
スバルはオートサロンにおいて、MTシフトの限定車「WRX STI Sport#」を2026年春に発売することを発表したが、それに先駆けてカナダ仕様のWRX(6速MT)を試乗することができた。日本未発売の左ハンドル車ながら、ダイレクトな加速フィールと操作感はやっぱり楽しい。スバルの最新MTモデルは、多くのクルマ好きに響くのは間違いなさそうだ。
●文:まるも亜希子 ●写真:奥隅圭之
ダイレクトな操作感が呼び覚ます、高揚感が好ましい
水平対向ターボエンジンの盛り上がりや、四輪で蹴り出すように安定しつつ力強いシンメトリカルAWD。大きすぎない4ドアボディは扱いやすく、一般道ではのんびりとした気分で走ることもでき、高速道路の合流など“ここぞ”というところで、強めに踏み込むと心躍る加速フィールが押し寄せる。
今回の試乗車であるWRXは、外観では通常モデルとの大きな違いは見つけにくいかもしれない。
でも実は、カナダ仕様で左ハンドルの6速MTという変わりダネ。現行モデルでは日本仕様にMTの設定がなかっただけに、コクコクと右手を動かす操作感が新鮮に感じられる。足首を伸ばしきらずともつながるおおらかなクラッチや、しっかりとした握り心地の太さがあり、ちょっとくらいラフな動きでも受け入れてくれるシフトレバーは、肩の力を抜いて楽しめるところが魅力的だ。
カナダ仕様の左ハンドル6速MTモデル。ベーシックな仕様ということもあって、内装加飾も控えめ。彼の地での価格は4万785ドル。歴史的な円安水準ということもあって日本円にすると約645万円になる。
WRXの6速マニュアルトランスミッションは、ビスカスLSD付センターデフ方式のAWDシステムと組み合わされる。ショートストローク化されたトランスミッション本体とクラッチの両方を強化することで、より剛性感が高く、リニアなフィーリングを追求する。
2.4Lターボの水平対向4気筒エンジンは最高出力が271ps/5600rpm、最大トルクは258Nm/2000〜5200rpmと、十分なパフォーマンスを秘めている。近年はハイブリッドモデルの拡充が加速している印象のスバルだが、やっぱりコレもいいねと思わず笑顔になっていた。
このカナダ仕様のグレードはSPORTという最もベーシックな位置付けとなるため、ハイパフォーマンスモデルのような大きなウイングなどはついておらず、サイドロアーパーツや左右2本ずつ計4本出しのマフラーが、さりげなくスポーティさを主張する。
フロントグリルに真っ赤な「WRX」のエンブレムがあるのも、気分をアップしてくれる。そしてパキッとしたセラミックホワイトのボディカラーに、バンパーやホイールアーチとアルミホイールのブラックが、ややワイルドなアクセントとなっている。
インテリアもブラック基調で華美なメタリック装飾などはなく、11.6インチのディスプレイオーディオが装備されており、いたってシンプル。シートは控えめにサイドサポートがあるゆったりめの座り心地で、大柄な人でもリラックスできるようになっている。
ただ、ペダルに足をのせるとカチッとした手応えが感じられ、アルミペダルが装備されているところが奥深い。日常のドライブやロングドライブでの快適性はしっかり確保しつつも、その気になれば飛ばせるし、ハードな走りにも応える用意があると、クルマが言っているような気がした。
2.4L水平対向ターボは271ps/258Nmを発揮。
「WRX STI Sport#」が争奪戦になるのは間違いなさそう
とくに今回試乗したカナダ仕様とのつながりはアナウンスされていないが、東京オートサロンで披露されたSTIコンプリートカー「WRX STI Sport#」との関連性は気になるところだろう。
「WRX STI Sport#」は、日本仕様として現行モデルでは初となる6速MTを搭載し、「MTの復活」を高らかに宣言。オートサロンで展示されていた車両のボディカラーはブルーで、アルミホイールの隙間からはゴールドのブレンボ製キャリパーがちらりと覗き、シートにはレカロの文字が入って外観からしてゾクゾクさせる、往年のモータースポーツシーンを彷彿とさせる要素が揃っている。
足まわりには、STIがチューニングしたZF製電子制御ダンパーが奢られ、ブレンボ製ブレーキキャリパーはフロント対向6ポット&リヤ対向2ポット。優れた安定性と応答性に加え、制動力とコントロール性を高めているという。
細かな装備機能は変わってくるため、試乗したカナダ仕様とは走りの印象も変わってくるだろうが、少し早めに「MT」の走りを体感できたのは得した気分。
おそらく2026年春頃に台数限定で販売予定という「WRX STI Sport#」は、今回のカナダ仕様で確認することができた、クルマに“のせられている”のではなく、自分の意思がダイレクトにクルマを動かす、昔ながらの高揚感が手に入るのではないだろうか。
「WRX STI Sport#」は、現行WRXの日本仕様では初となる6速マニュアルトランスミッションと、ビスカスLSD付センターデフ方式AWDを組み合わせたSTIコンプリートカー。2026年春に台数限定で販売が予定されている。
サスまわりには、STIによるチューニングを施したZF製電子制御ダンパーが組み合わされる。
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