
スズキは2026年9月25日、「10年先を見据えた技術戦略2026」を発表した。今回の発表では、電動化だけでなく、車両の軽量化や内燃機関の高効率化など、クルマに必要なエネルギーを減らすためのさまざまな技術が紹介された。そのなかから、軽乗用EV「e SKY」、2030年に向けた100kg軽量化、エンジンの熱効率50%という3つの取り組みを紹介する。
●文:月刊自家用車編集部
軽EV「e SKY」は航続310kmへ
今回紹介された「e SKY」は、スズキが開発を進める軽乗用EVだ。プロトタイプの参考値として、一充電走行距離310km、車両重量1030kg、電力消費率97Wh/kmという数値が示された。
急速充電については、5分間で50km相当の充電が可能としている。なお、これらはいずれもプロトタイプの参考値であり、量産車の仕様を示したものではない。
全長3395mm×全幅1475mm×全高1625mm、車重1030kgのコンパクトボディを実現。26kWhのLFPバッテリーと2WD駆動を採用し、日常使いに十分な航続距離と扱いやすさを両立したスズキ待望の軽乗用EVとして仕立てられている。
普通充電と急速充電の両方に対応した充電ポート口。自宅での夜間充電(普通充電3kWで約8時間/6kWで約4.5時間)から、出先での急速充電(50kWで約25分)まで日常に溶け込むスムーズな充電が可能とした。
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開発初期の230kmから80km延長
e SKYの開発初期における一充電走行距離は約230kmだったという。
そこでスズキは、「1アイテムで1km延ばす×100個」を合言葉に、航続距離を伸ばすための改善を積み重ねた。転がり抵抗や消費電力、ギヤ比などを見直したほか、LEDの数や光の導き方といった部分も改善。
こうした取り組みにより、開発初期の約230kmから310kmまで一充電走行距離を伸ばしたという。スズキは2026年8月にe SKYの先行情報を公開しており、2026年秋に日本で発表する予定としている。
ガソリン車の乗りやすさはそのままに、EVならではの楽しく快適な走りを実現。必要な音は残し、不快な音は消す、バランスの取れた静粛性を持つ。
ボンネット内には、E-Axle(イーアクスル)の上部にインバーターなどの制御機器が配置されている。限られた空間を有効活用する「小・少・軽・短・美」の思想が、この高効率なパッケージにも現れている。
クルマ全体では「100kg」軽量化を目指す
スズキは2030年に向け、車両重量を100kg軽量化する取り組みも進めている。安全性能を確保しながら車両を軽くするため、衝突時のエネルギーをコントロールし、効率的に衝撃を吸収する車体構造などを研究。
今回の技術戦略では100kgの軽量化を目標とし、さらに将来のアイデアまで含めると最大120kgの軽量化も検討している。
ボルト1本も軽量化の対象
軽量化の対象は、ボディや主要部品だけではない。スズキは今回、M8サイズのボルトについて、ボルトの頭部分を小さくすることで約1g軽量化できる例を紹介した。
クルマ1台には2000本を超えるボルトが使われているという。1本ではわずかな重量差でも、こうした細かな軽量化を積み重ねることで車両全体の軽量化につなげる考えだ。
エンジンは「熱効率50%」を目指す
電動化が進む一方、スズキは内燃機関の高効率化も進める。2024年、1.2リッター3気筒エンジン「Z12E」で最大熱効率40%を実現したと発表している。今回の技術戦略では、その先の技術として、エンジンの熱効率50%を目指す考えを示した。
熱効率を高めるため、高EGR・リーン燃焼、高圧縮比化・高速燃焼、ミラーサイクルなどの技術を採用。さらに、冷却損失や排気損失、機械損失、ポンピング損失などの低減にも取り組む。
次世代のDITC(直噴ターボ)エンジンについても開発を進めるとしている。
「エネルギーをできるだけ使わない」クルマへ
技術戦略でスズキが掲げるのが、「エネルギー極少化」と「本質価値極大化」を組み合わせた「Right × Light Mobile Tech」だ。
e SKYでは電力消費を抑えながら航続距離を伸ばし、車両そのものは100kgの軽量化を目指す。さらに内燃機関では、熱効率を50%まで高めることを目標としている。
電気自動車、ハイブリッド、内燃機関など、動力方式は異なるものの、今回の技術戦略では「必要なエネルギーを抑えながら、必要な価値を実現する」という方向性が示されている。
今回発表されたのは技術開発の内容であり、100kg軽量化や熱効率50%を実現した市販車の具体的な車種・発売時期などが示されたものではない。
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