは現行型とほぼ同等。シリーズ初のGRスポーツを投入
まず、各スタイルの個性の違いを明確に打ち出しているのがフロントマスクのデザインだ。3つのスタイルとも、細くシャープなヘッドランプを採用しているが、グリル&バンパー周辺の加飾を変えることで、雰囲気の違いを演出している。
「アドベンチャー」と「GRスポーツ」は、SUVやスポーツモデルにふさわしい力強いデザインをまとい、現行RAV4の面影も感じさせてくれるのだが、これに対して「コア」は、トヨタのBEV(電気自動車)である「bZ4X」に通じるデザインを採用することで、未来的な印象を強めている。
「アドベンチャー」はRAV4の王道路線を追求するアクティブグレード。縦比率の高い大型グリルの採用や、SUVらしい力強さを感じる加飾がプラスされることで、ラギッド感(武骨さ)を上手に表現。※撮影車は「RAV4 Woodland(北米仕様)」
「GRスポーツ」には、高速走行時でも高い冷却効果を発揮する専用の「ファンクショナルマトリクスグリル」が採用され、サーキット走行のような高負荷が連続する状況でも安定した性能を維持しやすくなる特性が与えられた。他モデルのGRスポーツの展開まで考えると、アクセル操作に対するトルクの出方などをスポーツ走行に最適化した専用の走行モードが用意される可能性も十分。
ボディサイズは、スタイルで多少の差はあるが、現行型と比較して全高が5mm低くなった以外は、キャビンスペースの数値を含めて現行型と同等。開発担当者によると、この寸法はミドルSUVとして、日常的な用途とレジャー用途における利便性や快適性を最適に両立させるためのパッケージングであるという。こうしたユーザーの現実的なニーズを的確に捉えた設計思想は次期RAV4でも健在。つまり実用性に優れたSUVに仕上げられるのは間違いない。
シート設定はスタイルごとに差別化されるが、キャビン&荷室は、3つのスタイルで大きな差異は設けられておらず、むしろ現行型からの世代交代を明確に打ち出すことを重視した印象。撮影車はもっともベーシックな「コア」。
操作系統や視認性については、比較的オーソドックスな設計がなされており、長年培われてきた運転操作のノウハウと最新の情報機器との融合を図ったグラスコックピットとして仕上げられている。撮影車は「RAV4 Woodland(北米仕様)」。
メーターパネルとセンターディスプレイには、タブレット端末のようなデザインが採用され、必要な情報を呼び出して表示する新開発のマルチメディアシステムを装着する。情報化時代に対応するモデルとして、ソフトウェアのアップデートによって機能が進化するSDV(Software Defined Vehicle)開発の一翼を担う車載OS「アリーン(Arene)」を採用している点も見逃せない特徴だ。
国内仕様は「HEV」と「PHEV」の2本立て
最も注目されるパワートレーンは、各系統のキャラクターに合わせて異なる設定が与えられる。開発担当者の話では、「アドベンチャー」はHEV、「コア」はHEVとPHEVの2種類から選択可能で、「GRスポーツ」はPHEVのみの設定とのこと。ちなみに日本や北米、EUといった主要マーケットでは、電動パワートレーンを搭載したモデル(HEVもしくはPHEV)のみが展開されるようだが、一部の仕向け地には2Lリッターガソリンエンジンモデルも用意される予定という。
インバーターとDC-DCコンバーターを一体化するなど電動部品を中心としたパワートレーン全体の見直しにより、ユニットの高さを15%、重さを18%削減。また、エンジンは現行型の改良版だが、EV走行時とハイブリッド走行時、また一定速度での巡航時と加速時で、車内の騒音レベルの変化を抑えるため、静粛性がより一層高められている。
次期RAV4のハイブリッドシステムは、エンジンとモーターを効率良く使い分けるトヨタ独自の方式(シリーズ・パラレル融合型スプリット式)を引き続き採用。HEVシステムは現行型が基本になっているがトランスアクスルやパワーコントロールユニット、バッテリーなどの改良により、より滑らかかつ力強い加速やダイレクトなレスポンスを実現。北米仕様車のHEVはシステム最高出力236hp(AWD)を発揮する。
一方、PHEVのシステムはトヨタ初搭載となる最新の第6世代HEVシステムをベースに大容量バッテリーを組み合わせ、高出力充電器にも対応することで最新モデルにふさわしいスペックを達成している。北米仕様車はシステム最高出力320hpを発揮する。
PHEVで注目すべきは、電気だけで走行できる距離(EV航続距離)の大幅な向上になる。現行型のPHEVモデルのEV航続距離はWLTCモードで95kmだったが、次期モデルでは150kmという高い目標値を掲げて開発される。この目標達成のため、バッテリー容量を現行型より30%増量した上で、さらに25%以上もの航続距離延長を、充電・放電制御の最適化、モーター効率の改善、そして車体の軽量化などによって実現するという。
この新しいPHEVシステムは、「コア」と「GRスポーツ」のグレードに搭載される予定。従来以上に電気モーターの強みを活かした余裕のある滑らかな走りと優れた快適性が期待できるが、「GRスポーツ」ではモーター出力をさらに12%向上させることで、より力強い加速性能を実現するという。4WDシステムには、現行型と同様に後輪を専用モーターで駆動する「E-Four」が採用されるが、現時点では、後輪用モーターの出力は現行型と同等という。
シャシーは、主に現行型からの改良が中心。具体的には、ボディ全体の剛性を高め、振動や騒音をさらに抑える対策を強化し、サスペンションのショックアブソーバー(ダンパー)も改良される。
「GRスポーツ」では、これらの改良に加え、専用セッティングのサスペンションや特別なホイールを装備するだけでなく、フロントパフォーマンスダンパーやリアサスペンションブレースといった補強部品を追加することで、ボディ剛性をさらに強化。また、走行性能向上を目的としたエアロパーツも装着されているなど、開発陣の「GRスポーツ」の走りに対する強いこだわりが感じられる。
アリーンの採用で、クルマの進化がよりスピーディに
そして次期RAV4を語る上で欠かせない重要な新技術が、ウーブン・バイ・トヨタが開発したソフトウェアづくりプラットフォーム「アリーン(Arene)」だ。これは自動車用ソフトウェア開発の共通基盤となるもので、OS(基本ソフト)のような役割を担う。様々な電子制御や情報処理は、このアリーン上で実行されると考えればいい。
このアリーン導入の大きな目的の一つは、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の実現になる。SDVとは、ソフトウェアのアップデートによってクルマの機能が進化する車両のことで、従来はナビゲーション地図の更新などが主な例だったが、アリーンを採用することで、衝突安全システムや走行安定性を高める制御など、より広範囲なシステムの性能向上がオンラインアップデートで可能になる。これにより、ソフトウェア開発の効率化や最適化も進むというわけだ。
次期RAV4は、アリーンを初めて採用するモデル。現時点での採用範囲は、先進運転支援システム(ADAS)関連や、メーターなどの情報表示、ナビゲーションなどの操作系に用いられる。
国内仕様車のお披露目は、ジャパンモビリティショーが有力
国内仕様車の発売時期は、2025年度内とアナウンス済み。おそらくこの秋のジャパンモビリティショーでお披露目され、その後に価格&グレードが発表される流れだろう。
気になる価格に関しては、性能や機能の向上に加え、昨今の物価高騰や為替レートの状況を考えると、現行モデルと同水準に抑えるのは難しそう。さらに買い得感に優れていた2Lガソリン車がなくなるのも痛いところ。エントリークラスとなる「コア」のHEVモデルも、400万円台半ば(現行のX・HEVの価格は385万9900円)あたりからになりそう。高性能仕様となる「GRスポーツ」は、PHEV専用となるだけに700万円の大台を超える可能性も十分だ。
いずれにせよ次期RAV4が、この先のミドルSUV選びの基準車になるのは間違いない。ミドルSUVを検討しているユーザーは、国内仕様車の正式発表まで待ってみるのがいいだろう。
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